マンションの管理や再生の円滑化を促進する区分所有法の改正について

三枝秀行

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テーマ:不動産に関する法改正情報

令和5年9月にマンション修繕工事と建て替えの決議要件緩和の法改正をテーマとした
コラムを掲載しましたが、今回はその続編で老朽化したマンションが増え続ける中での
建物管理や再生を円滑に進めるための改正区分所有法などが本年5月23日の参議院の本
会議で可決・成立したことをお伝えします。
改正区分所有法の施行は一部を除いて2026年の4月ですが、区分所有法の改正が議論
されている背景には次のような問題があります。
1.マンション(集合住宅)の老朽化が進んでいること
2. タワーマンションなどの大規模集合住宅が建物の維持や管理のための合意が難しく
なっていること
3. 集合住宅内の空き家が増加していること
 これらの諸問題はマンションなど区分所有の建物と居住している方の老いが同時進行
する中で管理組合の集会での修繕や建替え等の決議が難しい状況になっていることから
どのように法改正で改善できるかが焦点となっています。
国土交通省から「マンションを取り巻く現状と課題」とする資料を公開していますので、
ご興味ある方はご覧ください。
マンションを取り巻く現状と課題
次に来年4月に施行する改正区分所有法ではマンションの管理組合の集会での決議要件
を緩和していますが、代表的なものを図表にしましたのでご覧ください。    



上図の通り、改正区分所有法は老朽化したマンションが増加するその一方で建て替えが
十分に進んでいないことから管理組合での建て替えの決議は5分の4から4分の3に緩和さ
れることやマンションの管理組合が建物の取り壊しや売却、リノベーションを行う際の決
議についてはこれまで必要だった全員の同意が5分の4の賛成で可能となり、所在がわから
ない所有者についても裁判所が認めれば決議の母数から外せるようになります。
また、建物管理に無関心な住民の存在が課題となっていることで修繕や管理規約の変更
などの決議については全ての所有者ではなく集会出席者の多数決で行うことができるのは
良い改正点です。
実際に投資家の所有が多い都心のマンションでは総会の出席が管理組合の理事長のみとい
うケースも多々ありますので、区分所有法の改正による効果は大きいでしょう。
改正区分所有法は来年4月に施行されるため現時点ではどのような影響があるかは何とも
言えませんが、少なくとも老朽化が進行したマンションの共用部分の改築や修繕がより早く
進むのは間違いないことでしょう。

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三枝秀行(相続コンサルタント)

株式会社三枝エステート

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