人の行く裏に道あり花の山?
【当記事の概要】
2020年に東京オリンピックが開催されます。それに向けて、日本、中でも東京への関心は世界中で高まっています。ここ数年は、国をあげて訪日外国人が増えるような施策に力を入れていることもあり、日本を訪れる外国人の数は右肩上がりです。
しかし、日本を訪れる観光客の数が増えるに従い、彼らが旅行中に利用する宿泊施設の不足が問題になっています。そこで、民泊に注目が集まっています。
住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されて1年が経ち、この1年間で民泊の届出件数は施行当初の7.8倍に増え、1万7千件に達したそうです。これだけ注目を集めている民泊ですが、興味のない人にとっては、「よく分からない」というのが現状だと思います。ここでは民泊の事業者(ホスト)となった場合、どのようなメリットを得られるのかについて紹介していきましょう。
メリット1:空き家・空き部屋を活用できる
空き家(戸建)や空室(アパート・マンション)などを所有している人の中には相続などで引き継ぎ、これら不動産を賃貸に出しているケースも多いでしょう。しかし、思うように入居者が決まらず困っている人も少なくありません。
空き家に関しては、日本全国で問題になっています。そして、その多くが放置されている状態です。放置すれば空き家は急速に傷み、倒壊などの危険も出てきます。また、「特定空き家」に指定されてしまえば、固定資産税の支払いが6倍増となり、大きな負担を抱えてしまう可能性もあります。
こうした空き家などを民泊として利用できれば、賃貸や売却に比べて低いハードルで収益を上げることができます。なぜハードルが低いのかと言えば、民泊はやめようと思ったらすぐにやめられるからです。
固定資産税や管理費用など、マイナスの財産になっている空き家・空き室が、民泊として利用されることで収益を得る存在になる。これだけでも大きなメリットがあるといえるのではないでしょうか。
メリット2:初期投資が少ないケースが多い
民泊開業に関しては、一般的にはホテルなどの宿泊施設開業に比べて、初期投資は抑えられるケースが多いです。
ホテルや旅館などの宿泊施設を開業する際には、旅館業法の基準や消防法、建築基準法などの法律に適合するように建物を整えなければなりません。
民泊は、宿泊施設として旅館業法の簡易宿所の許可を得る必要や、民泊新法による届け出などが必要にはなりますが、建物自体は既存の空き家や空き室を活用できます。そのため、初期投資が物件のリフォーム程度で抑えられるなど、少ない投資で開業できるケースが多いです。
また、一棟アパート、一棟マンションを購入して家賃収入を得る「不動産投資」と比べても、投資額は低く抑えられます。一棟物への投資では5,000万円~3億円の物件をアパートローンを組んで購入するケースが多いですが、民泊投資の場合は、1,000万円~5,000万円の物件が売れ筋です。また、賃貸物件を借りて民泊運営を始めるケースであれば、200万円前後からでも始められます。これなら現金で投資することもできるという方も多いのではないでしょうか。
ただ、この初期投資がいくらかかるのかは、あくまで物件次第、また物件の状態によります。消防設備の設置や、古い家屋の場合は現在の建築基準法に適合させなければならないケースもあります。また、水まわりの改修などが必要な場合もあるでしょう。開業までにかかる費用を試算し、回収までにどれだけかかるのかを確認して、検討する必要があります。
また開業後の運営を考えた場合、利用者がすぐに宿泊できる状態にするためには、寝具や家電、アメニティーグッズ、インターネット環境をつくることが必須です。
ベッドや布団などの寝具は、自宅に余っている寝具があれば、それらを活用することもできます。また、浴室で使用するシャンプーやボディソープなどは、事業者にとってそろえるべき義務があるものなので必ず用意してください。衛生面はしっかりと清潔さを保たなければなりません。
他に、民泊仲介サイトなどを見ていくと、テレビやソファ、テーブル、冷蔵庫。電子レンジなど、食事や室内で過ごす際の調度品などを用意しているところが多いです。これらも物件のコンセプトや、ターゲット次第でどこに重点的にお金を使うかを考えると良いでしょう。
外国人をターゲットにする場合、SNSで旅の状況をアップしたり、情報を得たりします。そのため、Wi-Fi環境は整備しておいた方がよいでしょう。特にポータブルの物を置いておくと喜ばれます。
さらに、長期滞在の利用客を見込んでいるならば、洗濯機・乾燥機などランドリーに関する設備も整えておきましょう。初期投資を抑えるために、レンタルを活用することもできます。
こういった什器や設備は、どのような観光客を対象に民泊を開業するかによって変わってきます。
ただ、東京など都市部では外国人旅行客が増加しています。この傾向は、東京オリンピックに向けてますます強くなっていくと予想されます。
エリアによって滞在日数はだいぶ異なりますが、観光資源が多く長期滞在する観光客が多い東京などで民泊を開業しようと考えている場合は、長期滞在の外国人が利用するということを想定して準備をした方がよいでしょう。
メリット3:利用者との交流
こちらはオーナーさんの性格によるところが大きいですが、利用者との交流を楽しめるというメリットもあります。民泊は外国人の利用も多く、宿泊客と異文化交流ができるなど、オーナーさんにとっても、これまでにはない素敵な時間を過ごすことも可能になってきます。
外国語が話せなくても、例えば、宿泊した人が感想を書ける交流ノートをおいておくことで利用者の声をきくことができます。こうした声の中に、民泊事業に求められる新たなニーズが見つかることもあります。
各国からの旅行者と交流を求めている人でなくても、管理は専門業者に委託することができるので、あくまでも投資物件として民泊を考えている人であっても、問題ありません。
これから国内において伸びていく産業の筆頭が、観光業だと言われています。その伸びも、インバウンドが牽引しています。そのインバウンド需要が見込める施設の1つが民泊です。
民泊は、インバウンドで追い風は吹いている今だからこそできる物件の活用ではないでしょうか。