経営者が自社ブランドを立ち上げる前に考えること⑦

西村進

西村進

テーマ:ブランディング

成功の鍵は専任リーダー

新商品開発をプロジェクト化

成功への鍵は専任リーダーの選出
新規事業の立ち上げや新商品開発は、企業の未来を左右する重要な取り組みであると同時に、多大な労力を必要とします。社長の一声でプロジェクトがスタートしたものの、社内外の複雑な調整に担当者が翻弄され、本来の目的を見失ってしまうケースを数多く見てきました。このような事態を避けるために、私たちはプロジェクトの円滑な進行を管理する専任のプロジェクトリーダーを選出することを強く推奨しています。

新しい業務を始めようとする際、たとえトップダウンの指示であっても、社内には少なからず懐疑的な意見や抵抗勢力が存在するものです。プロジェクトリーダーの重要な役割は、単なる旗振り役ではなく、社内の様々な部門との調整役を担うことにあります。開発担当者や営業担当者との意見をまとめ、GO/STOPの判断を下し、時には停滞している取り組みに対して積極的に働きかけ、推進していくことが求められます。
企業によっては、社長自らがプロジェクトリーダーを兼任するケースも少なくありません。しかし、プロジェクトが本格的に動き出すにつれて、その負担は増大し、本来の経営業務に支障をきたす可能性も否定できません。理想的なのは、経営者が社内から適任のプロジェクトリーダーを指名することです。その人物は、役員に対しても臆することなく意見を述べることができ、変革に向けて強い推進力を持って取り組める人材であることが望ましいでしょう。

しかしながら、このような能力を持つ人材は、多くの場合、現状の基幹業務の中枢を担っていることが多いのも事実です。それでも、あえてこのようなキーパーソンをプロジェクトリーダーに抜擢できるかどうかが、新商品発売の成否を大きく左右すると言っても過言ではありません。抜擢された人物の仕事量の半分以上が、このプロジェクトに費やされる覚悟が必要です。この思い切った人事こそが、本気で新商品開発に取り組むための最初の、そして最も重要な英断となるはずです。

一方で、社内外の調整に翻弄される担当者にプロジェクトを任せてしまうと、一見臨機応変に対応しているように見えても、プロジェクトの軸となる視点が徐々にブレていき、本末転倒な結果を招きかねません。よくあるのは、プロジェクトの初期段階における意志や方向性が明確に伝達されないまま担当者が交代し、その都度、プロジェクトの考え方や進め方が変わってしまうことです。もちろん、良い意味での変化であれば歓迎すべきですが、社内各所の意見を民主的に取り入れようとするあまり、「とがり」のない、特徴のない企画に落ち着いてしまうのは避けなければなりません。

OEM受託業務で着実に成長されてきた企業においては、経営者自らが先頭に立って旗を振ることも多いでしょう。しかし、このタイミングで敢えて社内のキーパーソンをプロジェクトリーダーに登用することは、企業風土の一新や社員のモチベーション向上にも繋がる可能性があります。ぜひ一度、この人事戦略について真剣にご検討いただくことを提案します。




OEM受託企業のオリジナル商品自社販売は、必ず失敗する。

経営者が自社ブランドを立ち上げ前に考える10のこと
レンコンデザイン株式会社は、これまで数多くの新規事業プロジェクトに参画し、様々な知見を蓄積してまいりました。その経験に基づき、新ブランド立ち上げを成功に導くための実務パッケージ「ブランドランチャーズパッケージ」をご提供しています。

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西村進
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西村進(コンサルタント)

レンコンデザイン株式会社

デザインコンサルティング、ブランディング、広告企画制作などを手掛け、高付加価値ブランドのプロモーションに長く携わる。まだ世に知られていないブランドを、経営とデザインを結びつけた支援を得意とする。

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