経営者が自社ブランドを立ち上げる前に考えること④
陥りやすい新事業の失敗
自社ブランド立ち上げの落とし穴
OEM取引先の業績に左右される経営から脱却しようと、自社ブランドの開発・販売に乗り出す経営者は少なくありません。しかし、新事業への挑戦は決して安易な道ではなく、いくつかの重要な落とし穴に注意する必要があります。
確かに、自社のブランドを冠し、自社で販売できる商品やサービスを開発できれば、収益性の向上は大いに期待できます。長年OEMで培ってきた製品開発や製造の技術を基盤に、新たな商材を生み出すことは論理的には可能です。しかし、ここで多くの企業が初めて直面するのが、「売る」というノウハウの不足です。
厳しい現実として、消費者は信頼できるブランドだからこそ、その商品を指定された価格で購入します。全く見聞きしたことのない無名のブランドの商品は、なかなか手に取ってもらえません。たとえ性能が同等で、見た目も遜色ない商品が並んでいたとしても、消費者は多少価格が高くても、安心感のある信頼できるブランドを選ぶ傾向が強いのです。付いているブランドマークが違う。ただそれだけの違いで、消費者は無意識のうちに安心感を得ているのです。
また、販売店の立場から見ても、既に市場で売れている商品を積極的に販売したいという心理が働きます。限られた販売スペースにおいて、実績のある信頼できるメーカーの商品を優先的に陳列するのは、当然の判断と言えるでしょう。
「モノが良ければ売れる」という幻想
残念ながら、自社ブランドで売上が伸び悩む企業の多くは、「良いモノを作れば自然と売れる」という誤った認識に陥っています。新商品を開発し、いざ販売を開始しようという段階になって初めて、「どうすれば売れるのか」と相談を受けることも少なくありません。そのほとんどが、Web広告や広報活動の提案依頼ですが、「お金をかければ売れるのは分かっている。お金をかけずに売る方法を考えてほしい」と言われても、具体的な解決策を見出すのは困難です。なぜなら、どんなに優れた商品であっても、適切な販売戦略なしに売れる保証はないからです。良い商品と売れる商品は、必ずしもイコールではないのです。
単に見た目の良いビジュアルを作り上げることは、デザイナーであれば誰にでもできます。しかし、表面的なデザインだけで広報活動が効果を発揮するとは限りません。重要なのは、「誰のために、何を提供する商品なのか」という明確なコンセプトを、開発から製造、販売、流通に至るまでの全てのプロセスで一貫させることで、初めてブランドが確立されるということです。市場で成功している商品は、徹底的に考え抜かれた生活者の潜在的な欲求を満たすものに他なりません。
自社ブランド立ち上げの初期段階から、「売るための戦略」を専門家と共に真剣に議論することが、新事業を成功に導くための重要な第一歩となるでしょう。製品開発と同時に、市場調査、ターゲット顧客の明確化、独自のポジショニング戦略、効果的な販売チャネルの構築などを包括的に検討することが不可欠です。「良いモノを作れば売れる」という幻想を捨て、市場と顧客の声に真摯に耳を傾け、戦略的な販売体制を構築することこそが、OEM受託からの脱却と自社ブランドの確立に向けた正しい道筋と言えるでしょう。
…
OEM受託企業のオリジナル商品自社販売は、必ず失敗する。
経営者が自社ブランドを立ち上げ前に考える10のこと
レンコンデザイン株式会社は、これまで数多くの新規事業プロジェクトに参画し、様々な知見を蓄積してまいりました。その経験に基づき、新ブランド立ち上げを成功に導くための実務パッケージ「ブランドランチャーズパッケージ」をご提供しています。
Brand Launchers Package
ブランドランチャーズパッケージ
お問合せはこちらまで
レンコンデザイン株式会社




