音楽を通して世界を豊かに感じとる心を育むピアノ講師倉田真代

音楽を通して世界を豊かに感じとる心を育むピアノ講師

倉田真代

全国どこからでも受けられるレッスンを展開。音楽と心地良い距離感を見つけてほしい

　「音楽の『ドレミ』と大好きなコーヒーの『ミル』。毎日コーヒーを飲むように、音楽が日常に溶け込んでほしいという願いを込めて『doremill（ドレミル）』と名付けました」。そう教えてくれたのは、2017年にピアノ教室doremillを開設した倉田真代さん。

　「音楽への接し方は人それぞれ、ちょうどいい距離感を見つけるお手伝いがしたいですね」

　それぞれの距離感で音楽と長く友好を築いてほしいと、doremillを卒業した後でもピアノに親しみ続けることができるよう、楽しくピアノが上達する工夫を大切にしています。

　年に1回の発表会もその一つ。自宅は生活をする場であるため、レッスンは少々緊張感に欠けることも。発表会がその雰囲気を引き締めてくれます。発表会後には生徒に嬉しい変化があるのだとか。「他の生徒さんの演奏に刺激を受け、より一層練習に励むようになります。新しい友達ができて『○○ちゃんに渡して』とお手紙を預かることもあるんですよ」

　もともと、仕事や家事で忙しく送迎が難しい家庭に好評だった倉田さんの出張レッスン。引っ越しても倉田さんのレッスンを受けたいという希望をきっかけに、オンラインレッスンも始めました。「高音質のマイクを使用し、手元や楽譜がよく見えるように複数台のカメラを設置するなどこだわっています」。倉田さんのレッスンは全国どこからでも受けることができます。

　「ピアノを通して音楽をより身近にしたい」と倉田さんは話してくれました。

環境に左右されずに楽しく上達するレッスンを目指して。ポイントは「人として好きになってもらう」こと

　幼い子どもにとって習い事を始めるのは大変なことです。そこで、倉田さんが大切にしているのがレッスンの導入部分。
　「小さなお子さんでも正しく譜読みができるよう指導しています。音名やリズムを丁寧につないでいき、譜読みができたら次は一緒にメロディーを奏でることで曲のイメージを膨らませてもらいます」

　「レッスンで使用する楽器は、アコースティックピアノ、もしくはキーボードではなく電子ピアノをご用意いただきます。実は私も高校生までは電子ピアノでしたので、アコースティックとデジタル、それぞれの特徴を踏まえた上で上達が目指せるようにサポートしていきます」

　年齢・環境に左右されずにピアノに親しみ上達する機会を広げているのです。

　倉田さんはピアノや音楽だけではなく、倉田さん自身も好きになって欲しいと考えています。「『ピアノは好きだったけど、先生と相性が悪くて辞めた』という友人の言葉を覚えています」
　せっかく始めたピアノ。できたらレッスンを継続して楽しんでほしい。そのために、倉田さんは生徒から「信頼できる大人」であることを大切にしています。

　その思いが通じて「これ、お母さんに怒られるかな？」と相談を受けることもあるのだとか。「親御さんからも『うちの子はレッスンを心待ちにしているんですよ』と言われることがあります。レッスンでは生徒さんとの会話も大事にしているので、心を開いてもらえるとほっとします」。親とも学校の先生とも違う大人である倉田さんに見守られる経験は、子どもたちにとってかけがえのないものになるでしょう。

ピアノ曲を聴き取り表現する力が、人の感情や世界の小さな変化を感じ取る心を育てる

　倉田さんのレッスンでは、全員が楽典とソルフェージュを学びます。楽典は、音名や音階、記号などをまとめた学問で音楽の文法と言われ、ソルフェージュはその文法を使って楽譜を読む力、音を聴く力・演奏する力を養うこと。

　「特に聴きとる力が大事だと考えています。音が持つ表情が感じられないと、音で気持ちを表現できないからです」と倉田さん。

　聴く力が、「うれしい」「悲しい」など人の表情の変化や心の機微に気づいたり、「空がきれいだ」「今日は空気が冷たい」と繊細に世界を感じたりする力につながって欲しいと話します。
　「ピアノ曲の多くは、作曲家の感情、きれいな風景などが元になって作曲されています。日頃からそれらを五感で受け止め、演奏で表現してほしいのです」

　「失敗するたびに私の顔色を窺っていた生徒さんが、ミスタッチを怖がらず表現を重視した演奏になった時、心が育ったかなと実感します」

　世界の、相手の、小さな変化に気づくこと。自分の感情を、人の感情を、様々な情景を、音楽で表現できること。それらはきっと、世界を彩り、鮮やかに感じさせてくれることでしょう。

　その一歩として、発表会では連弾も行います。一つの曲に力を合わせて取り組むことで、相手の気持ちをくみ取るきっかけになればと考えているから。「相手に迷惑をかけられない！」とソロで演奏する曲よりも、一生懸命練習する生徒が多いそうです。

　「音楽は、心を豊かにしてくれます。ピアノを通して、音楽を生涯の友とし、心地良い日々を送っていけるようお手伝いしたいですね」。倉田さんはそう願いを話してくれました。

（取材年月：2021年11月）

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全国どこからでも受けられるレッスンを展開。音楽と心地良い距離感を見つけてほしい

環境に左右されずに楽しく上達するレッスンを目指して。ポイントは「人として好きになってもらう」こと

ピアノ曲を聴き取り表現する力が、人の感情や世界の小さな変化を感じ取る心を育てる

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