ピアノにまつわる資格

先日『ピアノの先生になるには』という記事をアップしましたが、今日はピアノにまつわる資格、ピアノ講師に関係する資格をいくつかご紹介します。

＊資格取得の意義

先日の記事では、音楽大学を卒業していなくてもピアノ講師になれるという記事をアップしました。音楽大学を卒業するほか、音楽を勉強してきたことや自分の音楽（指導）レベルを証明するための比較対象として、資格取得する意義があると考えます。
個人的にはコンクール歴よりも資格を取得した方が一般の方にはわかりやすいように思います。理由としてはコンクールの規模は大小あり数も膨大のため一般の方はどのコンクールが有名ですごいものなのかという見分けがつきません。（もちろんコンクールでの入賞歴はないよりもあった方がいいと思います。）
資格はレベルや取得のためのステップが明確に設けられているため、取得することで自分がどれくらい知識や技術があるのかを示すことが出来ます。

①ヤマハ　ピアノ演奏グレード・ピアノ指導グレード

ヤマハが独自のカリキュラムで行なっているグレード試験になります。13級〜6級までは学習者、5級以上（1級は現在行われていない）は指導者を対象として行われています。演奏グレードと指導グレードで試験内容は異なりますが、いずれもピアノ演奏のみならず初見や即興演奏など、高い演奏技術と即興での対応力が求められます。
またグレードで5級以上を取得するとヤマハ音楽教室の個人講師として登録することが出来たり、楽器店講師としても採用されやすくなります。楽器店によってはピアノ講師はグレード5級取得が必須なお教室もあります。

②ピティナ　指導者ライセンス

一般社団法人全日本ピアノ指導者研究会（ピティナ）のライセンスになります。初級・中級・上級の3つのライセンスからなり、指導実技・演奏実技・筆記試験・小論文の4つの試験科目を通して指導技術の研鑽を継続していく事が目的の資格です。1度合格した後はポイント取得により3年ごとにライセンスの更新が必要となります。ポイントは指導実技に参加したり、講師自身や生徒をコンペティション（コンクール）などに参加させたりすることで溜まっていきます。継続してライセンスを取得していくことで、指導実績が上がりますし、新しい情報の取得やコンクールの傾向も掴みやすくなります。

③ABRSM EXAMS（英国王立音楽検定）

英国王立音楽検定は世界規模の検定でヨーロッパの長年の音楽教育の歴史と実績が示す検定になります。グレードは1〜8までがあり6・7級がツェルニー40番以上、8級はイギリスの音楽大学入試に匹敵する上級レベルになります。8級以上の専門的なレベルとしてディプロマも設けられています。欧米の大学ではグレード8級をdistinction（優秀）で合格すると音楽専攻以外であっても入学試験で加点を貰えたり、奨学金を貰えることがあります。試験は日本でも受験することが出来ますが、基本的には英語での試験となります。（通訳もつけられますが有料です。）ピアノも課題曲の他、スケール・アルペジオ・初見・エコーなど幅広い知識とテクニックが必要になります。2022年現在はパフォーマンスグレードとしてオンラインでの受験・資格取得も可能となりました。グレード6以上は音楽理論試験の5級以上取得が条件となり、日本では少数派ではありますがABRSMでディプロマまで取得している先生もいらっしゃいます。ヤマハのグレード試験はこのABRSMを基に作られたと言われています。

＊モチベーション向上のために

生徒とのレッスンを行う上で、1番のモチベーションになるのは人前で演奏する機会があるという事になると思います。それでも1年や2年に1回の発表会だけだと途中で中弛みしてしまう生徒さんも多いのではないでしょうか。コンクールを受けるにはレベルがちょっと・・・と思う子でも、ヤマハやABRSM EXAMSであれば子供うちから順を追って受験することができます。
資格取得は本人の自信にも繋がりますので有効的に活用してみてはいかがでしょうか。


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