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田中嘉一プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

病棟の看護師さんから聞かれた心電図モニタについて

田中嘉一

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テーマ:医療機器メンテナンス

いつものように病棟を巡回点検していると師長さんからモニタの送信機を差し出され、モニタに表示される心拍数と送信機の小型ディスプレイに表示される心拍数が合わないので見て欲しいという要望を受けました。

師長さんも他の看護師さんからの申し出を聞いていて、この日はたまた当該看護師さんはお休みという事で不在。
当該患者さんの情報は解らずじまいでいたがとりあえず送信機をチェック。
結果は正常動作しシステムに問題ないことが分かりました。

では何故心拍数が合わないという現象が出たのでしょうか?

患者さんの状態を確認できなかったので推測でしか言えませんが、当該患者さんは心房細動だったのではないかと思います。

それも発作性のものなのかどうかも分かりませんが、この時においては心房細動であったとすればつじつまが合います。

ご存じの通り心房細動は絶対性不整脈です。そのため決まった心拍数にはならないため、モニタの心拍数表示は常にコロコロと変化します。

モニタが表示する心拍数は、決まった時間(例えば10秒間等)内にサンプリングしたQRSの間隔を加算平均して算出しています。
この算出はモニタが心電図を検出した瞬間から始まりますので、ステーション内のセントラルモニタと患者さん側のベッドサイドモニタや送信機も解析を始めた時間がぴったり合っていればともかくそれぞれ別々に検出を始めるのが一般的なので、絶対性不整脈においては、心拍数がぴたりと一致することはあり得ないことになります。
時に発作性の心房細動でしたら、正常のリズムの時には心拍数が一致して、心房細動になると一致しなくなる。
さっきまで一致していた心拍数が合わなくなるということは機械の故障ではないのか?
という発想に至ってしまうケースは少なくありません。

循環器の専門病棟では起こりえないことだと思いますが、そうでなければこのようなケースはたまに散見されます。

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田中嘉一
専門家

田中嘉一(臨床検査技師)

MEテック・ラボラトリー合同会社

医療機器保守点検・安全管理のエキスパート。300床以下の病院を対象に、「医療機器安全管理と運用」「コストダウン」「丁寧な病院内研修・指導」の3本柱で、病院の医療ミス防止の一翼を担っている。

田中嘉一プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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