電気メスメンテナンスの実態その2
私のサービスは臨床工学技士さんが不在・不足している病院様の医療機器管理・保守点検を代行することですが、新規にご契約いただいた病院様では、今まで保守点検が行われていない機器が存在します。
そんな機器の中に電気メスが存在していることは珍しくありません。
透析室が有って臨床工学技士さんが在籍している場合でも、病棟までの機器管理はやっているが、手術室に関してはノータッチという病院様も200床以下に病院では散見されます。
メーカーとの保守契約も結ばれていない場合も多く電気メスの保守点検は為されていないケースは少なくありませんでした。
弊社では電気メステスターという専用の測定器を用いて、出力の測定、高周波漏れ電流測定、対極板外れアラーム発生抵抗の測定を行っております。この方法では数値データが得られるため、機器の状態が定量的に分かります。
とある新規の病院様で最初にこの作業を行った時に高周波漏れ電流が規定値を大幅に超えている状態が見つかったことが有ります。
これは、電気メス内での必要な絶縁状態が維持されていない状態を意味しており、出力をした時にアルコールなどに引火する危険性が有ります。
直ちに使用中止としメーカー修理となった事例を経験しました。
このように実際に起きている故障に気づかず使用を続けていた場合、何らかの事故につながる可能性が有ります。
人間では健康診断を何年も行わなかったために思わぬ疾患に罹患していることに気づかずに、生活習慣など改めることが無かったために突然発症した重症化したいった事例によく似ています。
人と同じで医療機器にも定期的な保守点検が必要であることが理解できる事例の一つでした。