サイバーセキュリティ―に関して
そもそもメンテナンスとは何なのか?
興味深い記事があります。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180207-00010000-norimono-bus_all
要は車のタイヤの空気圧を低いまま高速道路を走行した結果、タイヤがバースト(スタンディングウェーブ現象による)が発生するという案件が増加しているということです。
JAFの高速道路での救援件数はタイヤトラブルによるものが年々増加傾向で、2016年度には全体の36%を占めているそうです。
これは日頃からタイヤの空気圧をチェックして、低下していたら適正圧まで上げておけばいいことで、ガソリンスタンドにいけば無料でチェックで行きますし自分でもできる簡単な作業です。
これを怠ったばかりに事故のリスクと無駄なコストが発生したということです。JAFを呼べば会員でなければ割引もありませんから、ユーザーから見れば突発的な出費となったわけです。
このような事例は世の中に沢山存在します。飛行機、ヘリコプター、エレベーターetc。皆さんメディアの報道でご存知の通りです。
医療機器とて決して例外ではなく、そのために現在では臨床工学技士という職種が存在するようになったわけですが、すべての病院で臨床工学技士が存在するわけではありません。
そもそもメンテナンスとは何でしょうか?
1、故障したら修理する(殆どの方がこれだと思っています)
2、清掃などを行って故障の原因を取り除く(予防保守)
大きく分けるとこの2つになりますが大切なのは2の予防保守です。
そもそも機器の取扱説明書や添付文書には保守に関する記載があり、ユーザーが行うべき保守点検方法が記載されていてこれを実施する義務が病院には法的に義務付けされているの事は皆さんご存知の通りです。
また、このことは「適正使用」ということに直結しまう。医療機器の正しい安全使用方法は取扱説明書に記載されている通りですがその中に保守に関する項目があるということは適正使用の中にメンテンナンスによる性能の維持ということが含まれているちうことです。
タイヤの事例にもあるように「適正使用」が為されないということは事故に対するリスクと無駄なコストを発生させる原因を作り出しているということになりますが、私が長年の経験で医療現場を見て来たところ病床数の少ない臨床工学技士不在の病院様に「適正使用」が為されていない傾向があるように思えます。
臨床工学技士不在の病院では日常的な医療機器のメンテナンスというと看護師さんが多忙な看護業務の合間に行っていますが、そのほとんどは清掃ではないでしょうか?
それは日常点検レベルでは非常に重要な事ですしこの点を徹底するだけでかなりの安全性の確保とコスト削減になります。
そして年に1度のメーカー点検(車検のようなもの)を実施すれば完璧!
そうその通りここまでやればメンテナンスに関しては十分だと思いますがもう一つ!
それは安全性を確保する正しい使用法です。
特に経験年数の浅い看護師さん、他院からの中途入職の看護師さん、ベテランであっても滅多に使わない機器に対する使用法には熟達できていないケースもあり、特に年に数回しか使用しない人工呼吸器などには不安が大きいと思います。
私の実体験では、急性期病棟を持つ150床ほどの病院で人工呼吸器を年に1・2回程度しか使用しない病院で、加温加湿器の代わりに人工鼻を使う方法を選択している病院がありました。
私が巡回点検時にたまたま発見した事例ですが、人工鼻の取付位置を間違っていたためその効果を全く発揮できていない状況でした。その日の部屋持ちの看護師さんに「この人工鼻の使い方間違っていますよ」と指摘させていただき正規の使用方法に戻してもらいましたがこの状況は3日前から続いていたそうです。
案の定単は引けずSpO2値も88%程でした。
ここで問題視しなければいけないのは、部屋持ちの看護師さんの問題だけでなく。師長、主任などのマネージャーもこの状況に気付かない?または間違いであることを知らない?で3日間放置されていたことです。
確かに使い慣れていない機器に関しては自信がなく不安が大きいですが、だから仕方ないでは通りませんからきちんと使えるようにトレーニングを積んでおく必要があります。そのために必要なことは
1、定期的にトレーニングを行う計画を策定する。
2、講師を専門家に依頼する(臨床工学技士、メーカー、その他)
3、対象とする機器を絞り込む(人工呼吸器、心電図モニターなど)
以上を医療機器安全管理責任者が先頭に立って実行していく必要があります。
安全性の確保と無駄なコストの削減には「適正使用」がいかに大切であり、メンテンナンスというものはあくまでも「適正使用」の一環として存在しているものです。
こんなことは当たり前すぎる事と特に問題もないからということでてあまり重要視されていない場合が殆どです。
特に臨床工学技士不在の病院では適正使用の必要性を感じていない病院も多いのではと感じています。
それだけに潜在的な危険をはらんでいる事実と無駄なコストをかけてしまっている事実を知るたびに残念で仕方ないと感じております。