中小企業が陥りがちな集客の勘違い|ホームページから反応がない本当の理由
目次
集客フレームワークとは何か
集客フレームワークの定義
集客フレームワークとは見込み客が自社を認知してから、
- 比較
- 検討
- 購入
- リピート
までの道筋を体系的に整理した設計図です。
広告やSNS、ウェブサイト、メルマガ等、
バラバラに見える施策を流れとして整理して、誰が見ても今どこに取り組んでいるか分かる状態をつくることが目的になります。
なぜ経営にフレームワークが必要なのか
経営は、商品力・集客力・営業力などの掛け算で成り立っています。
どれか一つでも弱い部分があると、全体の成果が頭打ちになってしまいます。
集客フレームワークを使うと、
- 認知は足りているのか
- 興味関心の段階で離脱していないか
- 行動に繋がる導線に問題がないか
といったボトルネックが明確になり、場当たりではなく優先順位をつけて改善できるようになります。
フレームワークで得られる効果
- 全体像がひと目で分かり、次の一手が決めやすくなる
- 各段階ごとの数字の見方が統一され、月次の振り返りがしやすくなる
- 人が入れ替わっても同じ型で運用できるため、再現性が高まりノウハウが会社の資産として残る
代表的な集客フレームワークの種類
AIDMA・AISASモデル(購買心理の基本型)
AIDMA
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
テレビCMやチラシなど、マスメディア中心の時代から使われている購買心理モデルです。
商品を知ってから購入に至るまでの流れを段階的に整理しています。
AISAS
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Search(検索)
- Action(行動)
- Share(共有)
インターネットやスマホが普及した時代の行動パターンを示すモデルです。
検索と共有という要素が加わっている点が特徴です。
どの段階の人に向けて広告やコンテンツを届けるかを設計する際に役立ちます。
カスタマージャーニー(行動と感情の見える化)
カスタマージャーニーは、
顧客が商品やサービスを知り、検討し、購入し、ファンになるまでの行動と感情の流れを時系列で整理するフレームワークです。
たとえばホームページ経由の問い合わせが少ない場合、
- 不安を解消する情報が不足している
- 競合との違いが分かりにくい
といった改善ポイントを発見しやすくなります。
さらに、経営者・営業・デザイナー・ライターが同じ顧客像を共有できます。
その為、社内の意思決定がスムーズになるメリットもあります。
STP分析(どの市場で戦うかを決める)
STP分析は次の三つの頭文字を取ったマーケティングの基本フレームです。
- Segmentation:市場の細分化
- Targeting:狙う顧客の絞り込み
- Positioning:自社の立ち位置の明確化
誰に、何を、どう伝えるのかを整理しますので、感覚に頼ったマーケティングから脱却し、自社が最も成果を出しやすい市場に集中できるようになります。
ダブルファネルモデル(新規と既存を同時に設計)
ダブルファネルモデルは、新規顧客獲得と既存顧客の維持・育成という2つの流れを同時に設計する考え方です。
多くの企業は新規集客に偏りがちです。
しかし実際に安定した売上を支えてくれるのはリピート顧客です。
SNS・メルマガ・LINEなどを活用して、
- 購入後のフォロー
- コミュニケーション
- ファン化
関係性を長く保つことを目指して、これらの施策を設計します。
集客フレームワークを活用する5つのステップ
ステップ1:現状の集客プロセスを見える化する
今どのような流れで集客しているのかを、図やフローに落とし込みます。
集客の流れの一例
- 広告を見てもらう
- サイトに訪問してもらう
- 資料請求や問い合わせをしてもらう
- 商談・契約につなげる
GA4やヒートマップツールを使って、
クリック率・滞在時間・スクロール率などを確認して、どの段階で見込み客が離脱しているかをデータで把握します。
ステップ2:ターゲットと課題を明確にする
次に、誰に対してどのような悩みを解決するのかを具体的にします。
- 企業規模
- 業種
- 経営者や担当者が抱える課題感
- デジタルへの得意・不得意
といった条件を設定します。
さらに表に見えている悩みと、その背景にある深い悩みを整理します。
表面的には問い合わせ数を増やしたいというニーズだとします。
しかしその裏には、
- 社員が自走する組織を作りたい
- 営業・マーケティングを自動化したい
といった本音が潜んでいることもあります。
ステップ3:自社に合ったフレームワークを選ぶ
すべてのフレームワークをいきなり使おうとするのではなく、自社の目的や課題に合うものを一つ選び、そこから始めるのがオススメです。
- 広告や認知施策を整理したいならAIDMA・AISAS
- 顧客体験や行動を見直したいならカスタマージャーニー
- 狙う市場を見直したいならSTP
- 新規と既存のバランスを整えたいならダブルファネル
といったように、使い分けるイメージです。
ステップ4:KPIを設定し数字で管理する
各フェーズで確認すべき指標を決め、定期的にチェックします。
- 認知段階:広告表示回数、クリック率
- 興味・検討段階:ページ閲覧数、滞在時間
- 行動段階:問い合わせ数、成約率、リピート率
指標を決めておくと、改善の効果を客観的に判断しやすくなり属人的な感覚から脱却できます。
ステップ5:PDCAで継続的に改善する
集客フレームワークは一度作れば終わりではありません。
- データを見て課題を確認する
- 仮説を立てて打ち手を考える
- 実行して結果を検証する
という流れを繰り返すことで、自社にとっての最適な型が少しずつ育っていきます。
成功したパターンはテンプレート化して、他の商品や別部署にも展開していくと会社全体の資産になります。
集客フレームワーク導入による3つのメリット
1. 集客の再現性が高まる
特定の担当者や社長の頑張りに依存した集客から、誰が担当しても同じ流れで成果を出しやすい状態に近づきます。
2. ボトルネックが分かり、投資の優先順位が決めやすい
広告、ホームページ、営業のどこに課題があるかが明確になるため、限られた時間と予算を、最も効果が見込める部分に集中できます。
3. 社内の共通言語が生まれてチームで動ける
認知、検討、行動、ファン化などのフェーズが共有されることで、会議や打ち合わせで話がかみ合いやすくなって現場の迷いも少なくなります。
導入時に押さえておきたい注意点
フレームワークを万能の正解だと考えない
有名なフレームワークをそのまま当てはめれば必ずうまくいく、というものではありません。
業種や事業フェーズによって最適解は変わるため、自社用にアレンジして使う意識が大切です。
現場に浸透しなければ形だけで終わる
経営層だけが理解していても意味がありません。
担当者が日々の業務の中で使えるレベルまで落とし込み、目的と役割をしっかり共有しておく必要があります。
計測できない仕組みは続かない
雰囲気で良くなっている気がする状態では、改善は進みません。
問い合わせ数や成約率など、最低限追うべき指標を決めてから運用すれば施策が継続しやすくなります。
短期的な結果だけを追い過ぎない
集客フレームワークは仕組みを整えるための投資でもあります。
最初の数か月は基盤づくりと割り切り、中長期で成果を見ていくスタンスが重要です。
成功企業に共通するポイント
成功事例を整理すると、次のような共通点が見えてきます。
- 現状分析からスタートしている
- 企業側の都合ではなく顧客視点を徹底している
- 数字と現場の感覚の両方を大切にしながら改善している
この3つを押さえている企業ほど、フレームワークを自社なりに使いこなして成果につなげています。
まとめ:属人型の集客から、仕組みで回る集客へ
広告や施策を増やすだけでは、集客は安定しません。
大切なのは見込み客が出会ってから、
ファンになるまでの流れを一枚の図として整理して、どこを強化すべきかを明らかにすることです。
集客フレームワークは、そのための土台となる考え方です。
まずは現状のプロセスを書き出して、
自社のターゲットと課題を整理して、合うフレームワークをひとつ選んで試してみる。
その上で、数字を見ながら少しずつ改善を重ねていくことで、属人依存から抜け出して仕組みとして回る集客体制が整っていきます。




