LOGOS 年2月末世界市場レビュー2025

LOGOS 年2月末世界市場レビュー2025

2025年2月末主要指数 2025年1月末
ダウ工業平均 / 43,840.91 (-1.6%). 44,544.66 (+4.7%).
S&P500指数 / 5,954.50 (-1.4%) 6,040.53 (+2.7%)
NASDAQ指数/18,847.28 (-4.0%) 19,627.44 (+1.6%).
日経225平均/ 37,155.50 (-6.1%) 39,572.49 (-0.8%).
米ドル対円 / ￥150.6 ￥155.21
ポンド / ￥189.4 ￥192.45
ユーロ / ￥156.3 ￥160.82
金/ 2,848.50 (+0.6%) 2,831.50 (+7.2%)
米 10年国債 / 4.21% 4.54%

世界政治・経済・市場は全てトランプ旋風に翻弄されています。3月4日に行われた連邦議会トランプ施政方針演説は大統領就任行事として異例でした。本来は1年間の施政方針を発表し、国民に国家の抱負を訴える祭壇です。トランプ大統領は本人のアジェンダを強調し、一方的な論調を発信し、国民の分断を率いることに終始しました。前バイデン大統領を史上最悪の大統領であったと罵倒し、結果として演説は共和党議員からは拍手を浴びると同時に、民主党議員の反感を買い、過半数が席を退出する始末となりました。不法移民追放及び報復関税は中心的課題となり今後の措置が懸念されます。
発信するトランプアジェンダは枚挙に暇がありません。ウクライナ戦争の終結を図るに当たってトランプ大統領は、ゼレンスキー・ウクライナ大統領を無視し、プーチン大統領に打診し和平交渉を目論んでいます。ゼレンスキー・トランプ会談が実現したものの、ゼレンスキー大統領の戦時体制の服装に異を唱えることに始まり、高圧的なバンス副大統領による感謝の意を怠ったとの糾弾に至り、テレビ放映の首脳会談は決裂に終わりました。突如として侵略戦争を開始し、ロシアによるウクライナ国略奪を阻止するNATO諸国に対し、中心的軍事支援を提供してきた米国撤退の危機に晒されています。ユーロ諸国はスターマー英國首相招集のもとゼレンスキー大統領に対し、対ウクライナ全面的支持を発表したものの、米国支援を中心に求める姿勢に変化は見られません。1938年ミュンヘン会議にて英・仏両国はドイツ・ナチ政権にチェコスロバキアのズデーデン・ドイツ語圏の侵攻を認めた融和政策がその後速やかにドイツのヨーロッパ全域侵略に至った歴史的教訓はどうなったのでしょうか。NATO諸国は公約として国防費をGDP比2％を達成する義務を負っているのに対し、米国に甘えそれすら達成できていません。本来であれば戦時体制に移行し本格的に防衛力強化を図るべきでしょう。日本も対岸の火として全く意に介していません。石破トランプ会談が事なきを得たことを大いに満足している次第です。
トランプアジェンダの重要な柱は関税です。中国に対しては全面的10％関税に対し10％を追加し、メキシコ、カナダに対しては4月2日から25％関税実施を発表。その他鉄鋼、アルミニウム、自動車など実施時期は未決定であるが、実行は目前に迫っています。トランプ発表によるといずれの諸国に対しても報復として同等の関税率を実施することを公約。
中国では習近平党首は主要IT企業経営陣を招集し、弾圧から奨励に大転換を図っています。デイープ・シークの功績を讃え、ハイテク競争力を強化する大転換に至っています。公約のGDP5％成長実現とハイテク競争力強化を確実にする意図でしょう。
トランプ政策はインフレを助長する見通しコンセンサスとなっていますが、関税対策は景気減速要因となる可能性も懸念されてきました。その兆候の指標は米10年国債利回りで、2月には大幅低下となりました。景気対策として、米下院は4.5兆ドル減税と2兆ドル歳出削減を可決しました。エヌビデアは78％増収を発表しましたが、主要IT銘柄の収益はアチマチで、NASDAQ指数は4％の下落となっています。ビットコインも大きく下落し、それに反し金価格はほぼ変わらずで、堅調を保っています。前者はトランプ肝入れ、後者は不確定要因のシグナルでしょう。米国株式市場は荒れ模様の兆しを示しています。
　　
LOGOSキャピタルパートナーズ
伊藤　武