空想の次元に陥った世界財政事情
LOGOS 10月末世界市場レビュー2024年
2024年10月末主要指数
10月末 9月末
ダウ工業平均/41,763.46 (-0.1 %) 42,156.97 (+1.4%)
S&P500指数 / 5,705.45 (0.0%) 5,708.75 (+ 1.1%)
NASDAQ指数 /18,095.15 (+1.0%) 17,910.36 (+1.1%).
日経225平均 / 39,081.25 (+3.1%). 37,919.55 ( -1.9%).
米ドル対円 / ¥152.11 ¥143.66
ポンド / ¥196.24 ¥192.16
ユーロ / ¥165.55. ¥160.00
金 / 2,760.20 (+3.5%) 2,665.60 (+5.1%).
米 10年国債/ 4.29% 3.80%
10月の世界市場で最も特筆する事項は、新石破政権が10月9日に衆院解散を表明し、27日に選挙が行われた一連のニュースでしょう。早期総選挙は意表をつき、自公連立与党の惨敗に終わり、過半数議員を大幅に割る結果となりました。今後の政情混乱を招くことは必至です。特筆することは日経平均が急騰したことです。10月2日の総理石破・植田日銀総裁会談の結果早期利上げの懸念が遠のき、円は一気に円安に転換しました。米国株式市場は第三四半期GDPが2.8%成長を記録したのと、有力ハイテク銘柄が予想を上回る企業収益を発表。エヌビデアの再度の最高値更新に伴いNASDAQ指数も急騰を演じました。米国の堅調な経済とそれに伴う予想を上回る増益基調が株式市場を支えていますが、ダウ工業平均もS%P500種指数も横ばいに留まっています。足を引っ張る最大の要因は金利上昇であると判断します。LOGOSの市場観測で一貫して指摘してきたことは、米10年国債金利が4%を上回ると警戒感が高まることです。10年国債利回りは9月末の3.80%から一気に4.29%に上昇しました。
衆議院総選挙後の日本株式市場急騰は全く不可解ですが、与野党妥協の結果は拡大財政の継続期待かもしれません。米大統領選挙はいよいよ11月5日に控えています。トランプ・ハリス戦況は拮抗状況にあり全く予測がつきません。いずれの候補者の勝利であろうが株式市場への影響は限定的となることを期待します。それよりも米両院の行方であり、いずれの大統領も両党の議会支配力に大きな影響を受けることとなります。株式市場にとって最も懸念されるのは大統領選挙結果が早期に判明しないか、僅差のトランプ敗北でしょう。トランプは敗北を認めず、前回選挙結果以上に政治的膠着や政情不安を招く危険を孕んでいます。いずれにせよ、米国株式市場は今後数ヶ月間大きな暗雲に覆われる可能性が高まっています。
金価格は絶え間なく上昇を継続しています。明らかに地政学要因と米国内政治情勢の不透明状況に起因しています。通常は金利低下状況で利子を産まない金投資が高まると言われていますが、現時点においては金利急上昇に伴い金価格が上昇基調を堅持しています。イスラエルは対イラン報復を軍事基地爆撃に止めましたが、今後の状況は予断を許しません。北朝鮮はウクライナに特殊部隊を派遣し、戦況は更に悪化しています。
世界株式市場は、米国を中心に基本的に堅調な経済環境と楽観的見通しに支えられていますが、暗雲に覆われる危険性は高まっていると観察します。
LOGOSキャピタルパートナーズ
伊藤 武