債務整理 解決策は三通り
今回は自己破産について説明します。
自己破産とは
ひとことで言うと「裁判所に申し立てをして、借金をゼロにしてもらう」手続きです。
ご相談者の中には「返済しなくていいから自己破産したい」と言う方がいますが、そう簡単ではありません。債権者にとっては、まったく返済を受けられなくなるのですから大変な話です。
そこで裁判所が破産を認めていいか審査します。
管轄裁判所は申し立てをする人の住所地を管轄する地方裁判所です。
地裁ですので司法書士の簡裁代理権は及びませんが、司法書士法に定められた裁判所提出書類の作成業務として対応できます。
自己破産を考える際に検討すべき点
自己破産を考える際には、次のような点を検討する必要があります。
お一人で悩むよりも、早めに専門家にご相談されることをお勧めします。
1 任意整理・個人再生では返済できないか
すでにのべたように裁判所は自己破産を簡単には認めてくれません。
毎月の収支の面では任意整理が難しい場合でも、所有する不動産等の財産を売却してその代
金を返済に充てれば、任意整理ができるケースも見受けられます。
また個人再生で債務を減額できれば返済できるケースも多々あります。
2 すべての債権者を含めて手続きをする必要がある
「ローンの返済は自己破産で免除してもらって、親(友人・勤務先)には返済を続けられな
いか?」とのご相談をよく受けます。
破産したことを知られたくない、あるいは義理を欠きたくないと考え方は多いようです。
しかし自己破産では一部の債権者を破産手続から除外して手続きをすることはできません。
一部の債権者を破産手続から除外すると、その債権者だけが返済を受けることができる結果
となり、返済を受けられない他の債権者と比較して不公平になるためです。
この考え方を債権者平等の原則といいます。
債務を一律に減額する個人再生でも同様です。
したがって、どうしても一部の債権者を債務整理に含めたくない場合は任意整理の方法を選
ぶしかありません。
3 職業制限にかからないか
破産手続きをした場合、一定期間、就くことができない職業があります。
(1)おおまかにいうと「他人の財産を扱う職業」
具体的には警備員・保険外交員・証券外務員などが該当します。司法書士・弁護士なども
同様です。
(2)制限は一時的
破産開始の決定を受けた(=破産者になった)時点から、一般的には免責(=債務の免
除)の許可が確定した時点までの間に限られます。
(3)取締役の場合
取締役は破産者となった時点でその地位を失います(民法第653条第2号)。
ただし、この破産者であることは取締役の欠格事由ではありません
(会社法第331条参照)。つまり破産者でも取締役になることができます。
具体的には取締役だった破産者が株主総会などの手続きを経た上で選任され、就任承諾を
すればよいわけです。



