ある家庭でのこと。
年長になる幼児が、
「三角形はあるけど、二角形はないの?」
と言ったので、
今度くにたち数学クラブに行ったら
聞いてみましょうという話になったという。
はたして二角形はあるのか、ないのか。
そんなことは現代、どこの本を探しても書かれていないけれど、
実は、紀元前300年ごろの数学者ユークリッドが著した『原論』という書物には、
幾何学の基礎をなす公準のひとつとして
「二角形は面積を囲まない」
という命題が書かれている。
ユークリッドは
図形に関するすべての性質を論理的に
証明していくためにどうしても必要な前提として
このような二角形の特性に着目したのだった。
ふとしたときに子どもの口から発せられる疑問や呟き。
そうしたものの中には、古代から現代まで連綿として
続く数学の営みにも通じるものが往々にしてあるような気がする。
心に浮かんだ疑問やこだわり。
そうしたものを大切に温め、深めていくか、
それとも一笑に付して忘れてしまうか。
大数学者と日常を生きるだけの平凡な人生との違いは、
案外そんなところにあるのかもしれない。
これからも、わたしたち大人には想像もつかない
幼児のすばらしい潜在的能力に注目していきたい。
2角形はあるの?
テーマ:幼児と数学
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植野義明(数学教室)
株式会社くにたち数学クラブ
数学者としてのキャリアを背景に、数学教育の専門家として活動。子どもたちが数学を好きになり、学習に対する意欲を育てることを目指し、学ぶ喜びを感じながら自然に数学的思考が身に付くようサポートしています。
植野義明プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です
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