“しつけ”より“共育”へ~家庭教育が子どもの才能を開花させる理由~

大槻由美

大槻由美

テーマ:家庭教育の大切さ

しつけとは何か、共育とは何か

「早くしなさい」「ダメでしょ」「何度言えばわかるの!」
そんな言葉を、今日も口にしていませんか?

私も、かつてはそうでした。
親として“正しく育てなければ”という思いが強すぎて、気づけば「子どもを導く」ことに一生懸命。

でもある日、ふと気づいたのです。
子どもを育てているつもりで、実は“自分も一緒に育ててもらっている”んだ、と。

その気づきから私の中で「しつけ」ではなく「共に育つ=共育(きょういく)」という考えが芽生えました。
家庭教育とは、親が子を教える一方通行のものではなく、親と子が共に学び合い、共に成長していく過程なのです。

“しつけ”が生まれた時代背景

日本では、戦後の教育の中で「しつけ」という言葉が広まりました。
社会の秩序を守り、ルールを教え、礼儀を学ばせる。
これは当時の社会ではとても重要な役割でした。

しかし現代はどうでしょう。
情報があふれ、価値観が多様化し、AIが進化する中で、**「正解を教える」ことよりも、「自分で考える力」**が求められています。
つまり、昔ながらの“しつけ型教育”では、子どもが自分の才能を自由に伸ばす余白が少なくなってしまうのです。

家庭教育が果たす“第1の学び舎”としての役割

文部科学省も、いま「家庭教育」を教育の原点と位置づけています。
なぜなら、子どもの“心の基盤”をつくるのは家庭だからです。

学校や塾で得られるのは知識ですが、
家庭で育まれるのは「自信」「安心」「愛されている実感」。

子どもが挑戦できるのは、
「失敗しても大丈夫」と思える安心基地=家庭があるからです。

才能は“安心”からしか花開かない


脳科学の世界では、子どもの脳が最も活発に成長するのは0~6歳といわれます。
なんと3歳までには80%~90%完成してしまうという驚き事実。
この時期に重要なのは、“安心”と“好奇心”を感じる環境。

人の脳は「安心しているとき」に、前頭前野(創造力や判断力を司る部分)が活性化し、
逆に「叱られ続ける」「比較される」状態では、脳がストレスモードに入り、思考や行動が萎縮してしまいます。

つまり
安心の中にこそ、才能が育つのです。

共育の第一歩は“共感”から

共育の基本は、「共に感じる」こと。
子どもが失敗したときに、怒るのではなく、まずは「驚いたね」「悔しかったね」と心を寄せる。

この“共感”が、子どもの心を開くカギになります。
親が自分の気持ちを理解してくれたとき、
子どもは「次はこうしてみよう」と前を向けるようになります。

家庭教育とは、子どもの感情に寄り添いながら、一緒に考える練習です。

親が変われば、子どもも変わる

うちの子、やる気がなくて…」
そんな相談をよく受けます。

でも実は、子どもが変わらないのではなく、親が“変わるきっかけ”を見せていないだけかもしれません。

たとえば、親が「今日ね、仕事で失敗したけど、次はこうしてみることにした」と話す。
そんな姿を見て、子どもは“挑戦する背中”を学びます。

親が完璧でなくてもいい。
一緒に悩み、一緒に立ち上がる姿こそが、最高の家庭教育です。

“教える”より“引き出す”
子どもは、もともと自分の中にたくさんの才能の種を持っています。
でもその芽を出すには、「正解を与える」よりも、「問いかけてみる」ことが大切。

たとえば
「どうしたらうまくいくと思う?」
「次はどんなやり方をしてみたい?」

問いかけるたびに、子どもの脳が考え、感じ、行動を選び始めます。
家庭教育とは、「子どもの中にある力を信じて、待つ勇気」なのです。

親子の“共育習慣”をつくろう

すぐに始められる共育習慣を、いくつか紹介します。

1.「1日1つ感謝を伝える」
「お手伝いしてくれてありがとう」
「笑顔でいてくれてうれしい」
この一言が、子どもの自己肯定感を高めます。

2.「寝る前5分の対話」
テレビやスマホを消して、「今日どうだった?」と聞くだけでOK。
心を整える時間が、翌日のエネルギーになります。

3.「親も“学ぶ姿勢”を見せる」
親の“学ぶ姿勢”が脳を刺激する理由
脳科学の世界では、「ミラーニューロン」という神経細胞が注目されています。
これは、人が誰かの行動を見ただけで、その行動を自分がしているかのように脳が反応するしくみ。

つまり
親が「学ぶ」「挑戦する」「失敗から立ち直る」姿を見せるだけで、
子どもの脳の“やる気スイッチ”が自然にオンになるのです。

たとえば、

お母さんが読書している姿

お父さんが資格や語学の勉強をしている姿

親が「これ難しいけど面白いね!」と前向きに取り組む姿

これらを見ている子どもの脳の中では、
「自分もやってみたい」「できるかもしれない」という感情が芽生えています。
脳は、“見ているだけ”で学びを模倣しようとするのです。

学ぶ姿勢が「安心」と「尊敬」を生む
さらに、親が学び続ける姿は、子どもに心理的な安心感と尊敬の感情をもたらします。

「ママ(パパ)も頑張ってる」
「失敗しても楽しそう」
「大人も学んでいいんだ」

そんな気づきが、子どもの心を柔らかくし、
“挑戦する勇気”を育てます。

子どもの自己肯定感は、
「親が自分を信じている」「一緒に成長している」と感じたときに、最も高まります。
親が完璧である必要はありません。
大切なのは、“今も学び続ける人”でいること。

今日からできる「学ぶ背中の見せ方」3選
①一緒に学ぶ時間をつくる
 子どもが宿題をしている横で、親も本を読んだりノートを取るだけでOK。
 「一緒に頑張る空気」が家庭に流れます。

②学んだことを家庭の話題にする
 「今日ね、セミナーで面白い話を聞いたよ」
 「この本に“感情を言葉にするのが大事”って書いてあった」
 そんな一言が、家庭を“学びの場”に変えます。

③失敗をポジティブに語る
 「失敗しちゃったけど、次はこうしてみる」
 親が失敗を笑って語ると、子どもは「挑戦=怖くない」と理解します。

親が学ぶ家庭は、子どもの未来が広がる
“学ぶ親”の家庭は、会話が増え、笑顔が増え、そして夢が増えます。
学びは年齢ではなく、「心の姿勢」。

子どもが「勉強したくない」と言う前に、
親が「学ぶって楽しいね」と言える家庭に。


それが、“しつけ”を超えた“共育”の第一歩です。
そしてその背中こそが、子どもの才能を静かに、でも確実に開花させていきます。

“共育”が生み出す親子の奇跡

私自身、息子が5歳のときに「日本一の空手選手になりたい」「パイロットになりたい」という夢を聞きました。
そこから始まった親子の挑戦の日々。

私が仕事を変え、引っ越しをし、サポートのすべてを注いだ時間は、決して平坦ではありませんでした。
でも、「夢を信じてくれる人がいる」という安心感が、息子を支え、
結果として“空手日本一”と“エアラインパイロット”という二つの夢を叶えることができました。

あの経験を通じて確信しました。
家庭が教育現場でもあり、親子で夢を育てる場所なのだと。

これからの時代、“共育家庭”が未来をつくる
AIが進化し、知識がすぐ手に入る時代。
これから必要なのは、「人と共に生きる力」「感じて考える力」「愛をもって行動する力」。

それらは、学校のテストでは測れません。
家庭という小さな社会でこそ、日々の関わりの中で育まれます。

“しつけ”より“共育”へ

親が子どもに教えるのではなく、親子で一緒に成長する家庭。
その輪が広がれば、きっと日本中の子どもたちの才能が輝き出すでしょう。

結びに:家庭教育から、笑顔あふれる未来へ
家庭教育とは、子どもを管理することではなく、信じることから始まる愛のプロジェクトです。
家庭の中で、親も子も「学び合い」「感じ合い」「育ち合う」。

それが、“ひといく”が目指す「共育の社会」。
親子の笑顔が増え、夢を語り合う時間が生まれれば、未来はきっともっと明るくなる。

今日から、あなたの家庭でも“共育”を始めてみませんか?

親が輝けば、子どもも輝く。
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大槻由美
専門家

大槻由美(子育て人材育成)

一般社団法人ひといく

キャリアと子育て経験をもとに、幸せな親子関係や子どもの成長に合わせた言葉がけ、親の関わり方など実践的かつ体系的に学べる資格講座を開催。子どもの夢を応援したい保護者や教育関係者・企業・地域人材をつなぐ。

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