SDGs(持続可能な開発目標)とは?DXとの関係性についても解説

上村公彦

上村公彦

テーマ:DX

最近、「SDGs」という言葉をニュース番組などでよく聞くようになりました。このSDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された国際社会共通の目標のことです。SDGsはDXと深い関係性があり、さまざまな関係性や考え方の議論が実施されています。

そこで本投稿では、SDGsの「17の目標」と「169のターゲット」、SDGsとDXの関係性について解説します。最後までご覧になることで、SDGsとDXの関係性を深く理解できた上で、自社のDX推進に大きく活かせるはずです。

SDGsとは?

SDGsとは?
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月の国連サミットで採択された国際社会共通の目標のことです。

この国際サミットでは、国連加盟193か国が2016年から2030年までに達成する目標を掲げました。このSDGsは目標を実現するために「17の目標」と「169のターゲット」から構成されており、「地球上の誰一人として取り残さない」ことを誓っています。

SDGsの前身はMDGs

SDGsは2015年9月に採択された国際社会共通の目標ですが、その前身にあたるのが「MDGs(エム・ディー・ジーズ/ミレニアム開発目標)」です。

MDGsは2000年に国際サミットで採択され、2015年に達成期限を迎えました。そして、このMDGsに代わる新たな国際社会共通の目標として、達成期限の同年にSDGsが定められたのです。

また、SDGsは「17の目標」を掲げていますが、MDGsでは2015年までに達成すべき「8つの目標」を掲げていました。その「8つの目標」は以下のとおりです。

  1. 極度の貧困と飢餓の撲滅
  2. 初等教育の完全普及の達成
  3. ジェンダー平等推進と女性の地位向上
  4. 乳幼児死亡率の削減
  5. 妊産婦の健康の改善
  6. HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
  7. 環境の持続可能性確保
  8. 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

このように「8つの目標」を掲げたMDGsは、先進国による途上国の支援を中心とした内容でした。しかし、この目標には途上国からの反発もあり、地域の偏りなどの見落としが指摘されたのです。

その影響により、2015年に採択されたSDGsでは「地球上の誰一人として取り残さない」という強い意思を表明し、先進国と途上国が協力し合って達成すべき目標へと構成されました。

SDGsにおける「17の目標」と「169のターゲット」

SDGsにおける「17の目標」と「169のターゲット」
SDGsの基礎概要がざっくりと理解できたところで、SDGsにおける「17の目標」と「169のターゲット」を詳しくみていきましょう。それぞれの内容を深く理解することで、SDGsの本質がみえてくるはずです。

SDGsの「17の目標」

まずは「17の目標」から確認しましょう。

No.目標内容
1貧困をなくそうあらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
2飢餓をゼロに飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
3すべての人に健康と福祉をあらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
4質の高い教育をみんなにすべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
5ジェンダー平等を実現しようジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
6安全な水とトイレを世界中にすべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
7エネルギーをみんなにそしてクリーンにすべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
8働きがいも経済成長も包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
9産業と技術革新の基盤をつくろう強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
10人や国の不平等をなくそう各国内及び各国間の不平等を是正する
11住み続けられるまちづくりを包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
12つくる責任つかう責任持続可能な生産消費形態を確保する
13気候変動に具体的な対策を気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
14海の豊かさを守ろう持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
15陸の豊かさも守ろう陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
16平和と公正をすべての人に持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
17パートナーシップで目標を達成しよう持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

このように、SDGsの「17の目標」は貧困や飢餓など、途上国に対する支援が多いように思えます。しかし、「海の豊かさを守ろう」や「パートナーシップで目標を達成しよう」といった目標については、先進国である日本でも当てはまることです。

つまり、SDGsの「17の目標」は途上国を中心にした取り組みだけでなく、もっと包括的な要素が含まれています。SDGsがこれだけ幅広い目標を掲げているのは、各国の経済成長までも踏まえた取り組みであるためだといえます。

SDGsの「169のターゲット」

続いて、SDGsの「169のターゲット」をご紹介します。「169のターゲット」は「17の目標」をより具体的に表したものであり、各目標に対して10個程度の取り組みが存在します。

具体例として、目標1の「貧困をなくそう」をあげて解説します。「169のターゲット」を明確にイメージするためにも、以下のターゲットをご覧ください。

No.目標1「貧困をなくそう」のターゲット
1.12030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.22030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.42030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
1.52030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
1.aあらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
1.b貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

上記はほんの一例ですが、「169のターゲット」に対するイメージはできたかと思います。SDGsの「169のターゲット」には具体的な取り組みから、少し抽象的なものまで存在します。

そのことから、「169のターゲット」の詳細を表した目標として「232の指標」が設けられています。なお、「232の指標」は重複を含めると全部で244もの指標があります。

SDGsとDXの関係性

SDGsとDXの関係性
ここまで、SDGsにおける「17の目標」と「169のターゲット」を詳しくご紹介しました。それでは、このSDGsとDXの関係性についてみていきましょう。

そもそもDXとは、デジタル技術を用いたサービスやビジネスモデルの変革のことを意味します。このDXはSDGsをつなぐ言葉として、日本政府や経団連は「Society 5.0」という概念を公表しています。

この「Society 5.0」は、AIやIoT、ビッグデータなどのテクノロジーをあらゆる産業に取り入れることで実現する「新たな未来社会の姿」を意味します。つまり、「狩猟社会(Society 1.0)」や「農耕社会(Society 2.0)」といった人類の社会発展の歴史における5番目の新しい社会の姿ということです。

日本政府と経団連が提唱した「Society 5.0」を実現させるためには、人類がデジタル技術を使いこなし、DXとSDGsの推進によって社会全体の変革が求められます。そのことから、DXとSDGsは密接な関係にあり、これからの経済成長においてキーポイントとして機能します。

また、「DXはSDGsを実現するための手段にすぎない」という考え方も存在します。実際に経団連では「SDGs達成に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)」という名の分科会が開催されています。DXを実現することでグローバルな課題につなげて、SDGsの達成に近づけるという議論が実施されています。

まとめ

本投稿では、SDGsの「17の目標」と「169のターゲット」、SDGsとDXの関係性について解説しました。

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された国際社会共通の目標であり、「17の目標」と「169のターゲット」で構成されています。それぞれは途上国を中心にした取り組みだけでなく、もっと包括的な要素も含まれています。

また、SDGsはDXと深い関係性があり、日本政府や経団連が提唱した「Society 5.0」では重要なキーワードとして機能します。「DXはSDGs達成の手段にすぎない」という考えも存在するなど、切っても切り離せない完成性があることがわかるはずです。

なお、DXについて詳しく知りたい方は「世界的に注目されているDXとは?ビジネスで役立つ基礎知識をわかりやすく解説」を確認してみてください。SDGsとDXの関係性をもっと深く理解できるはずです。

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上村公彦
専門家

上村公彦(システムコンサルタント)

株式会社クラボード

新規事業のためのシステムコンサルティングおよびシステム・アプリ開発で豊富な実績。ベンチャー企業での事業開発経験で培われた「提案力」を発揮し、ニーズに対応。経営者目線でIT戦略を導きます。

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