【ChatGPT音声機能】生成AIをシステム開発で活用する方法【システム開発】
前回ChatGPTを使ってRFPの作成を試してみました。今回はCopilotとGeminiを使って、同様にRFPが作れるのかということを試してみたいと思っております。
今回の投稿は3つの生成AIを使ってRFPを作成してみるというテーマの続きですので、もし前回以前の投稿をご覧いただいてない方は、是非ご覧いただければと思います。
(1回目→ 【生成AI活用】RFPの基礎を学ぶ 【ChatGPT/Gemini/Copilot 比較】)
(2回目→【生成AI活用】RFPを作成してみた【ChatGPT】)
※このコラムの内容は動画で公開しています。Youtube版はこちらをご覧ください。
発注者の前提
まず始める前に、今回3つの生成AIを比較するという目的があるので、前回ChatGPTで作った時と同じ条件で試してみなければなりません。では前回どのような条件だったかというと、以下のような内容でした。
発注者の設定
- システム開発の初心者でRFPの作成は初めてである
- RFP作成の情報を体系立てて作れない
- 専門的なこと(非機能要件的な)は分からない
RFP作成に必要な情報
- 架空の企業がアプリを作るという内容
会社情報・システム化の目的・背景・期待すること・連絡先
当社は、株式会社SABAメガネといい、福井県鯖江市を拠点とするメガネフレーム工場です。これまでは、メーカーの下請けとしてメガネフレームを作ってきたのですが、利益率も低く、事業の拡大が期待できないことから、直接お客様へ販売をしたいと考えました。
メガネをされている方は、既製品の中から製品を選ぶしかなく、好きなデザインでも、サイズが合わない。サイズに合わせると、デザインを妥協しなければならないという問題を抱えています。
そこで、セミオーダーでメガネが買えるアプリを開発し、お客様のニーズに応えたいと考えました。
マーケットリサーチもしておらず、具体的な売上目標・利益率などは立てていませんが、まずは1年間で3万人のユーザー登録、3%の購入率、30,000円の平均単価を目標としています。
この件については、企画部が担当し、
連絡先電話番号は0000-11-2222、
メールアドレスはtaro.xxx@sabamegane.com、
担当は鈴木一郎です。
システム要件
作りたいアプリでは、次のようなことができれば良いと考えています。
- ユーザーがデザインを選択できる。
- 選択可能なのは、フロントの形状とテンプルの形状。
- 色を選択できる。フロントとテンプルは別々の色を選択可能。
- 寸法を計測する。
- バーチャル試着ができる。
- ただし、寸法の計測が難しいようならば、提携メガネ店で実施するので予約を取るための機能が欲しい。
- 選択したデザイン・色・寸法で注文できる。
- 注文内容はユーザーと管理者へメールで通知される。
- 注文にはユーザー登録が必要。
- 販売管理システムと連携するために、注文情報(受注情報)をダウンロードできるようにする。
ターゲットユーザーは、20代〜50代と幅広くしたい。
iPhoneでもAndroidでも使えるようにしたい。
期間・予算
2024年11月11日までにご提案いただき、11月末までに発注先を決定したい。
初めてのアプリ開発であるため、予算は未定。
概算見積を頂きたい。
※この設定は「架空のプランであり、社名・メアド等全て実在するものではありません」
以上の情報を提供して、CopilotとGeminiにRFPを作成してもらいました。
ここに前回作成したChatGPTの結果も合わせて、改めて見ていきたいと思います。
ChatGPTのRFP確認
まずこちらが前回ChatGPTで作成したRFPです。
<ChatGPTとの応答>
ChatGPT「以下に、株式会社SABAメガネ様のアプリ開発プロジェクトに関するRFPを作成しました。
RFP(提案依頼書):株式会社SABAメガネ 【セミオーダーメガネ購入アプリ開発プロジェクト】
1、会社概要
- 会社名:株式会社SABAメガネ
- 所在地:福井県鯖江市
- 事業内容:メガネフレーム製造(主にメーカーの下請けとしてメガネフレームを製造)
- プロジェクト背景:これまで下請けとしての事業運営により利益率や事業拡大の課題を考えてきました。そこで、消費者向けに直接販売を行い、ユーザーのニーズに合わせた「セミオーダーメガネ」の提供を目指しますあります。
2、プロジェクトの目的
自分利用者がデザインやサイズに遜色なく、自分好みのメガネを注文できるサービスをアプリで提供し、顧客満足度を向上させることを目的としています。
3、目標
- 1年間で3万人のユーザー登録
- 購入率:3%
- 平均購入単価:30,000円
4、アプリ機能の要件
当社が希望する主要機能要件は以下の通りです。
- デザイン選択機能:フロント形状とテンプル形状の選択
- 色の選択機能:フロントとテンプルの色を個別に選択可能
- 寸法計測機能:ユーザーの顔寸法を計測する機能
・計測が難しい場合には、提携メガネ店での計測ができるよう予約機能を追加
- バーチャル試し機能:ユーザーが選択したデザインや色で試しシミュレーションが可能
- 注文機能:選択したデザイン・色・寸法での注文が可能
・注文内容をユーザーおよび管理者にメール通知
- ユーザー登録機能:注文にはユーザー登録が必須
- 販売管理システムとの連携:受注情報のダウンロードが可能な機能
5、ターゲットユーザー
- 年齢層:20代〜50代
- 使用端末:iPhoneおよびAndroid
6、技術要件
- プラットフォーム:iOS、Android(クロスプラットフォーム開発が始まる)
- 販売管理システムとのデータ連携:受注情報をダウンロード可能な仕組み
- システム構成:データの安全管理および通知の確保
【7、非機能要件】
- 【セキュリティ:個人情報保護とデータの安全な管理】
- 【パフォーマンス:スムーズな動作とレスポンスの確保】
- 【拡張性:将来的な機能追加に対応可能な設計】
- 【メンテナンス性:運用しやすく保守対応がしやすい構造】
8、スケジュール
- 提案書提出期限:2024年11月11日
- 発注先決定:2024年11月末
- 【リリース目標:契約時に改めて詳細を検討】
9、予算
最初のアプリ開発であり、当面の予算は未定です。
10、連絡先
- 担当部署:企画部
- 担当者:鈴木一郎
- 電話番号:0000-11-2222
- メールアドレス:taro.xxx@sabamegane.com
【11、評価基準】
- 【提案内容は以下の基準で評価し、選考を行います:】
【・機能要件の充実度:要件に対する適合性】
【・スケジュールの検討性:納期遵守の可能性】
【・慎重見積もりの適正性:コストと内容のバランス】
【・技術力・実績:過去の類似開発経験とスキル】
【・拡張性とメンテナンス性:将来的な機能追加や変更に対応できる設計の提案】
ご提案書を、2024年11月11日までにご提出いただけますようよろしくお願いいたします。」
この【】で囲った部分は未送信の情報でAIからの提案です。非機能要件、リリース目標、評価基準も特に記載していませんでしたが、ChatGPTの方で追加してくれた内容です。
黄色の部分は、日本語表現が不正なところです。提供を目指しますありますだったり、自分利用者がというのもおかしいですね。他にも日本語の表現として怪しいところや、ユーザーの顔寸法、バーチャル試し機能など、こちらが書いていないおかしな表現を使用したりしています。
残念ながら、予算は未定で概算見積が欲しいということを書いていたのに、そこは記載が抜けていました。
CopilotのRFP確認
では次にCopilotを見てみます。
<Copilotとの応答>
Copilot「Request for Proposal(RFP):株式会社SABAメガネ
プロジェクト概要:株式会社SABAメガネは、福井県鯖江市拠点を置くメガネフレーム工場です。当社はこれまでメーカーの下請けとしてメガネフレームを製造してきましたが、企業の拡大を図るため、直接顧客に販売する新しい事業モデルを構築したいと考えています。これに伴い、顧客がセミオーダーでメガネを購入できるアプリの開発を依頼します。
プロジェクトの目的:当社の目的は、顧客が自分の好みに合わせてデザインを選び、寸法を正確に計測し、オンラインでメガネを注文できるプラットフォームを提供することです。これにより、顧客の満足度を高め、販売チャンネルを拡大したいと考えています。
要求される機能:
1、デザイン選択機能:
- フロントの形状とテンプルの形状・色を選択可能
- フロントとテンプルは別々の色を選択可能
2、寸法計測機能:
- バーチャル試着機能(寸法計測が難しい場合は、提携メガネ店で実施するための予約機能)
3、注文機能:
- 選択したデザイン・色・寸法で注文可能
- 注文内容はユーザーと管理者へメールで通知
4、ユーザー登録:
- 注文にはユーザー登録が必要
5、販売管理システムとの連携:
- 注文情報(受注情報)をダウンロードできるようにする
ターゲットユーザー:20代〜50代の幅広いユーザー層
プラットフォーム:iPhoneおよびAndroid対応
提出期限:2024年11月11日までにご提案をお願いいたします。発注先は11月末までに決定予定です。
予算:予算は未定のため、概算見積を頂けると助かります。
連絡先情報:企画部担当者:鈴木一郎 電話番号:0000-11-2222 メールアドレス:taro.xxx@sabamegane.com」
送った内容の体裁を整え直したに過ぎなく、RFPらしくありません。
GeminiのRFP確認
では最後にGeminiです。
<Geminiとの応答>
Gemini「2024年10月15日
株式会社SABAメガネ
1、会社情報
- 会社名:株式会社SABAメガネ
- 所在地:福井県鯖江市xxxx(詳細は省略)
- 企業内容:メガネフレーム製造
- 【従業員数:xx名】
- システム化を検討している部署:企画部
- 連絡先:
・電話番号:0000-11-2222
・【メールアドレスを削除しました】
・担当者:鈴木一郎
2、プロジェクトの概要
- プロジェクト名:【セミオーダーメガネ販売アプリ開発】
- システム化の目的: 【<<潜在的な課題を読み取る】
【・直接販売による利益率向上】
【・事業拡大】
【・ユーザーニーズへの対応】
- ・期待する効果:
【・新規顧客獲得】
【・売上増加】
【・ブランド認知度向上】
- システムの対象範囲:メガネのセミオーダー販売
- 目標値:
・1年間でユーザー登録数3万人
・購入率3%
・平均単価 30,000円
3、現状の課題
- 下請け製造のため利益率が低い
- 企業拡大が見込めない
- 顧客ニーズに合わせたメガネを提供できない
4、システムの要件
4、1 機能要件
- ユーザー向け機能
・ユーザー登録・【ログイン機能】
・メガネフレームのデザイン選択機能(フロント形状、テンプル形状)
・メガネフレームのカラー選択機能(フロント、テンプル個別)
・寸法計測機能(または提携メガネ店予約機能)
・バーチャル試着機能
・注文機能
【・注文履歴確認機能】
- 【管理者向け機能】
【・ユーザー管理機能】
【・商品管理機能】
【・注文管理機能】
・受注情報ダウンロード機能
【・システム管理機能】
4、2 画面イメージ
- 【(別途、画面イメージを添付)】
【4、3 非機能要件】
- 【パフォーマンス:快適な操作性を実現】
- 【セキュリティ:個人情報保護に配慮した設計】
- 【ユーザビリティ:直感的で使いやすいUI/UX】
- 【可用性:安定稼働】
【5、運用要件】
- 【システムの利用者数:3万人/年(目標)】
- 【利用頻度:不定】
- 【アクセス集中時期:キャンペーン時など】
- 【セキュリティ要件:個人情報保護法準拠】
- 【運用体制:自社運用】
- 【必要なサポート体制:電話、メールサポート】
6、技術要件
- 対応OS:iOS、Android
- 【開発言語:適宜提案】
- 【データベース:適宜提案】
- 【インフラ環境:クラウド環境を想定】
- 【セキュリティ対策:SSL通信の導入など】
7、スケジュール
- RFP提出期限:2024年10月15日 【<<記載していない】
- 提案書の提出期限:2024年11月11日
- 発注先決定:2024年11月末
- 【システム開発開始:要相談】
- 【システム開発完了:要相談】
8、予算
- 未定(概算見積を希望)
【9、提案書の評価基準】
- 【価格】
- 【技術力】
- 【開発実績】
- 【提案内容】
- 【納期】
- 【サポート体制】
【10、その他】
- 【質疑応答:メールにて随時受付】
- 【提案に関する制約条件:なし】
以上。」
ChatGPT同様、【】で囲った部分は未送信の情報でAIからの提案、黄色の部分は日本語表現が不正なところです。
ユニークだと感じたのはシステム化の目的が3つ挙げられているのですが、記載した現状の課題から潜在的な目的を記載してくれています。また期待する効果も、潜在的な課題として書き起こしてくれています。
システムを開発する側の立場からの視点で見ると「なるほど」と思ったのですが、機能要件に確かに必要だという機能が追加されています。それがこのログイン機能です。ユーザー登録をしたら、どのユーザーか認識しなければいけないので、ログインの機能はセットで必要です。
また、注文したらその注文の履歴を確認できる機能、そして管理者側の機能ということで、ユーザー管理機能や商品管理機能、注文管理機能など、Geminiが不足している機能を補っています。
その他にも付け加えてくれているのですが、その中でも技術要件の「適宜提案をしてください」という表現がとても良いです。これは技術に明るくない発注者にとって、適切な表現かと思います。
特にマイナス要因ではないですが、RFPの提出期限は記載していないのに追加されていたので、正しい表記に変更する部分です。
それぞれのRFPの評価
これで3つの生成AIのRFPが出揃いました!では改めてこの3つの生成AIのRFPを評価
します。
評価は以下の4つの項目です。
1、RFPの章立ては妥当か
※一般的なRFPの章立てを満たしているか
2、情報を適切に反映できているか
※RFP作成のために送った情報が漏れなく記載されている
3、提案要素があるか
※送った情報以外にも納得できる内容が追記されている
4、日本語表現
※誤字脱字がないか
評点
5:とても良い
4:良い
3:普通
2:もう少し
1:残念
では順に見てまいりましょう。
ChatGPTが作成したRFPの評価
1、RFPの章立ては妥当か
・・・一般的なRFPの章立てを満たしている。5点
2、情報を適切に反映できているか
・・・送った内容はひとつを除き、全て網羅されていた。4点
3、提案要素があるか
・・・一般的な非機能要件が記載されていた。4点
4、日本語表現
・・・時折、不可解な日本語が現れる。3点
Copilotが作成したRFPの評価
1、RFPの章立ては妥当か
・・・送った文章の体裁を整える範囲にとどまっている。1点
2、情報を適切に反映できているか
・・・内容に誤りはない。4点
3、提案要素があるか
・・・追加的な内容はない。1点
4、日本語表現
・・・問題ない。5点
Geminiが作成したRFPの評価
1、RFPの章立ては妥当か
・・・一般的なRFPの章立てを満たしている。5点
2、情報を適切に反映できているか
・・・送った内容は全て網羅されており、潜在的な課題も読み取っていた。5点
3、提案要素があるか
・・・一般的な非機能要件以外にも、必要であろう管理機能も記載されていた。5点
4、日本語表現
・・・問題ない。5点
というわけでこの3つの生成AIが作成したRFPに対する評価です。
評価項目 | ChatGPT | Copilot | Gemini |
---|---|---|---|
RFPの章立ては妥当か ※一般的なRFPの章立てを満たしているか | 5 | 1 | 5 |
情報を適切に反映できているか ※RFP作成のために送った情報が漏れなく記載されている | 4 | 4 | 5 |
提案要素があるか ※送った情報以外にも納得できる内容が追記されている | 4 | 1 | 5 |
日本語表現 ※誤字脱字がないか | 3 | 5 | 5 |
合計 | 16 | 11 | 20 |
結果的に、Geminiが最も適切なRFPを作成、ChatGPTも概ね問題はないと言ってよろしいかと思います。ですがCopilotはちょっと物足りないかなというところです。このような点数になりました。
まとめ
これまで3回にわたって「生成AIを使ってRFPを作れるか」というテーマで投稿してきました。
(1回目→ 【生成AI活用】RFPの基礎を学ぶ 【ChatGPT/Gemini/Copilot 比較】)
(2回目→【生成AI活用】RFPを作成してみた【ChatGPT】)
3つ選んだ生成AIは現時点(※)でシェアが高い上位3つを選んでみました。(FirstPageSage 2024年10月2日 SEOブログより)
具体的にはChatGPT/Copilot/Gemini、この3つです。結果的にはGeminiが最も適切なRFPを制作し、次いでChatGPT、Copilotという順になりました。
しかしあくまでもこれは私の主観によるものですので、皆さんも実際に使われて、自分に合った生成AIを試してみてはいかがでしょうか!