生成AIの恐ろしい返答
前回の投稿ではChatGPT Advanced Voice Modeを利用して、開発の際に行われるSEから発注者に対するヒアリング内容をシミュレーションできるのか?という点について試してみました。
(前回投稿はこちら→【ChatGPT音声機能】生成AIをシステム開発で活用する方)
結果的に実にリアルなヒアリングが実現されるということが分かりました。
実際、システムやアプリ開発の現場においてはヒアリングは1度のみならず何度も繰り返し行った上で開発すべきシステム・アプリの要件を固めていきます。
ではChatGPTを使っても実際の現場と同様に、前回の内容を引き継いでヒアリングシミュレーションを継続できるのかという点について今回試してみました。これが可能であれば、シミュレーションを何度も繰り返し行うことによって以下のことが期待できます。
- 潜在的な課題の解決
- 実際の打ち合わせの場における効率の向上
- 自身のスキルアップ
生成AIを相手に、どこまでリアルなヒアリングができるのか?
結果が気になった方は、ぜひ最後までご覧ください!
※このコラムの内容は動画で公開しています。Youtube版はこちらをご覧ください。
前回の続きからSEとのヒアリングシミュレーションを実践
今回もChatGPT Advanced Voice Modeを使って試してみたいと思います。
<以下、ChatGPT Advanced Voice Modeとの会話です>
上村「はいこんにちは。」
ChatGPT「こんにちは。」
上村「前回の打ち合わせの続きをやりたいんですけれども。」
(前回は「メガネフレーム制作企業が、アプリを作る」という設定でシミュレーションを行いました。詳しくはこちら→【【ChatGPT音声機能】生成AIをシステム開発で活用する方法【システム開発】)
ChatGPT「もちろんです。前回はアプリ開発についてお話ししていましたね。続きを進めましょう。どのようなことを話し合いましょうか?」
上村「どのようなことを答えればいいですか?」
ChatGPT「それではアプリ開発に必要な情報について、いくつか確認させてください。1、アプリの目的と主要な機能。アプリで達成したい目的と、必ず実装したい機能は何でしょうか。ターゲットユーザー。どのようなユーザーを想定していますか?年齢層やライフスタイルなどがあれば教えてください。開発プラットフォーム。iOSやAndroidなど、どのプラットフォーム向けに開発する予定ですか?」
上村「あれ、その辺りは・・・その辺りは前回お話ししましたけれども記憶にないですか?」
ChatGPT「申し訳ありません。前回の内容を確認しました。確かにターゲットユーザーや開発プラットフォームについてお話ししましたね。アプリの目的や機能、リリース時期についても触れました。他に話したい内容や質問があればお知らせください。」
上村「前回打ち合せの最後に、3つの課題が上がってました。そこから始めたいと思うんですけれども。」
ChatGPT「承知しました。では、前回の議事録にあった3つの課題について確認しましょう。1つ目は競合他社の調査。2つ目はアプリの機能要件。3つ目はデザインとUI/UXでした。これらについて何かご用意いただいた情報やご質問はありますか。」
上村「はい、そちらから順番に聞いていただいていいですか?」
ChatGPT「かしこまりました。では1つ目の課題から始めましょう。競合他者のアプリやサービスについて、何か調査や気づいた点があれば教えてください。」
上村「はい。競合他社調べたんですけれども、ずばりこれだ、という該当がありませんでした。」
ChatGPT「それは興味深いですね。それでは競合他社のアプリで見つからなかった特徴やきねい(?)、または逆に、あれはいいアイデアだと思われた点など、何か印象に残ったことはありますか?」
上村「はい、見つからなかったので無かったんですけれども、こんな機能があったらいいなって思うのはあります。」
ChatGPT「それは素晴らしいですね。その、こんな機能があったらいいなと思うアイデアを教えていただけますか?それを元に、他に盛り込むべき機能についても考えられます。」
上村「わかりました。こんな機能があればいいなと思うのは、バーチャル試着。それと、顔の形やパーソナルカラーからのおすすめフレーム。それとおすすめフレームに対しては、自社で持っているフレームを優先するんですけれども、他社のフレームを紹介するような機能が欲しいです。」
ChatGPT「なるほど。バーチャル試着と、顔の形やパーソナルカラーに基づくおすすめフレームの提案、それに他者のフレームを紹介する機能ですね。自社フレームの優先度を保ちつつ、幅広い選択肢をユーザーに提供するのは、とても魅力的だと思います。他に考えている機能やアイデアはありますか?」
上村「他には前回もお話をしたんですけれども、前回の内容覚えてますか?」
ChatGPT「はい。前回の内容では、フロントとテンプルの形状や色を選べる機能、店舗で寸法を計測するための予約機能についてお話ししましたね。」
上村「その通りです。」
ChatGPT「他にも・・・ありがとうございます。では、バーチャル試着、顔の形やパーソナルカラーからのおすめフレーム、自社フレーム優先の他者フレーム紹介、フロントとテンプルの形状・色選択、そして店舗での寸法計測予約、このげつな(?)現在考えている主な機能ですね。他にも追加したい機能やアイデアがあれば、是非お知らせください。」
上村「まずは、そこの辺りをベースに進めたいと思います。」
ChatGPT「了解しました。それではせの(?)5つの機能をベースに、具体的な要件やデザイン・開発の流れを考えていきましょう。次回までに各機能の詳細や優先順位について、もう少し考えてみていただけますか?それを元に、次回の打ち合わせで更に具体的なプランを立てていきましょう。」
上村「はい。」
ChatGPT「それでは、また次回の打ち合わせでお話ししましょう。何か質問や追加のアイデアがあればいつでもお知らせください。」
上村「あれ?前回は課題が3つあったはずですけれども・・・」
ChatGPT「そうですね。前回の議事録にあった3つの課題についてお話ししていましたね。1つ目は競合他社の調査、2つ目はアプリの機能要件、3つ目はデザインとUI/UXについてでした。他に気になる点や話し合いたいことはありますか?」
上村「他の課題についても、ヒアリングしていただければと思います。」
ChatGPT「もちろんです。では2つ目の課題に移りましょう。アプリの機能要件について、考えている主要な機能や、これは絶対に入れたいという機能があれば教えていただけますか?」
上村「先程申し上げた機能は是非入れたいです。」
ChatGPT「承知しました。バーチャル試着、おすすめフレーム提案、他社フレーム紹介、フロントとテンプルのカスタマイズ、店舗での寸法計測予約。これら5つの機能は必須ということですね。他に検討したい機能や、現時点で気になっていることはありますか?」
上村「機能についてはそこまでですね。」
ChatGPT「わかりましてゃ。では、き・・・」
上村「確か前回・・・」
ChatGPT「3つ目の課題・・・」
上村「はい、続けてください。」
ChatGPT「承知しました。では3つ目の課題である、デザインとUI/UXについてお話ししましょう。アプリのデザインやユーザーエクスペリエンスに関する、何かイメージしていることや希望はありますか?」
上村「そうですね。デザインを具体的に説明することは難しいんですけれども、たしか前回はブランドイメージについて回答するようなことになってたかと思います。」
ChatGPT「そうでしたね。ブランドイメージに沿ったデザインは、非常に重要です。御社のブランドを反映したデザインの方向性や、ユーザーに伝えたいイメージがあれば教えていただけますか?また、他のアプリやウェブサイトで参考にしたいデザインがあれば、それもお聞かせください。」
上村「はい。ブランドイメージとしては、高品質、そしてこだわりということについて、イメージをつけたいという風に考えています。ユーザーエクスペリエンスについても課題になってたかと思うんですけれども、そうですね、ファッションに対するこだわりが強いユーザーさんに対して、バーチャルでは楽しんで欲しい。そのために、いろんな情報の登録を強いることはしたくないという風には考えてます。」
ChatGPT「それは大切な視点です。ファッションにこだわりのあるユーザーに、バーチャル試着などの楽しい体験を提供しつつ、情報登録の手間を軽減する工夫が求められますね。ユーザーが直感的に使えるインターフェースや、必要最低限の入力で快適に利用できるようなデザインを考えていきたいですね。他にデザインやユーザーエクスペリエンスで考えていることがあれば、お聞かせください。」
上村「今考えてたのはこのぐらいなんですけれども、逆に提案いただくことってできますか?」
ChatGPT「もちろんです。こうしつ(?)でこだわりを感じさせるデザインとユーザーエクスペリエンスについて、いくつか提案させていただきますね。1、ミニマリスティックなデザイン。シンプルで洗練されたデザインは、高品質とこだわりを感じさせます。余計な装飾を避け、直感的に操作できるインターフェースを目指しましょう。2、パーソナライズされたユーザー体験。ユーザーが過去に選んだフレームのスタイルや色に基づいて、おすすめを提案するなど、ユーザーごとにパーソナライズされた体験を提供します。3、滑らかなアニメーション。フレームのカスタマイズやバーチャル試着の際に、滑らかなアニメーションを使ってユーザーが心地良く感じられる操作感を実現します。これらの要素を取り入れたデザインとエクスペリエンスを検討してみてはいかなでしょうか?」
上村「はい、ではそのような方向性で、また改めてご提案をいただければと思います。今日は時間もないのでこの辺で終了したいので、今日の議事録をまたまとめてもらえますか?」
ChatGPT「わかりました。では、今日の議事録をまとめますね。8(?)、本日の議事録。競合他社のアプリ調査・バーチャル試着・顔の形やパーソナルカラーからのおすすめフレーム提案・自社フレーム優先の他社フレーム紹介などが印象に残った点。アプリの機能要件。ユーザーがフレームのデザイン・色・サイズを選択できる。店舗での寸法計測予約機能。デザインとUI/UX。高品質でこだわりを感じさせるデザイン。ユーザーが楽しく利用できるバーチャル体験を提供。ミニマリスティックなデザイン。パーソナライズされたユーザー体験。滑らかなアニメーションを含むエクスペリエンス。このような内容でよろしいでしょうか?」
上村「はい、ありがとうございます。次回までに、こちらでは何を用意すればいいでしょうか?」
ChatGPT「次回までにご準備いただくといい内容として、以下を考えています。1、アプリの機能要件の詳細。バーチャル試着やおすすめフレーム提案などの機能について、具体的にどのように実装したいかイメージを膨らませてみてください。2、デザインのインスピレーション。高品質さを感じさせるデザインの参考になるアプリやウェブサイトを探してみてください。3、ユーザーエクスペリエンスのアイデア。ユーザーが楽しめるバーチャル体験や、スムーズに操作できるインターフェースの工夫について考えてみてください。これらをもとに、次回さらに具体的なプランを話し合えるようにしましょう。よろしくお願いいたします。」
上村「はい、本日はありがとうございました。」
ChatGPT「こちらこそありがとうございました。また次回お話しできるのを楽しみにしています。よろしくお願いいたします。」
シミュレーションの振り返り
今回は「こんにちは」から始まり、前回の打ち合せの続きをしましょう、というところから始めました。
最初は「前回はアプリ開発についてお話ししてましたね。続きを進めましょう。」と始まっているものの、こちらから問いかけなければ、また前回と同じ内容から始まってしまいました。なので前回のことを「記憶にないですか?」と問いかけたところ、内容を思い出していただいたようです。ですが前回、最後に3つの課題を挙げておいてもらって、それをこちら側で調べてくるということだったのですが、どうもスムーズにそこから始まるということはできませんでした。
前回の打ち合わせ内容を踏まえて、今回話しが続いていくのかと思ったところ、残念ながらそのような結果にはなりませんでした。結果的には、また改めていちからやり直しのような形でのヒアリングが始まってしまいました。
しかし「前回を思い出してください」と問いかけをしたところ、前回の内容はこうでしたね、という具合にヒアリングが続いたのですが、それが前回からヒアリングがスムーズに継続されているかと言えば、そうではなかったのかなという感じでした。
まとめ
結論としては前回の内容を引き続いてのヒアリングというのは、いまひとつという結果に落ち着きました。
とはいえこれが使えないということではありません。確かに何度も同じことを説明するのは面倒です。しかし人間相手にこのようなロールプレイをすることを考えるとどうでしょう?人間が相手となると恥ずかしさもあるでしょうし、相手の都合もあります。何より発注者の皆さんですと、SEの立場になれるような方を身近で探すというのは難しいのではないでしょうか?
それならばChatGPTのようなAIを有効活用し、このようなロールプレイを何度も繰り返すことによって、冒頭にもあるように潜在的な課題の解決、実際の打ち合わせの効率向上、そして自身のスキルアップ向上につなげてみてはいかがでしょうか。
ぜひ、皆さまもChatGPT Advanced Voice Modeを有効活用してみてください!