【ChatGPT活用】生成AIで要件定義はできるのか?【システム開発】
2024年9月からChatGPT「Advanced Voice Mode」が開始されましたが、皆さんすでに利用されましたでしょうか?
これ、またすごいのが出てきましたよね!前回の投稿で「生成AIで要件定義はできるのか?」というテーマで解説をしたばかりなんですけれども、このAdvanced Voice Modeというすごい機能が出てきましたので早速皆さんにご紹介したいと思います。
私は普段Alexaを使っていて、Alexaに対して「Alexa、おはよう」と言うと「おはよう」と返事をし、 シーリングライトをつけてくれて、さらに今日の天気を返してくれる、そんな設定をしています。
しかしこれはあくまでも「設定」をしていて、その設定通りにAlexaが返してくれるというわけです。ただこのChatGPTのAdvanced Voice Modeは何か設定をしているわけではなく、本当にインタラクティブに会話をしてくれているわけです。ここがすごいところです!
あまりにもこれに感動しましたので、システム開発において発注者の皆さんがこの機能を効果的に利用する方法はないだろうか?と色々考えたのですが、1つ、例えばこんな方法はどうだろうというものも今回紹介させていただければと思います。
※このコラムの内容は動画で公開しています。Youtube版はこちらをご覧ください。
Advanced Voice Modeのすごいところ
まず最初にChatGPTのAdvanced Voice Modeの優れている点についてご紹介します。
流暢な日本語
まず、非常に流暢な日本語です。何度か試していたら「語尾がおかしいな」というのは数回あったのですが、そこを割り引いて考えると、特に違和感を感じないほどの流暢な日本語でした。イントネーションもおかしくはありません。普通に日本人と会話しているというような感じで使うことができました。
素早い会話のレスポンス
レスポンスが早いです。チャットの場合だと、文言を入力しエンターを押してから、数秒後に返してくれるというような感じだったのですが、実に素早く相手が反応してくれる、そんな感じでレスポンスが返ってくる。素早いです。
言葉を遮っても会話を続けられる
また驚きなのは会話をしている最中で会話を遮切ったとしても、その後しっかりと会話が続くのです。これもまた実に人間らしいなと思えるようなところでした。
会話の内容は文書化される
会話をしている内容をメモなんか取る必要はありません。「後から忘れてしまうかな」という心配は無用です。会話が終了したら今までの会話の内容がテキスト化されて残ります。これもまたとても便利なところです。
これらをシステムやアプリ開発において、どんな使い方ができるんだろうかというものを考えてみました。様々な使い方ができるんだとは思いますが、その中から今回は、システム開発に不慣れな発注者が、ITベンダーとの開発シミュレーションに使ってみる!ということで、試してみました。
さて、一体どんな結果になるのでしょうか。
ChatGPTと普通の会話を実践
<以下、ChatGPT Advanced Voice Modeとの会話です>
上村「まずは普通の会話を試しましょうか。」
ChatGPT「もちろんです。何について話しましょうか?」
上村「おはようございます。」
ChatGPT「おはようございます。今日はどんな1日を過ごす予定ですか?」
上村「そうですね、昨日よく眠れなかったんですけれども、今日はぐっすり眠りたいなと思ってます。どうすればいいですかね?」
ChatGPT「よく眠れるようにするには、リラックスする夜のルーティンを作るといいですよ。温かいお風呂に入ったり、カフェインを控えたり、本を読んだりするのが効果的です。ベッドに入る前にスマホを見ないようにするのもおすすめです。」
上村「なるほど。なかなかスマホを見ないで済ますっていうのは難しいかもしれないですね。」
ChatGPT「それはそうですよね。スマホはついつい手に取ってしまいますよね。もし難しいようなら、スマホの設定でブルーライトカット・・・」
上村「あ、待てよ。待てよ待てよ。ごめんね、お話の途中。お風呂・・・」
ChatGPT「いいえ、何か思いつきましたか?」
上村「じゃあスマホじゃなくて、お風呂に浸かるっていうのはどういう風に浸かればいいんですか?」
ChatGPT「お風呂でリラックスするには、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのがおすすめです。38度から40度くらいのお湯に20分ほどゆっくり浸かると、体も温まって心も落ち着きます。アロマオイルを数滴垂らしたり・・・」
上村「なるほどね。アロマオイルは苦手なんですよね」
ChatGPT「アロマオイルが苦手なら、無理に使う必要はありませんよ。シンプルにお湯に浸かるだけでもリラックス効果は十分ありますし、好きな音楽をかけたり本を読んだりするのもいいですよ。」
上村「なるほど。じゃあ・・・」
ChatGPT「さあ今日のテーマはCCI生産・・・自動車の自動運転・・・」
上村(AIの暴走!?)
上村「はい、そんなことは言ってませんよ(笑)。そんなテーマは言っておりませんでした。」
ChatGPT「そうでしたか。じゃあ、お風呂でリラックスする他の方法も試してみましょうか。好きな音楽を流したり、照明を少し落としたりすると雰囲気が変わってリラックスしやすくなるかもしれませんよ。」
上村「はい、わかりました。じゃあまた声かけますね、さようなら。ありがとう。」
ChatGPT「わかりました、おやすみなさい。またいつでも、声かけてくださいね。さようなら。」
少々驚きました。このように、実にスムーズに会話ができます。また、途中であえて会話を遮ってみたのですけれども、しっかりとその後の会話も継続して成り立っています。最後はこのようにテキストにも内容が残っています。
しかし、この経験は初めてでしたが、途中で何か意外な言葉というか、関係のない返答が返ってきました。しかし、「そんなことは言ってませんよ」という辺りだと思いますが、関係のない返答については、ChatGPTの方にはその内容は残っていません。まだ開発途上だということもあって、そういうこともあるのかもしれません。この点については、ぜひ動画の方でごらんください。
通常の会話はこんな感じでした。さていよいよITベンダーとの開発のシミュレーション、これが一体どんな風になるのか、早速試してみましょう!
ChatGPTとシステム開発のシミュレーション
<以下、ChatGPT Advanced Voice Modeとの会話です>
上村「あなたはアプリ開発の上級システムエンジニアです。当社のシステム開発の担当者となりました。これからアプリを開発すために必要なことを、私にヒアリングをしてください。」
ChatGPT「承知しました。では、まずお伺いしますね。どんなアプリを開発されたいですか?目的や機能について教えてください。ターゲットユーザーはどんな方々でしょうか。アプリの開発プラットフォームは何をお考えですか?iOS・Android、または両方でしょうか。」
上村「わかる・・・」
ChatGPT「決済には・・・」
上村「わかるところから順にお答えしますね」
(「メガネフレーム制作企業がアプリを作る」という設定にしてみました。)
上村「当社はメガネフレームを制作している企業です。これまではメーカーの下請けとしてフレームを作ってきたんですけれども、利益率も低くて事業の拡大が期待できないということから、直接お客様へ販売したいと考えました。メガネをされている方っていうのは、既製品の中から製品を選ぶしかなく、「好きなデザインでもサイズが合わない」「サイズに 合わせるとデザインを妥協しなければならない」という問題を抱えています。そこでセミオーダーでメガネが買えるアプリを開発し、お客様のニーズに答えたいという風に考えました。」
ChatGPT「なるほど。メガネフレームのセミオーダーアプリの開発を検討されているんですね。それではこのアプリのターゲットユーザーについて詳しくお聞かせいただけますか?例えばどのような方々が利用することを想定されていますか?」
上村「なるほど。メガネをかけている人全員を考えていたんですけれども、やはりスマホを使っ ている層、ん〜20代から・・・」
ChatGPT「そうですね」
上村「10代もですかね。10代を含め、50代ぐらいまでかな。」
ChatGPT「10代から50代のスマホユーザーを対象にした、セミオーダーのメガネアプリですね。幅広い年代のユーザーに対応する必要がありますので、使いやすさやデザインにも工夫が必要ですね。他に特定のニー・・・」
上村「そうですね。」
ChatGPT「それで・・・」
上村「そうですね。」
ChatGPT「承知しました。では、ユーザーが自分好みのデザインやサイズを選べる機能が重要になりますね。アプリ内でユーザーがフレームのスタイルやサイズをカスタマイズできるようにすることで、お客様のニーズに応えられると思います。また、バーチャル試着機能なども検討されてはいかがでしょうか。」
上村「なるほど。今考えているのはお客様・・・」
ChatGPT「どうぞ。」
上村「お客様がメガネのデザインを選択する。そのデザインというのはメガネのフレームのフロントの形状。テンプルの形状、それと色を選択できます。フロントとテンプルは別々に色を選択することができます。それに加えて、寸法を計測するんですけれども、寸法の計測は提携メガネ店で実施するので、予約を取るという機能が欲しいです。」
ChatGPT「フロントとテンプルの形状や、色を別々に選択できる、そして店舗で寸法を計測するための予約機能も含める。とても便利そうですね。ユーザーが自分に合ったデザインとサイズのメガネを手軽にオーダーできるアプリになりそうです。」
上村「そうですね。あとはどのようなことを答えればよろしいですか?」
ChatGPT「大事な点はごうねい(?)理解できました。あとは次のようなことを教えていただけると、さらに具体的に進められるかと思います。
1、開発プラットフォームは何をお考えですか?例)iOS/Android/Webアプリなど。
予算とスケジュールはどのようにお考えですか?デザインや・・・」
上村「なるほど。iOSと・・・」
ChatGPT「よろしくお願いします」
上村「はい、iOSと Androidを考えています。Webアプリはどうするか、次回まで考えてきますね。」
ChatGPT「わかりました。それでは予算とスケジュールについてはいかがでしょうか?開発の規模感を掴むために、参考にさせていただきたいです。」
上村「なるほど。今回開発するのが初めてなので、どれぐらいの予算がかかるのか、ちょっと想像ができなくて。それもご相談したいですね。」
ChatGPT「なるほど、初めてのアプリ開発ですね。予算は機能の複雑さや開発規模によって大きく変わりますが、ざっくりとした範囲で言えば数百万円から数千万円まで見込まれることが多いです。おえ・・・」
上村「ふんふん」
ChatGPT「そうですね。初めての場合、特にどこに費用がかかるか分かりにくいですよね。開発費用には設計・デザイン・開発・テスト・デプロイなどが含まれます。細かい機能やデザインの要望が固まってくると、より正確な見積もりが出せるようになります。」
上村「なるほど。」
ChatGPT「次は、スケジュールについてお聞きしてもいいですか?目指しているリリース時期などがあれば教えてください。」
上村「そうですね、半年後ぐらいをイメージしています。」
ChatGPT「半年後のリリースを目指しているんですね。そのスケジュールであれば、開発プロセスをスムーズに進めるために、要件定義やデザイン・開発・テストの各フェーズをしっかり計画することが重要です。まずは要件を明確にするところから始めてみてはいかがでしょうか?」
上村「なるほど。では今日の打ち合わせでは他にどんなことをお伝えすればよろしいですか?」
ChatGPT「では、次のようなことを教えていただけると、開発の準備が整うと思います。
1、競合他者のアプリやサービスについて。既存の市場調査から、差別化ポイントや参考にしたい機能があれば教えてください。2、アプリの主要な機能の優先順位。特に重要な機能や、将的に追加したい機能があれば教えてください。3、デザインの方向性。ブランドイメージや、ユーザーエクスペリエンスに関する希望があれば教えてください。」
上村「なるほど。それらは今すぐに回答できないので、次回の打ち合わせまでの課題としてもいいでしょうか?」
ChatGPT「もちろんです。次回の打ち合わせまでに検討していただければ大丈夫です。それでは次回までに、これらの点について考えてみてください。次回の打ち合わせでお話を伺うのを楽しみにしています。」
上村「分かりました。今ちょっとメモを取ってなかったので、次回の打ち合わせでの課題を踏まえてですね、議事録を作ってもらうことはできますでしょうか?」
ChatGPT「もちろんです。次回の打ち合わせまでの課題をまとめた議事録を作成しましょう。次回の打ち合わせまでの課題、競合他者の調査・既存のメガネ関連アプリやサービス・差別化ポイント、参考にしたい機能やアイデア・アプリの機能要件、アプリに必要な機能のリストアップ・主要な機能の優先順位。3、デザインとUI/UX・ブランドイメージに合ったデザインの方向性、ユーザーエクスペリエンスに関する希望や参考例。このような内容でよろしいでしょうか?追加や修正のご希望があればお知らせください。」
上村「はい、わかりました。全部が全部理解できてないかもしれないので、まず一旦持ち帰って検討してみて、また分からないことがあったら教えてください。」
ChatGPT「承知しました。一度お持ち帰りいただき、検討してみてください。不明な点や追加の質問があれば、いつでもお知らせくださいね。それではまた次回の打ち合わせでお会いしましょう。」
上村「はい、分かりました。本日はありがとうございました。」
ChatGPT「こちらこそありがとうございました。またお話できるのを楽しみにしています。よろしくお願いいたします。」
戻って見てみますね。
このような具合に、色々なやり取りをすることができました。話しを遮切ったところはそのまま遮ったように表示されています。
こちらの議事録で、次回の打ち合わせまでの課題として、この3点について調べてくるということになりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ChatGPT Advanced Voice Modeを使って、開発ベンダーとの打ち合わせをシミュレーションしてみました。これを経験することによって、「分からない専門用語があるぞ」とか、自分が考えていた企画でも「足りなかったな、もっと検討が必要だな」という点が浮き彫りになってくるかと思います。
その課題が上がってくれば、事前に色々調査もできますし、さらに社内で揉んでみるとかということもできますので、リアルなベンダーとの打ち合わせ前に、十分な準備ができるようになるわけです 。
ぜひ皆さんもこの機能を活用し、入念な準備を行ってください。それによって、開発ベンダーとの打ち合わせもスムーズになるでしょうし、要件定義や開発の見積もりの精度も必ずや向上するはずです。