新規事業企画書に記載すべき5項目と良い企画書の作り方②
新規事業の立ち上げにおいて、きちんとプロセスを意識することはとても大切です。
「何となく」で進めていくと、壁が立ちはだかったとき、どの段階でつまずいたのかがはっきりしません。またサービスが完成したとしても、きちんと順序を追って考察されたものでないと、精度の良い案とは言えません。
そこで、新規事業を立ち上げる際の効果的なプロセス、事業失敗を防ぐために使えるフレームワークについて解説しています。立ち上げ初期の段階で「どこから手をつければいいのかわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。
新規事業の失敗を未然に防ぐ!マーケティングフレームワークの考
新規事業開発のプロセスを理解したところで、続いては市場調査などで重要になってくるマーケティングフレームワークについて見ていきましょう。
・SWOT分析
・3C分析
・PESTVRIO分析
今回紹介するフレームワークは3つですが、どれも新規事業を進めていく上で失敗を回避してくれる優れたノウハウです。まずは概要を確認し、実戦で使えるようにしましょう。
SWOT分析
1つ目にご紹介するマーケティングフレームワークは「SWOT分析」と言い、自社の強みと市場の流行や競合他社との比較が行えます。
SWOT分析を行うことで、事業戦略の方針の決定や現状分析、組織目標の設定などが行えます。
・Strength(強み)
・Weakness(弱み)
・Opportunity(機会)
・Threat(脅威)
上記4つの頭文字を取って名付けられています。
【Strength(強み)】
「強み」とは自社の強みのことで、これまで培ってきた技術や成功してきた実績など、顧客に対してアピールできる部分を分析します。
また自社だけで完結できる情報だけでなく、市場における認知度や、競合と比べた際の価格や品質での強みも分析しましょう。
【Weakness(弱み)】
「弱み」も「強み」と同じく、競合と比べての価格や品質で劣っている部分、市場全体での認知度の低さなどがあればまとめておきましょう。
【Opportunity(機会)】
「機会」は少し難しいかもしれませんが、ビジネスチャンスだと考えられるような市場の動きはないか、環境の変化に付随する競合の動きはないか、を分析します。
「現在の市場に自分たちが入る余地はあるか」を再確認するアプローチと考えましょう。
流れとしては、まず自社を取り巻く環境・情報を洗い出します。
・全国に営業拠点がある
・都道府県ごとに市場アンケートが採れる
・市場の流れは変わりつつあるが、対応できていない企業が多い
上記は例ですが、このように自社を取り巻く環境・情報を洗い出せたら、そこからビジネスチャンスに成りえそうな可能性を抽出しましょう。
【Threat(脅威)】
「脅威」では自社の強みを活かすことができない危険性、自社と似た特徴を持つ競合他社を分析します。この「脅威」のステップを踏むことで、あらかじめ設定した目標に向かっても、それが無駄な努力にならないかを確認できます。
また自社を脅かす脅威をあらかじめ知っておくことで、新たな課題の発見やビジネスチャンスの発見につなげることができるでしょう。
3C分析
2つ目はマーケティングフレームワークとしてとても有名な「3C分析」です。3C分析の目的は、市場調査から経営戦略を導き出すことです。
・Customer(市場・顧客)
・Competitor(競合)
・Company(自社)
上記3つの頭文字をとっています。
3C分析は自社を取り巻く事実を再確認し、今後の施策や商品開発の足がかりにすることができます。
【Customer(市場・顧客)】
まずは参入する市場の規模や数年での市場推移、顧客のニーズや購買行動について分析します。
【Competitor(競合)】
続いて自社のライバルになり得るであろう競合他社や競合商品、また競合のサービスが生み出した結果や、仕組みを分析します。
【Company(自社)】
最後に自社の経営理念やビジョン、強みと弱み、自社のサービスと他社サービスの違いなどを分析します。
VRIO分析
3つ目に紹介するのは「VRIO分析」です。
・Value(経済価値)
・Rarity(希少性)
・Imitability(模倣困難性)
・Organization(組織)
上記4つの頭文字をとったフレームワークで、自社の経営資源の強さを判断することができます。
SWOT分析や3C分析は市場での立ち位置や、競合との違いについて包括的に確認できますが、VRIO分析は「自社の強み」についてより深く分析できます。
【Value(経済価値)】
まずは自社が持つ経営資源は、本当に経済的な価値があるのかを判断していきます。この「経済的な価値」とは資産ではなく、「市場全体に影響を及ぼすほどの可能性があるかどうか」で判断します。
具体的には、今の経営資源を持っている状況と失った状況で、企業全体の売上は増大しているかを確認しましょう。
【Rarity(希少性)】
続いてその経営資源は、市場全体と比べて希少性が高いかを確認しましょう。
希少性が高ければ高いほど、他社の参入を防ぐことができ、市場を独占できる可能性が高くなります。
【Imitability(模倣困難性)】
「Imitability」も「Rarity」と似ているのですが、希少価値で測るのではなく、他者が同じビジネスモデルを模倣できないかという指標で測ります。
例えば経営資源がブランド価値によるものであったり、資源の調達方法がわかりづらいかであったり、特許を取得できるかなどで判断します。
【Organizatio(組織)】
最後はこれまで分析してきた有効な経営資源を、きちんと活用できるだけの組織体制が整っているかを分析します。
成功するビジネスモデルに必ずある要素とは?
最後に、成功するビジネスモデルに必ず含まれている、3つの要素について見ていきます。
事業撤退のライン
まず1つ目の要素は「事業撤退のライン」です。
どれだけ画期的な事業計画であっても、予期せぬ失敗はつきものです。そこで無理やり押し進めるか、あきらめて撤退し態勢を立て直すかで事業の成功は大きく変わります。
そのまま押し進めても軌道に乗れる場合もありますが、その押し引きの基準として撤退ラインをあらかじめ決めておくと、ずるずると失敗に引きずられなくなります。
市場の変化に対応できる
2つ目の必要な要素は、「市場の変化に対応できるかどうか」です。
VUCA(社会経済環境が極めて予測困難な状況)の時代に生きている限り、どうしても市場が変化していくのは避けられません。
計画初期ではブルーオーシャンだった市場も、1年で競合ひしめくレッドオーシャンに変わることも珍しくないのです。そんな状況に対応できるよう、事業開発の各段階で再度市場分析をはさみ、方向性が間違っていないかを確認してください。
サービスが完成した後も、常に市場の変化に対応できるビジネスモデルかどうかも確認しておきましょう。
DXの考え方を取り入れる
「DX(デジタルトランスフォーメーション)時代」と呼ばれて久しいですが、DXの考えを取り入れていないビジネスモデルは、どんどん少なくなっています。
これまでは「良い商品を作れば、顧客は買ってくれる」という方程式が当てはまる時代でしたが、現代では「良い商品」だけでは購買につながりません。
SNSやオウンドメディアなどあらゆる媒体での露出が必要になっており、ITを取り入れたマーケティング施策が大事になっています。
「自社でITを取り入れたマーケティング施策が打ち出せない」という場合は、外部リソースを取り入れるというのも有効な手段です。
画期的なアイデアは丁寧な市場分析から生まれる!
新規事業を進めていくプロセスは、丁寧な市場分析から始まります。また市場分析をきちんと行うことができれば、優れたセンスや奇跡的な発想力などは必要ありません。
また市場分析などは、先人が編みだしてくれたフレームワークを活用することで、より精度の高いものになります。
最後に紹介した「成功するビジネスモデル」に必ず入っている要素も含めて、新規事業の開発に取り組んでください。