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経営者の心に寄り添う働き方改革で、中小企業の人事労務を支える

働き方改革と海外人事労務に強い社会保険労務士

河野創

働き方改革と海外人事労務に強い社会保険労務士 河野創さん
河野創さん 商談風景

#chapter1

上司が積極的にムダを減らすなど、働き方改革はトップダウンで進めるのがカギ

 大手製紙メーカーの人事部門での経験を生かし、中小企業向けに人事労務のコンサルティングを行っているのは「青山人事労務」の社会保険労務士・河野創さん。専門は「働き方改革」と「海外人事労務」です。

 前職では、働き方改革事務局において、企業グループ167事業所の年間総労働時間削減に貢献しました。労働時間の削減は、コストメリットはもちろん、従業員が幸せになることでもたらされるメリットも大きいといいます。

「多くの企業では今、人手不足に悩んでいます。若手の離職を止めるためにも、残業は少ないほうがいい。労働時間が短くなれば、従業員は心にゆとりを持って働けるようになり、結果的に生産性が向上し、人手不足の解消にもつながります」

 働き方改革推進のカギは、トップダウンで進めること。しかるべきステップを踏んで実施すれば、経営者が号令を出すだけで残業を減らせるといいます。
「やるべきことは三つ。一つ目は、労働時間の記録です。忙しい部署とそうでない部署を把握します。二つ目は、仕事調べ。従業員が一日のうちで、どのような仕事をしているかを把握することも大事です。三つ目は、社内や部署内でこうした情報を共有し、忙しい人の仕事をみんなで分担していくのです。これらを実行すれば残業が減り、従業員は早く帰れるようになります」

 経営者や管理職にも意識改革は必要です。「例えば、品質にこだわらなくていい書類なら、誤字脱字を指摘して、何度も作り直しをさせなくてもいいはず。上司が積極的に仕事のムダを減らしていくことも大切です」

 また、営業部門では、顧客企業も巻き込んで、夕方に新たな用件を申し付けないようにお願いするなど一緒に取り組んでいくことを理想とします。

「厚生労働省の調査でも、長時間労働は心身にマイナスの影響があると結論づけています。社内に『労働時間を短くしていこう』という雰囲気があるだけで、従業員は明るくなって、やる気が出てくるものです」

#chapter2

海外事業の運営を経験し、海外人事労務にも強み

 河野さんはメーカー在職中に、企業派遣により米国の大学でMBAを取得。その後、社内最年少の海外事務所長として香港へ赴任しました。社内起業家として、新製品の輸出販売事業を立ち上げ、シンガポール、バンコク、クアラルンプールで、海外生産に向けた東南アジアの拠点作りに14年間従事しました。

 帰任後、人事部門に配属。人事労務を体系的に学ぶために、社会保険労務士の資格を取得。働き方改革とともに、この海外経験をもとに海外赴任者の労務管理も行っていたことから、海外人事労務に強いのも河野さんの特徴です。

「海外では例外的なことが多く、日本のように画一的な対応ができません。それぞれの事情に合わせた対応が必要ですが、14年の駐在経験でさまざまなノウハウを養いました。海外では仕事の幅が広がることから、がんばりすぎてメンタルヘルスに不調をきたす人も多く、そうしたフォローも大切になりますね」

 現在、顧客企業の心身の健康を守ることや駐在適任者の選抜などに関わっています。

 香港駐在時代は、会社員でありながら会社経営を行ってきた河野さん。売上利益への貢献、香港大手量販店での7年連続トップシェア獲得などで社長賞に輝く業績を残しました。その一方、事業を軌道に乗せるまでには「山あり谷ありで経営者として修羅場も経験。資金繰りに苦労したこともある」と振り返ります。経営者の気持ちを理解し、社会保険労務士として経営者の心に寄り添った労務管理ができるのも、河野さんの大きな強みです。

 「困ったら相談してください、という姿勢を大切にしています。私の数多くある“引き出し”を開けて、困りごとを解決へと導いていきたいと思います」

河野創さん セミナー風景

#chapter3

社会保険労務士として人事労務で役に立つことで社会貢献したい

 労務管理などをテーマにセミナー・講演にも登壇。仕事以外でも多芸多才で、香港駐在時代には、神田昌典氏主宰のダントツ企業実践会(顧問獲得実践会)で年間優秀賞を受賞。的確な販売予測の方法を用いて、2003年に香港で流行したSARSの終息を誤差1週間内で予測しました。プライベートでは、相撲、将棋などの趣味を持ち、男性にはめずらしく和裁も手がけます。

 今後、マイベストプロ上のコラムでは、「人事労務をわかりやすく解説していきたい」と意気込みを語ります。
「例えば、相撲取りは財団法人日本相撲協会に所属しており、会社員と同じ。ですから、健康保険組合にも厚生年金にも加入しているのをご存じですか?こういう身近なところから人事労務をひも解いていきたいですね」 
 「目指すは、社労士界の池上彰さん」とユーモアものぞかせる河野さん。「社会保険労務士として働き方改革を始め、人事労務でお役に立つことで社会貢献をしていきたい」という言葉に、誠実な人柄がうかがえました。
 
(取材年月:2019年1月)

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専門家プロフィール

河野創

働き方改革と海外人事労務に強い社会保険労務士

河野創プロ

社会保険労務士

青山人事労務

前職で、人事評価制度の見直しにとり組んだ経験で、中小企業の働き方改革に強みを発揮する。また、自身の海外駐在経験から、日本の労務管理では対応できない海外駐在員の人事労務のノウハウを持つ。

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