孫に贈与、ただ介護費用も心配
おはようございます。行政書士 ファイナンシャルプランナーの河村修一です。
ファイナンシャルプランナーへのご相談
行政書士へのご相談
後期高齢者医療制度とは
後期高齢者医療制度は、都道府県別にすべての区市町村が加入する広域連合が運営しています。例えば、東京の場合、都内全ての区市町村が加入する「東京都後期高齢者医療広域連合」が主体となり、区市町村と連携しながら運営をしています。対象者(被保険者)は①75歳以上の方。仮に、夫(74歳)、妻(71歳)がともに国民健康保険に加入している場合、夫が75歳になると自動的に後期高齢者医療制度に移行し、妻はそのまま国民健康保険を継続することになります。②65~74歳で一定の障害があり、広域連合の認定を受けた方になります。
東京都内の後期高齢者医療の保険料はいくら
保険料は、被保険者一人ひとりに均等に賦課される「均等割」と所得に応じて決まる「所得割」の合計額で、介護保険と同様に被保険者一人ひとりが納めます。令和2,3年度の東京都の保険料(年額)は、均等割額(被保険者一人あたり44,100円)に所得割額(賦課のもととなる所得金額×8.72%)を加えた額です。ただし、保険料の限度額は被保険者一人につき年間64万円です。例えば、80歳になる親の保険料は一体どのくらいでしょうか。親(都内でひとり暮らし)の収入は年金収入のみで240万円です。保険料は、「均等割額」44,100円、「所得割額」75,800円((内訳年金収入240万円-公的年金控除110万円-基礎控除43万円)×8.72%)の合計119,900円になります。保険料の占める割合は、年金収入240万円の約5%といったところでしょうか。一方、同じ80歳のひとり暮らしの母親は年金収入のみで60万円です。この場合の保険料はどうでしょうか。「均等割額」44,100円の7割の軽減、「所得割額」なし((内訳年金収入60万円-公的年金控除110万円-基礎控除43万円)×8.72%)の合計13,200円になります。年金収入60万円の約2%強といったところです。このように所得の低い方には「均等割額」や「所得割額」の軽減があります。また、会社の健康保険など(国保・国保組合は除く)の被扶養者だった方に対する軽減制度もあります。
※ご参考東京都後期高齢者医療広域連合 保険料の算定方法
事例
東京都杉並区に在住の2つのケースでみましょう。
【CASE1】
老齢年金収入48万円、ひとり暮らし、78歳のお母様の場合(年金収入のみ)。「均等割額」44,100円の7割の軽減、「所得割額」なし。よって、保険料は13,200円(年間)です。年金収入48万円に占める保険料の割合は約2.8%。
【CASE2】
老齢年金収入48万円の78歳のお母様と世帯主の50歳の息子さん(給与収入600万円)が同居している場合。【CASE1】との違いは母親が息子さんと同居し、世帯主が息子さん(給与収入600万円)がある点です。お母様の「所得割額」は「ゼロ」ですが、「均等割額」はどうでしょうか。ここで「均等割額」の軽減は、「同じ世帯の後期高齢者医療制度の被保険者全員と世帯主の総所得金額等を合計した額」をもとに均等割額を軽減しています。これにより世帯主の所得が影響を及ぼすため、お母様の「均等割額」は44,100円になります。よって、保険料は44,100円(年額)です。お母様の年金収入48万円に占める割合は約9.2%となり【CASE1】と比較すると大幅に収入に占める割合は増えます。※ご参考東京都後期高齢者医療広域連合の保険料計算例
同居してるが「生計が別」の場合
お母様(老齢年金48万円、年金収入のみ)と息子さん(給与収入400万円)は同居はしていますが「生計が別」である場合はどうでしょうか。「生計が別」であるため住民票上では世帯主をお母様と息子さんの2人にすることができます(世帯分離という)。この場合、お母様の保険料はどうなるのでしょうか。お母様は単身世帯となり上記【CASE1】と同様の13,200円になります。世帯分離をすることによって同居してても保険料は軽減されます。なお、【CASE2】の世帯主を息子さんから母親に変更した場合も13,200円の保険料になります。
まとめ
75歳以上の方もしくは65~74歳で一定の障害があり広域連合の認定を受けた方が後期高齢者医療制度の被保険者になります。保険料は「均等割」と「所得割」の合計額で被保険者一人ひとりが納めます。令和2,3年度の東京都内の「均等割額」(被保険者一人あたり44,100円)、「所得割額」(賦課のもととなる所得金額×8.72%)です。また、所得の低い方には「均等割額」や「所得割額」の軽減があります。なお、「均等割額」の軽減は、同じ世帯の後期高齢者医療制度の被保険者全員と「世帯主」の「総所得金額等を合計した額」をもとに「均等割額」を軽減しています。つまり、世帯主の所得が影響を及ぼすことになります。以上東京都を参考事例としましたが、保険料は各都道府県後期高齢者医療広域連合によって異なりますのでお住まいの広域連合等で確認しましょう。
※ご参考までに厚生労働省ホームページ各都道府県後期高齢者医療広域連合
※関連記事
ご参考:高齢の親が脳梗塞で入院したらいくら必要か
「親が脳梗塞で急性期の病院に入院したらいくら必要か」の記事はここからご覧いただけます。
◎2020年8月20日:読売新聞(朝刊)、2020年8月22日:日本経済新聞(朝刊)にコメントが掲載されました。