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『文理選択の決め方別おススメ度(後編)』

井上昇哉

井上昇哉

こんにちは、与一の井上です。
新型コロナの影響は留まるところを知らないどころかますます拡大する一方ですね。
ですが「慣れ」てしまってはいけません。
いつでも当初の恐怖を忘れず、対策を徹底することを常に意識して行動したいものです。

さて遅くなりましたが前回のお話の続きをさせて頂きます。

看護師になりたいから理系 オススメ度10%


これに関しては声を大にしてお伝えしたいです。
残念ながら高校によっては「看護に行くなら理系一択」と“誤った”進路指導をされる方が確実にいらっしゃいます。
その為、そもそも“文系からでも看護には進める”事実すら知らない生徒がたくさんいます。
実際その話を1年生の生徒にしても「看護に文系から行けるなんて先生何か勘違いしているんじゃないの」と言う生徒も今までに少なからずいた程です。
ですが現実に与一から看護系に進んだ生徒は圧倒的に文系の子が多いのです。
それでも「看護に行くなら理系一択」と言う方は恐らく
①理系の方が行ける大学が多い ②理系の方が将来役に立つ
これを理由にされるのではないでしょうか。

反論させて頂きます。
①に関しては、事実ではあります。
理系でなければ看護系に進学できない大学も確かに存在します。
ですが、気にする必要のない程、そのような大学の数は非常に少ないです。
実際に2020年現在、四国内の看護系の大学、または専門学校は全て文系からでも進めます。
よって①の理由で理系に進むというメリットはほぼ皆無です。

②に関しては文系か理系かによって勉強する教科が異なるという話になるかと思います。
特に生物について
「看護に行くなら生物の知識が後々必要になるから理系に進んだ方が絶対にいい。文系だと生物基礎しかしないから将来困る。」
こう言われるようです。
残念ながらこれも正しくはありません。
私が何人かの看護系に進んだ卒業生に聞いてみたところ、「高校で学習したレベルのものでは、メリット足り得ない」という結論でした。
つまり高校で習った程度の内容よりも、大学での学習内容の方が圧倒的に多いため、また高校の学習とは学習内容が異なる為、生物基礎か生物かなどは些細な問題に過ぎないということです。
それ以外で「将来役に立つ」教科は一つもありません。
よってやはり②の理由においても理系に進むメリットはないと言えるでしょう。

ではなぜ「看護に行くなら理系」と言われるのかといえば、残念ながらこれは高校側の都合によるところが大きいです。
悪口を言いたいわけではないので詳しくは延べませんが、生徒の為にそのような進路指導を行っているとは言い難いのが事実です。

逆に私は「看護系なら文系」を強くオススメします。
それは多くの場合看護系に進むのに必要な科目は英語・国語・数学ⅠA・理科の基礎科目2つという文系でも学習する科目であり、理系に進んだ多くの生徒が苦しめられる数学Ⅲ・理科の本科目(~基礎ではないもの)が必要ないからです。

文系からでも看護系には進め、受験には文系科目しか必要ないのに、それでもあなたは「看護系なら理系」を盲目的に信じ、受験に必要ない科目の勉強に苦しみたいですか?



なりたい職業で決める オススメ度70%


「将来は薬剤師になりたい」「学校の先生になるのが子どもの頃からの夢です」
高校1年生にして将来の夢があるのは本当に素晴らしいことです。
夢のためなら勉強にもきっと実が入るでしょう。
じゃあ何故それに従って文理選択をするのを100%オススメと言い切らないのか。
「高校1年生で夢を持つのは素晴らしい」と言いました。
でもこうも言いたいのです。「まだ高校1年生ですよ」と。
夢を持つのは本当に素晴らしいことです。多くの生徒が私に「将来なりたいものが見つからなくて困っています」と毎年言いに来るくらいですから。
でも逆に“夢”を持っている人は、そのせいで他の選択肢を最初から切り捨てる、それどころか考えもしない人がほとんどなのです。

残念ですがあなたが知っている職業は世の中のごく一部であり、まだ知ってすらいない職業がたくさんあります。
その中で本当に今持っている職業が一番自分に向いていると言い切れますか?

また決して夢を持つことを否定する訳ではありませんが、あなたは本当にその職業について詳しく知っていますか?
どれくらいの人がその職業に就くことができ、収入はどの程度で、どれくらいの時間働かなければならず、どのくらいの需要があり、どんな人の役に立てるのか…
言い方が悪くなって大変申し訳ないのですが、多くの場合その“夢”はただの“憧れ”に過ぎません。はっきり言えば、まだ現実を何も知らないのです。
それはあなたが悪いのではありません。ただ単に「まだ高校1年生だから」なのです。
これからたくさんの経験をし、色々なことを知り、その中で別の選択肢が浮上する可能性は大いにあります。
一方なりたい“夢”について調べれば、よりその夢が輪郭を帯び、現実的な“目標”になっていくでしょう。
そうした中で最終的に「やっぱり薬剤師になりたい」となれば、自信を持ってその方向に進めばいいのです。
実際に与一の生徒でも、高校1年生の頃と高校3年生になった時では将来なりたいものが変わっている生徒は決して珍しくはありません。

先生や、もしかすると親も「早く進路を決めなさい」と言うかもしれません。
制度上文系理系を1年生のうちに決めないといけないのは仕方ありません。
でも受ける大学や学部を決めるのは、それこそ制度で言えば共通テスト受験後、つまり3年生の1月でも間に合うのです。
ましてや夢など高校生で必ず持たないといけない訳ではありません。
「夢を見つける為に大学に行く」のも非常に良い選択肢です。

将来についての非常に大きな決断をするには、高校1年生はまだあまりに若過ぎます。
まだ世の中について多くを知らないまま、他の選択肢について知る機会を逃してしまうのは、あまりに勿体ないと思いませんか?

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井上昇哉
専門家

井上昇哉(塾講師)

学習塾「与一」/合同会社 あたまをたがやす

テストで点をとるための授業ではなく、自ら考え答えにたどり着く経験を重視した授業スタイルを確立。“「考える」を考える”ことを身につけることで、勉学、行動、思考すべてにおける人間的成長を促します。

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