【日本理化学工業(株)大山社長】講演会
新年度に入り、新入社員が入社初日に退職代行を利用して辞職するケースが注目を集めています。
このような「即日退職」は企業にとって衝撃的かと思いますし、私も就職氷河期世代の中高年としては、そんな1日で会社の何がわかるのか?、辞めるにしても直接言うべきでは?と、けしからんと頭ごなしに言ってしまいそうですが、仕事柄、冷静にその事情等を見てみました。
まず、退職代行の利用に関しては、
時代に関わらず、昔から突然来なくなったり連絡がつかなくなる社員は一定数いたもので、そういう社員が、直接会社に連絡するのは気まずいけど、退職代行なら…と活用しているとも言われています。
その結果、従来は離職手続きが進まなかったり、制服や社員証等の返却がなされないままになっていたりしたのが、専門の退職代行業者が入ることで、スムーズに行われるようになったとプラスの側面もあるようです。
また、即日退職や早期の退職に関しては、
昔のように「石の上にも(石にかじりついても)3年」という考え方がある一方で、体や心を壊してまで3年頑張る必要はないとか、誤りに気付いたなら軌道修正は早い方がいい、といった考え方も増えていて、それは理解出来るところです。
ただ、私でしたら、1日会社に行っただけでは、仕事もまだこれからでしょうし、会社のことも社内の人間関係も、ほんの一部分しか見えていないわけで、さすがに1日で辞めることはないと思います。
仮に1日とか早期に退職した場合、次の就職(転職)に際して、またすぐ辞めるのではと思われ、選考に苦戦するのも目に見えているので、そんなリスクを冒してまで辞めるのは、余程のことがなければ…。
ここで、気づかれた方もいるかもしれませんが、世代や価値観の違いはあるにせよ、もしかしたら新入社員においても、同じように「余程のこと」があった可能性も考えられます。
採用選考で選ばれた人材ですし、早期離職のリスクくらいは想像できる人材ではないかと思います。
そんなリスクを分かった上でも、たった一日で退職を決意させたということは、他にどんないい部分があっても、絶対に無理な何かや、許せない何かが一日目にあったのかもしれません。
退職代行会社や転職エージェント等で、退職原因に関する調査・アンケートが行われていて、原因がどこにあるかで、本人・会社・双方の割合が、4:3:3とか、2:2:6とか、調査結果が出されていました。
結果はバラバラになっていますが、1日で辞めるのは極端だとしても、早期離職の原因としては、本人が10割ではないのは確かです。
本人に起因するものであれば、採用時の人物見極めの問題ともいえますが、それ以外の要因については、会社としても対策を講じる余地もあると思います。
私も入社式初日に退職代行なんてあり得ないと思ってしまいがちですが、思いがけないことでも、そこには何か背景や理由があって、会社を良くするためのヒントが隠れているケースもあるもので、目を向けてみてるのもいいと思います。



