社員の年齢構成にバランスは必要か

福山研一

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企業経営を考えるうえで、長期的な成長や安定のために、社員の年齢構成のバランスが求められる傾向にあります。
それは、年齢構成に偏りがあると、同時期に大量の退職者が出たり、年次と昇格のタイミングが合わなかったり、支障が生じやすいからです。

ただ、就職氷河期に代表されるように不景気時の採用手控えや、昨今の少子化等による若年層の採用難などで、実際には、どうしても歪な年齢構成になりがちです。

今回のコラムでは、まず課題があるといわれる年齢構成のタイプをご紹介し、その対策として、果たしてバランスをとる必要があるのか、そんなことをお伝えしたいと思います。


■ピラミッド型
 若年層が多く、年齢が上がるにつれて人数が減少する組織で、成長期や新興企業によく見られます。
 活気があり、イノベーションが生まれやすい一方で、経験不足や、キャリア変動期の若手の離職率が課題となります。

■逆ピラミッド型
 高年齢層が多く、若年層が少ない組織で、成熟企業などで見られることがあります。
 長年働いている社員が多く、豊富な経験・知識があり、安定した組織ですが、イノベーションの停滞やリーダーシップの継承に懸念があります。

■ダイヤモンド型(釣鐘型・中太り型)
 30台後半~40代後半くらいの中堅層の多い組織です。
 比較的社員の勤続年数も長く、優秀な中堅層も育って安定した組織ともいえますが、逆に中堅層の充実に若手の立ち入る隙がなかったり、将来のリーダー不足も懸念されます。

■ひょうたん型(中抜け型)
 ダイヤモンド型(釣鐘型)と逆で、中堅層が少なく、若年層と高齢層が多い組織です。
 中堅層が育っていない要因として、若年層の早期離職が考えられたり、上層部との溝も考えられます。


このなかでは、ダイヤモンド型が比較的好ましい組織と考えられますが、さらに柱型(四角形型)という若年層から高年齢層まで均等にバランスのとれた組織もあります。


さて、ここまで取り上げた年齢構成のタイプ毎の課題について、分かりやすい対策としては、不足している年齢層の採用強化や、離職防止策を講じることでバランスをとることになるかと思います。

しかしながら、特に逆ピラミッド型など、昨今の雇用情勢的に若年層の採用は非常に難しいものです。

そこで、アンバランスな年齢構成の課題によりますが、もし業務を滞りなく進めることをまず第一に考えるのであれば、必ずしも若手採用にこだわらず、年齢バランスを考えずに中高年の採用を考えてもいいのではないかと私は思っています。

社員の年齢構成表を作成して採用計画を立てる際、入社した社員が全員定年まで勤務する想定にしてしまいがちですが、実際にはそうならないことが多いものです。
特に若年層は、新卒採用のアンケートで、50%が10年以内に退職を考えるという結果もありましたが、期待通りに20年、30年と活躍してくれるか、何とも言えません。

それであれば、年齢構成は歪になるかもしれませんが、厳しい若手採用の競争に参加せず、一定の経験・能力も見込め、かつ採用しやすい中高年を採用して、今後10年、15年と活躍してもらうというのも有効な方策かと思います。

知名度や資本力の面で、どうしても採用競争で大手に後れをとる中小企業など、同じ土俵で戦わずに、少し考え方を変えてみてもいいのではないでしょうか。

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