【日本理化学工業(株)大山社長】講演会
今回は、キャリアコンサルティング面談において、いつも意識していることですが、「ポジティブフィードバック」について取り上げます。
これは、キャリアコンサルティングに限らず、普段のコミュニケーションにおいても有効なものであると思います。
そもそも、ポジティブフィードバックというのは何かというと、
よく出来ていること、評価できることを見つけて、前向きな表現で相手に伝えることで、
自己効力感を高めたり、自発的な成長を促すものとされています。
(他にも解釈がありますが、これが一般的な使われ方かと思います。)
キャリアコンサルティングでは、基本的には聴くことが中心で、あまり良し悪しの評価をするということはありませんが、最後の振り返りの際などに、ポジティブフィードバックを意識します。
面談に来られる相談者は、何かしら課題を抱えているもので、考え方や気持ちがマイナスの方向に向いているケースが多くあります。自分の出来てないところばかりに目がいってしまって、意欲や自信が失われ、そのまま放置すると、離職に繋がりかねないということも考えられます。
そんなときには、お話を十分に聴いたうえで、出来ていることに目を向けたフィードバックをしたり、また、以前の良かったときのことを話してもらったりして、前向きな気持ちを取り戻してもらうようなアプローチを試みます。
また、これに似たもので、リフレーミング(ポジティブリフレーミング)というのもあります。
これは、いくつかの事柄(行動)のうちの出来ているところにフォーカスするのではなく、
1つの事柄を違った枠組み(角度)でみることで、自身ではネガティブに捉えていることでも、角度を変えてみるとポジティブな面もあることに気づいてもらうものです。
例えば、コップに半分の水が入っているのをみて、「もう半分しかない」という捉え方もあれば、「まだ半分も残っている」と、同じ事実でも全く異なる解釈ができます。
この前者でしかみれてない人に対して、後者の視点もあることに気づいてもらって、自己効力感を高めたり、ポジティブな気持ちをもってもらうわけです。
ここで2つほど具体的な相談事例を抜粋してご紹介します。
(個人情報の関係で一部脚色させて頂いています)
①自分は心配性な性格で、新たな取り組みや行動を起こすのに時間がかかるのが短所と、すぐに躊躇なく行動に移せる同僚と比較して悲観的に捉えている方がいました。
ただ、詳しく聞いてみると、その心配・不安な気持ちを取り除くために、アクションを起こす前に下調べしたり勉強したり準備をしていて、そのプロセスで何らかの成長も考えられるわけで、必ずしも悲観ばかりする必要もないのではないかと。場合によっては、自信を持てることにもなるのではと。気持ちが前向きに変わっていきました。
②体が弱くて残業したりハードワークが出来ないことが弱みと捉えている方がいましたが、それゆえに、体調に最大限の注意を払って、何をするにしても無駄のないように必要最小限のエネルギーで業務を行っていることがわかりました。そこには、他の誰よりも、計画性であったり、合理的、効率的な思考が活かされていて、それは強みともいえるもので、他にも有益な活用法もあるのではないかと気づいて頂くことができました。
こうしたかたちで、普段の社内の上司・部下の間や、同僚間でも、ポジティブフィードバックを意識したコミュニケーションを図って頂くと、モチベーション向上や定着率アップにもつながると思います。
すぐには難しいという場合は、キャリアコンサルタントという専門家の立場で、ご支援も可能ですので、お気軽にご相談ください。