ポジティブな言葉、ネガティブな言葉
■カウンセラーの実力は様々
私どものところに、たまに、以下のような内容の問い合わせをいただきます。
「いくつか他のカウンセリングルームに行ったのですが、どのカウンセラーもただ話を聴くだけで、何もしてくれませんでした。そちらでは、何かアドバイスをしていただけるのでしょうか?」と…。
お問い合わせをしてきた方は、今まで色々なカウンセリングルームに行ったけれども全く効果を実感できず、疑心暗鬼にもなり、ときおり「心理カウンセリングって意味ないのかなぁ」と言って、とても不安そうな声でした。
ご存知の方も多いと思いますが、カウンセラーという名称を使うことに対して、法律上の制限や制裁はありません(*)。
誰でも「私は、カウンセラーだ!」と名乗ってしまえば、すぐにでもなれてしまいます。
(*心理職の国家資格として、唯一、「公認心理師」があります。公認心理師法(2017年9月15日施行)では、名称の使用制限が規定されており、公認心理師でない者が「公認心理師」「心理師」を名乗ると30万円以下の罰金を科せられます。)
『カウンセラー』と名乗っている人たちの中には、しっかりとしたトレーニングを積むことなく、資格を付与してくれる団体から送られてくるDVDを数時間観ただけで、あるいは本を読みあさっただけで、簡単に「○○カウンセラー」「○○療法士」などと名乗っている方がいるようです。
そのような方たちがカウセリング業務を行うことは、実力的には大いに難があるでしょうが、法的な部分に関しては問題がないというのが現状です。(カウンセラー選びは、慎重に…。)
適切な時期と関係性でのアドバイスが重要
上記のお問い合わせをしてきた方は、不運にも実力のないカウンセラーにばかり当たってしまい、それ故に話を聴いてもらう以上のことをしてもらえなかったということも考えられます。
でも果たして、実力不足のカウンセラーにしか出会えず、ただ単にまともなカウンセラーに巡り会う機会がなかった、ということだけだったのでしょうか。
私はいつも、そのような問い合わせをいただくと、その方に尋ねてみるのです。
「あなたは、そのカウンセラーのもとで、どのくらいの期間、回数、カウンセリングを受けたのですか?」と…。
すると、たった1回だけ、あるいは多くても2、3回ほどセッションを続けたという回答がほとんどです。
どうでしょうか、少し考えてみてください。
長年悩み続けていたものが、2、3回程度のセッションで一気に消え失せてしまうなど稀なケースでしょう。
私は、カウンセラーは、クライアントの悩みを単に聴くだけではなく、適切な時期と関係性での相当程度なアドバイスならしてもよいと思っています。
ただし、適切な時期や関係性を全く考慮せず、安直にアドバイスをしてしまうと、変容への準備が整っていないクライアントに対して、混乱や抵抗を生じさせてしまいかねません。
■悩みは人それぞれ
悩みはその人の固有のものであり、似たようなことを悩んでいても、人それぞれ全く同じように悩んでいるわけではありません。
カウンセラーが、クライアントの語りにじっくりと目を向け、耳を傾けることを続けることで、クライアントは、カウンセラーとの間に感情の交流を真に行うことが出来るようになります。
そういった関係性があるからこそ、クライアントは『一人では抱えきれない厄介な問題』に向き合えるようになり、変容のプロセスが動き出していくのです。
ずっと悩んでいた問題を相談しに行こうと決意するまで大変迷われたことでしょうし、最初にカウンセリングルームを訪れたときなどはとても緊張したことでしょう。
せっかく勇気を出して一歩踏み出したのですから、「このカウンセラーは誠実そう、信頼できそう、自分との相性もよいかもしれない。」と思える感触がありましたら、少し継続してやっていくことも考えてみてはいかがでしょうか。
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クラージュ こころ カウンセリングルーム
■公式サイト⇒ 【https://kokoro-kulala.com/】
倉持良信
公認心理師・産業カウンセラー・行政書士
杉山裕子
産業カウンセラー・認定心理士・メンタルヘルスマネジメントⅡ種 Ⅲ種