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【AX化事例】紙台帳の呉服店がAIチャットボットで売上を伸ばした話

大石湧斗

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「AI導入なんて、呉服業界には関係ないでしょう」

最初にそう周りから言われていたのは、創業90年を迎える地元の呉服店でした。それから数か月後、同じ呉服店が私たちにこう言ってくださいました。「AIもどんどん成長していくので、もう君たちがいないとダメだ」と。

今回は、伝統業種の老舗と私たちが二人三脚で歩んだ、AI導入の実例をご紹介します。

「うちには関係ない」という、よくある思い込み

私たち株式会社Milestoneは、静岡県沼津市を拠点に、企業ごとにオーダーメイドで開発するAIチャットボットや、生成AIを活用したシステム開発・コンサルティングを行っています。

ご相談をいただく前に、多くの経営者の方が口にされるのが「AIは一部のIT企業のためのもので、うちのようなアナログな商売には縁がない」という言葉です。

今回ご紹介する呉服店も、まさにそうでした。しかし結論からお伝えすると、衰退産業とまで言われる業界にありながら、この店舗は営業時間外の予約を着実に増やし、売上を伸ばし、いまでは全国展開という次の夢を語るまでになっています。

これは特別な大企業の話ではありません。紙の台帳で顧客を管理していた、地域に根ざした一軒の呉服店の実例です。

紙の台帳と、「日本一面白い呉服店」という誇り

ご相談くださったのは、創業90年という長い歴史を持ち、地元に深く根を張ってきた呉服店でした。顧客の情報はすべて紙ベースで管理されており、社長ご自身も当初は「AIは必要と言われているけどうちの会社にどうやって活用ができるのか」と考えておられたそうです。デジタル化(AX化)という言葉とは、最も遠いところにいるお店のように見えました。

しかし、初めてお話を伺ったとき、私はこのお店に強い魅力を感じました。社長が掲げていた理念は「日本一面白い呉服店」。接客でもSNSでも、とにかくお客様を楽しませることに本気で情熱を注いでおられたのです。歴史の重みと、それに反するような遊び心。この温度感こそが、このお店の何よりの財産だと感じました。

だからこそ私は、「AIで効率化しましょう」という無機質な提案だけは絶対にしない、と最初に心に決めました。このお店らしさを損なうことなく、むしろもっと引き立てるためにAIを使おう、それが私のなかでのスタートラインでした。

抱えていた悩みは、「丁寧でありたいのに時間が足りない」

お話を重ねるなかで、いくつもの切実な課題が見えてきました。

一人ひとりに向き合いたいのに、問い合わせ対応に追われる

お客様からの問い合わせ対応や資料探しに時間がかかり、本来いちばん大切にしたい接客業務に割ける時間が圧迫されていました。丁寧に向き合いたいという思いがあるからこそ、対応に時間を取られてしまう現実が、社長を悩ませていました。

「夜にじっくり検討したい」というお客様を取りこぼしていた

営業時間外は問い合わせ対応をしていなかったため、「夜にゆっくり考えたい」というお客様を逃していました。日中は仕事をしている方が多く、着物のような特別な買い物ほど落ち着いた夜の時間に検討したいもの。その大切な時間に、お店の窓口は閉まっていたのです。

遠方のお客様が、試着を体験できない

遠方にお住まいのお客様は、来店前に着物を試すことができず、「行ってみたいけれど、似合うか分からない」という不安が来店のハードルになっていました。

人手不足と、業界の先行きへの不安

慢性的な人手不足に加え、衰退産業と言われる呉服業界のなかで、どうすれば生き残っていけるのか…。社長は、長い歴史を背負う者としての責任感から真剣に悩んでおられました。その姿に、私は強く心を動かされました。

信頼の始まり 。「根性がある」と認めてもらえた日

社長と出会った最初のきっかけは、社労士の先生からのご紹介でした。とはいえ、紹介があれば必ず仕事を任せていただけるわけではありません。

社長は「若い世代に投資したい」という強い気概をお持ちの方でした。これまでも若手に仕事を頼んでこられたそうですが、なかには途中で投げ出してしまう人もいたといいます。そんな経験を重ねてこられた社長が、私たちの仕事ぶりや向き合う姿勢を見て、「こいつらには根性がある」と認めてくださったのです。

若い人間を信じて大切なお店を預けてくださるのですから、その期待にだけは絶対に応えたい。任せていただけた瞬間の、あの身が引き締まる思いは今でも忘れられません。社長の懐の深さが、このプロジェクトのすべての出発点でした。

現場に寄り添い、そのお店だけの仕組みをつくる

最初から徹底したのは、現場に寄り添うことでした。できる限り24時間体制で、スピードを最優先に対応しました。納品して終わりではなく、隣に立ち続けて一緒に走る、その姿勢を何より大切にしました。

さらに、大学で経営学を専攻した経験を活かし、この呉服店の顧客特性に合わせての、的を射たシステム設計を行いました。どこかで使われている汎用品をそのまま当てはめるのではなく、このお店のためだけのAIチャットボットを一から組み上げていったのです。

また、遠方のお客様の試着の悩みを解決するため、AI着せ替えシステムも開発しました。着物の写真をあらかじめすべて撮影しておき、お客様がご自身の体をカメラで写すと、まるで本当に袖を通しているかのような姿を画面で確認できる仕組みです。「似合うかな」という不安を、来店前のワクワクへと変えたいという思いを込めました。

いちばんのこだわりは「女将と話している」と感じてもらうこと

数ある工夫のなかで、私たちが最もこだわったのは、AIチャットボットで自然な会話ができるようにすることでした。

機械と無機質にやり取りしているような印象では、このお店らしさが死んでしまいます。そこで私たちは「女将」のキャラクターを丁寧に作り込み、お客様がまるで本物の女将さんと語らっているかのように感じられる体験を目指しました。

「日本一面白い呉服店」という理念を、AIのなかにまで宿らせたかったのです。ロボットではなく、人と会話している感触をどれだけ出せるかに、私たちは知恵を絞りました。

さらに、チャットボットを通じて「お客様が本当は何を求めているのか」というデータを蓄積し、毎月マーケティングレポートを作成してお渡ししています。

ただの問い合わせ窓口で終わらせず、いまお客様が何を求めているのかを言葉にしてお伝えすることで、サービスの改善や売上の向上へと、確かにつながっていきました。

数字の上昇とともに、お店に戻ってきた笑顔

取り組みの成果は、目に見える形で表れ始めました。Web予約で24時間対応できるようになったことで、店舗の営業時間外の来店予約が増え、結果として売上が伸びました。これまで取りこぼしていた「夜に検討したいお客様」を、しっかり迎え入れられる体制ができあがりました。

そして何より大きかったのは、問い合わせ対応をAIに任せられるようになったことで、社長やスタッフの方が、目の前まで足を運んでくださったお客様に、心から集中できるようになったことでした。あれほど悩んでいた「丁寧に向き合いたいのに時間がない」というジレンマが、少しずつほどけていったのです。

あわせてホームページも整理し、ユーザーにとって分かりやすいものへと改善。お客様の悩みや知りたいことがデータとして蓄積されるようになったことで、「今、何をすればお客様に喜んでいただけるか」が、はっきりと見えるようになっていきました。

「君たちがいないとダメだ」という社長のお言葉

ある日、社長や社長の息子(四代目)より、このようなことを仰ってくださいました。

「自分たちだけでやっていたら、ここまでできなかった。AIもどんどん成長していくので、もう君たちがいないとダメだ」

この言葉を聞いたとき、これまで一緒に走ってきた日々が報われた気がして、胸が熱くなりました。

その時、社長の目はすでに次を見ていました。「売上も伸び、業務が効率化して時間にも余裕ができた。次は地元だけでなく、全国をターゲットにした施策がしたい」。

さらには「体験型の店舗にしたい。試着などは店舗で実践して、購入はオンラインで」という新たな構想まで語ってくださり、次のお仕事も任せていただいています。今後はLINEマーケティングにも取り組みたいとのことで、私たちはこれからも、このお店の伴走者であり続けます。

「君たちがいないとダメだ」という言葉は、依存ではなく、一緒に未来を描けるパートナーとして認めていただけた証だと私は受け止めています。

「うちには関係ない」と、足踏みしていませんか?

この事例から、かつての社長と同じ思いを抱える経営者の方に、お伝えしたいことがあります。

日中は忙しく働き、自分のことをゆっくり調べたり検討したりするのは夜、という方は本当に多いものです。そんな時間に「営業時間外だから」と窓口を閉ざしてしまうのは、せっかくの出会いを自ら手放しているのと同じで、とてももったいないことだと思うのです。

「うちは顧客対応がメインじゃないから」「そもそも業種が違うから」「うちの会社では難しそう」と決めつけて、一歩を踏み出せずにいる方を私はたくさん見てきました。

しかし断言します。どんな会社にも、必ず素晴らしい強みがあります。お話を聞かせていただければ、私はいつでも自信を持ってその可能性をお伝えできます。あなたの事業をプラスに変えるための設計を、共に一から構築していきますので、「こんなこと聞いてもいいのかな」とためらわず、どうぞお気軽にご相談ください。

少ない予算でもまったく問題ありません。創業90年の呉服店がそうだったように、あなたの会社にも、まだ気づいていない可能性がきっと眠っているはずです。

株式会社Milestoneは、企業ごとにオーダーメイドで開発するAIチャットボットにより、業務効率化や人手不足といった現場課題の解決を支援します。導入後の運用支援やデータ活用まで伴走し、集客・売上向上にも貢献します。
詳しくは、ホームページをご覧ください。

___________

【開発したもの】


①大田呉服店女将AI (AIチャットボット)

https://oota-chatbot.vercel.app/
※大田呉服店のホームページからも確認できます

②バーチャル試着AIシステム『ためしぎ』

・振袖
https://oota-gofuku-tryon.vercel.app/

・七五三
https://oota-shichigosan-tryon.vercel.app/

③予約システム

https://oota-calendar.vercel.app/

④呉服診断システム

https://kimono-diagnostic-tool.vercel.app/

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大石湧斗
専門家

大石湧斗(生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング)

株式会社Milestone

企業にあわせてオーダーメイドで開発するAIチャットボットにより、業務効率化や人手不足といった現場課題の解決を図ります。導入後の運用支援やデータ活用まで伴走し、集客や売り上げ向上にも貢献。

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