雨の日に頭痛がしたりする原因にはちょっと複雑な事情が絡んでいます
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
うだるような暑い季節はまだまだこれからです。特にじめじめした梅雨の時期に暑くなると、ジワジワと体力が奪われていくようです。
スポーツでも、夏場に強い選手とそうでない選手がいるようです。サッカーでは、走ることに長けたチームは夏場に強く、寒くなってくると技術主体の戦略を有するチームがどんどん勝ち始める、と聞いてます。
できたら夏バテをしたくないですね。そこで今日は、どうして夏バテしてしまうの?という疑問に答える形で、夏バテ対策で有効な方法をおつたえしたいと思います。
1)夏バテって何?
【今日のテーマ】
そもそも夏バテってなに?
症状にはどんなものがある?
対策法はどんなものがある?
夏バテというのは基本的には
- 自律神経の乱れ
- 体のミネラルバランスの乱れ
- 食欲低下
が3つの主要な原因です。これはもっと簡単にいうと、エアコンの使いすぎ、塩分などのミネラル不足、そして冷たいものの摂りすぎが原因といえます。
2)エアコンの効かせすぎに注意
自律神経の乱れは、10度以上の寒暖差のある空間を行ったり来たりする事などにより生じます。交感神経と副交感神経の優位性が細切れに切り替わったりすることで生理機能が全般的に低下するのです。
エアコンの効かせすぎが大きな原因ですが、問題は、空調設定は、自分の意見だけで決められないこと。そのため、職場であれば夏バテ対策としてエアコンの設定についての理解を共有することが有効ですし、エアコンの効きすぎた場所に入る際には、肌を表に出さないために何かを羽織ることだけでも有効です。
3)自律神経の乱れとは?
交感神経が優位な状態とは、緊張が必要な状況、集中している状況などで、反対に副交感神経が優位な状態は休んでいる時です。
通常は緊張すべき時に緊張し、休むべき時に休むことで効率的に生命機能を維持しているのですが、その効率的な切り替えがうまくいかなくなるのです。
自律神経は内臓や血管、ホンモン産生など各種の体の機能に連動しているため、自律神経が不自然に切り替わる状態になると体の機能が全般的に不全状態に陥ってしまうのです。
4)ミネラルバランスは自律神経の乱れも生み出す
自律神経の乱れは、体の中のミネラルバランスの乱れから生じることもあります。自律神経の情報を送るのはナトリウムなどのミネラルです。また体の各種の細胞のイオンバランスを維持しているのがカリウムなどです。
通常、これらのナトリウムやカリウムといったミネラルは体にとって不可欠なミネラルのため、体内に一定量保たれるような仕組みが体に備わっています。しかしナトリウムやカリウムといった水溶性のミネラルは汗に水溶性で溶けやすいため、汗と一緒に体から排出されてしまうのです。
ミネラルバランスが崩れることで、体が自分を健康な状態に置こうとするホメオスタシス(自己恒常性)が崩れることにつながるのです。
5)汗と一緒にビタミン類も流れ出してしまう
汗と一緒に体から流れ出るのはミネラルだけではありません。ビタミンCやビタミンBといった水溶性のビタミン類も一緒に流れ出てしまいます。
ビタミンB類は体がエネルギーを利用する際に必要となったり細胞の生成に不可欠なものですし、ビタミンCも体を痛めつける活性酸素を不活化させる上で重要な役割を担う化合物です。これらの水溶性ビタミンは
- 体に溜め込むことができないので、随時食物として体に取り込む必要がある
- 汗として体から放出されやすい
ために、特に夏場は意識的に口にする必要があるものです。
6)夏バテ対策に有効な食べ物
ビタミンB1については、ニンニクに含まれるアリシンという成分がビタミンB1と結合することで、体に取り込みやすくするという性質を持っているので、豚肉とニンニクを一緒に調理することは夏バテ対策に有効です。
またビタミンCは、先ほども触れたように体内の活性酸素を不活化させる他、ビタミンB類の働きを助けてくれる働きも担います。
その他、夏バテ対策としては以下のようなものがあります。
クエン酸・・筋肉が疲労している状態は、疲労の結果生成される乳酸が蓄積されている状況とも言えますが、クエン酸はこの乳酸の分解を促進します。そのため、疲労の予防の意味で運動前、仕事前に摂取することで夏バテの予防を期待出来ます。
お味噌汁・・お味噌汁のミネラルバランスは経口補水液に近いと言われています。お豆腐、ワカメ、ネギ、味噌と、ミネラルとタンパク質のバランスに優れています。
冷たいものの摂りすぎを避ける・・冷たい飲み物は体にこもった熱をとるのに即効性を持つので、有効に摂ることが大切ですが、摂りすぎは胃腸の運動を弱めるので、食欲低下症状などを引き起こすことにつながります。大切なことはクエン酸やビタミン類、ミネラル分を含んだ水分を有効に取り込むことです。
以上、夏バテしないために心がけるポイントを挙げてみました。夏バテはやる気や意識で乗り越えられるものではありません。正しい知識を持って対策していくことのみが有効なのです。