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栗原憲二

一人一人の気持ちに寄り添う服薬指導のプロ

栗原憲二(くりはらけんじ) / 薬剤師

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コラム

毎日の職場を学びの場として次に生かすこと

2024年6月20日

テーマ:在宅医療、薬剤師の成長、勉強、新しい取り

コラムカテゴリ:医療・病院

富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。

実はふじやま薬局は、小児ならびにアレルギー分野も得意分野です。


ふじやま薬局松岡店では最先端の機器を導入し、安全確実なお薬の混合、調剤に取り組んでいます。

またお母様目線、子供目線に立って服薬指導をさせていただいてます。


今日は、私ども薬剤師の働きについて少し考えるところをお伝えしたいと思います。

1)知見、または直感的なものの共有をする

ふじやま薬局では在宅の働きに携わらせて頂いてますが、在宅の現場においても、薬剤師同士が常に学びを続けており、手にした知見を共有する体制を整えています

ただし、単に知識の共有ということ以上に、

  • 薬剤師としての経験や知見
  • ある種の直感的なもの


を共有できる事の方が、より価値ある結果を導き出す事ができると私は感じています。

少し難しい言い方をすると、多くの情報の中から最適解を導き出す統覚的な判断力みたいなものです。

車の運転に長けたドライバーは、交通状況を見て、何か違和感を察知して危機を回避するといった事があると思います。何か一つの情報から判断するというよりも、全体を鑑みて、何かの兆候を読み出すような知的作業です。

2)それぞれの経験や知見を活かす

患者様に指導をする際にも、さまざまな要因を考慮して検討しなければならない状況も多々あります。その場合、1人の薬剤師が調べて結論を出すよりも、複数人の薬剤師が経験に基づく知恵を出し合った方が、より確実で患者利益の大きい結論に至ることも少なくありません。

それぞれが得意な分野を持っているので、お互いの知見を共有し合うことで、ほんの1人の優秀な薬剤師以上の働きができると考えています。

3)大学は考え方、調べ方、検証の仕方を学ぶ場所

現在、薬剤師になるためには、大学の薬学部において6年間の学びが必要です(すなわち修士課程修了が条件です)。それで大学で薬剤師として働く上での知識が十分に身につけば良いですが、近年のお薬の開発のスピードは高まっており、大学時の知識のままだと5年10年の単位で追いつけなくなってしまいます

大学の薬学部では、知識を手にするということよりも、

  • 薬剤師としての基本的な考え方
  • 情報の調べ方
  • 検証の仕方を身につける


ことのほうが、将来的な視点に立てば重要だと言えます。


4)職場での経験を重視する学びが大事

「生涯学習」ということですから、薬剤師は必要な学びをするために仕事が終わった後で近くの研修センターに駆けつけて1時間半の学びをすることもあります。それで「単位」を得て、各種の認定資格を認定されることになります

けれども研修センターでの学び以上に、実際の仕事の現場で、生きた患者様の症例と向かい合う中で思索し、検証していくことを重視することの方が薬剤師としてより相応しい歩みと言えると思います。何故なら職場という現場は、日々、数多くの将来と向かい合う価値ある機会と言えるからです。

患者様を待たしている間に情報を検索し、事柄の妥当性を見極めること。それには経験と知識が必要です。そうして得られた知見がさらに次の知見を手にすることにつながるのです。しかも自分の職場での出来事ですから、そのすべての営為が患者様の利益につながるチャンスがあるのです。

5)AIを「信頼」することには注意が必要

最近はchatGPTが普及しています。自分の設定した質問に対して巨大コンピューターが解を導き出して教えてくれるのですから、それはすごいことです。

でもchatGPT自身は、自分のまとめた情報を理解する事ができません。自分の検証力を持たずに、あくまでも大多数の意見をまとめるのが基本です。インターネット上の大多数の情報が間違っていれば当然、間違った答えが導き出されます。

最近、話を聞いていて面白いと思ったのは、『フランダースの犬』の物語についてのchatGPTの解説でした。主人公ネロは、愛犬のパトラッシュと共に、教会の中のルーベンスの絵を見る場面で最期を迎えます。大変悲しいお話です。どうしてこれが特別な出来事と言えるのか?についてchatGPTの回答は、

  • 当時の教会の絵画を観るには、今と違って特別な立場でないと許されなかったから
  • 絵画を見るために高額な費用を要求されたから

とのことだったそうです。

https://www.nippon-animation.co.jp/work/843/
(から画像を転載させていただきました)

でも批評家の岡田斗司夫さんは以下のような解説をされています。当時教会の中に外部の子どもや、まして犬が礼拝堂の中に入ること自体がとても難しいことだったと。確かに聖書の中では「犬」という言葉は、神の特別な民から除外された存在を意味するものだったので、ネロ以上にパトラッシュが礼拝堂の中に入ること自体が奇跡的なことだったと言えるでしょう。

『フランダースの犬』というお話は、実は「犬」の奇跡の物語だったというわけです。

6)失敗を次に生かす

人間も、残念ながら間違いを犯します。薬剤師だって常に医療的事故やヒヤリハット(医療事故の手前の出来事)と隣り合わせです。でも、逆に人間は、自分の失敗から学習し、それを次に生かす危機意識を持ち得ます。コンピューターに、そのような意識を求めることは現実、難しいでしょう。

薬剤師は人間で、それ故のミスも犯しうる存在だけど、少なくともそのミスを次に活かす事ができます。日々の経験を大切に受け取っていくこと。その積み重ねが大事と思っています。

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