処方箋を受け取った時の裏技をお教えします
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
今日は「効く」と信じるだけで効く薬について皆様にお伝えしたいと思います。
目次
1)実在の疑われるお薬
とはいえこのお知らせは少し矛盾しています。「効く」と信じれば効くんだ、ということは、このお薬の働きをもしかしたら効かなくさせる可能性が高いからです。
ということはこの「お薬」は、実在するようでいて、実は実在しないのかもしれません。
そういう意味ではまことに、効くと信じれば効く薬、いや、正確にいうと言うと「信じていれば」効く薬、という意味で、信仰のためされるお薬と言えます。
2)プラセボ薬は決して無視できないお薬
このお薬の正体はプラシーボと言います。プラセボとも言います。その効果のことをプラセボ効果と言います。
実際はなんの薬効もないのに、「これは胃薬です」とか「頭痛に効く」と言って被験者に飲ませると、飲んだ人のうち3割程度はその効果が生じる、というものです。
こついうお薬?の存在のため、お薬を開発した時には必ず、そのプラセボ効果を排除するために、全く薬効のない糖分とか、または全然別な軽い薬効のあるお薬を服用させて、データからこのプラセボを排除する手続きが必要なほどです。
3)現場でも使われるプラセボ薬
こういう、あるかないか分からないようなお薬について、どう思われるでしょうか?薬効がないのだから信じるに値しない、という人もいるでしょう。でもさまざまな統計から、実に3割の人がその効果を実感しているのですから、反対にその存在を信じた方が良いのではないかと考えたりするのです。
例えば胃薬を受け取ったとして、そのお薬は「効く」と信じて服用すると、3人に1人くらいの効果の違いを生じさせてしまうのですから、信じてそれを上手く活用した方が良いのではないか?と思いませんか?
実際のところ医療の現場でも、ただの整腸剤を「精神的な安定剤」として処方がされたりすることは珍しいことではありません(その場合、そのお薬の説明書はその患者様に伏せられた形で配薬されます)。
4)プラセボ効果を積極的に活かす
上記の場合はほとんど周りから強いられて、効くと思い込まされて飲まされている感じではありますが、自分が服用するお薬についても、この効果は活かした方が良いと私は思います(自分に損する話ではないのですから)。
プラセボ効果は、とても身近な効果であると私は思います。新しい化粧品が出ればそれはよく売れます。私の友人が化粧品の輸入をやっていたのですが、「とにかく新しいものが売れる」と言っておりました。新しくて、それまでなかった化粧品であれば、自分は変わるかもしれない・・。
「こうすれば痩せる」「こうすれば健康になれる」。みんなそんな情報によりすがって、美容と健康の世界は成り立っているのが実情ではないでしょうか?
物を買う側としては、売る側に釣られているのかもしれません。でもそれで自分の美容・健康意識が変われば、少なくとも良い方向には進んでいるともいえます。私たちは毎日、自分に元気や希望を与えるために、自分を動機づける情報を、私たちは毎日消費しているのです。
5)「理解して信じる」という領域もある
「信じる」という場合、全く頭で理解できないことをこそ「信じる」こともあるでしょう。でも、実際のところはどうなのか分からないけど、説明を聞いてそれが効くという道理は分かった、だから信じてそれを飲んでみよう、という場合だってあると思うのです。
「信じて飲む」以上は、できるだけ「疑念」は払拭した方が良いでしょう。お薬について不明な点があれば、出来るだけ自分で調べてみたり、薬剤師に質問したりすることをお勧めします。納得出来て、その納得を土台として効くと信じて服用すれば、実際、データ上は好ましい結果が得られるのです。
美味しいワインだって、専門家の説明を聞きながら飲んだ方が美味しいですし、料理だってそうです。目の前で握られる寿司は、寿司職人の手際の良さから「これは美味しい」と思い込まされるプラセボ効果も入っていると私は思ってます。
6)「プラセボ」に対する正しい向き合い方
プラセボ薬、またプラセボ効果に対する正しい向き合い方は、プラセボ効果という心理的な効果というものは確かに存在するのだと理解した上で、だけどその効果は必ずしもその「モノ」に効果があったりするのではない、という冷静な目を持つことだと思います。
プラセボ効果は、自分を積極的に動かす動機になることもあれば、人や情報に踊らされる悪い原因にもなったりします。正しくこの効果に向かい合って頂きたいと思うのです。