わたしの失敗
こんにちは。富士・富士宮地区で在宅医療に関わる薬剤師、栗原です。
1)カープ第一次黄金時代の思い出
私は広島出身ですのでカープファンです。二十歳を超えてから大阪、神戸、福島、高松と県外を転々とする働きをしておりましたので、しばらくカープの試合をテレビで見る機会も減っておりました。
私が中学生、高校生の頃、カープの第一次黄金時代を迎えました。毎日のように(少なくとも子供ながらの私の印象では)、山本浩二がホームランを打ち、故津田投手がバッタバッタと打者を打ち取っていました。高校生の頃、日本シリーズが広島球場で行われることとなり、校長先生から「明日は行くなよ」と厳命が降りました。その中でも応援に行った友人がおりました。今から考えたら、行ってもよかったな・・とか思ったりしますけど・・。
当時はカープの人気も、戦後の広島の焼け野原の募金活動で球団が支えられたりなどの物語もあり、地元民限定という感じがしたものです。でも以前の広島の市民球場からアクセスの良い現在の広島駅近くのZoomZoom球場に移ったことも理由なのか、人気も全国的になり(それとも隠れカープファンが元々各地にいたのかわかりませんが)、各地の球場にも真っ赤なユニフォームを着た応援団が集まっているようですね。昔の広島出身の人間としてはびっくりするような、不思議な思いを抱いています。
2)高橋慶彦氏の記事に示されたこと
最近、YouTubeの番組に、第一次黄金期を支えた選手たちが登場してくる姿を拝見します。野球選手の方々は、やはりチームプレイのスポーツのためか、とてもコミュニケーション力が高いと感じるのですが、お喋りもお上手だと感じます。子供ながらに抱いたヒーローたちのざっくばらんな昔話に、まるで神々のお喋りのような印象を抱いています。
当時から全国的な人気を誇り、村上龍さんの『走れ、タカハシ』でも主人公として描かれている高橋慶彦氏の以下の記事に目が止まりました。
高橋慶彦氏が語る広島黄金期「みんな古葉監督と同じ考えだった」
以下間接話法で引用しますと・・。
当時の古葉監督の考え方がチームに浸透していて、みんなが同じ方向を向いていた。監督からは、とにかくボールから目を切るなと教えられた。試合中、ボールに集中するように徹底された。するといつか、ボールを見ているだけで色々な連想が生まれ、次にどう行動すべきか、どの選択肢を取るべきか・・。みんなが同じことを考えていた・・。
私はこの記事を読んで、なるほど、と合点したのです。・・当時の「古葉野球」の何たるかをもそうなのですが、私の仕事にも通じる部分が確かにあると・・。
3)一人の患者様から目を切らない
それは、一人の患者様から目を切らないということの大切さです。以前おられたベテランの同僚のお働きを見ていて気がついていたのですが、とにかく外来患者様が入ってきた瞬間に確実に目視し、確認作業を行なっておられました。それを見て、この記事を読んだので、自分の中で繋がるものがあったのです。
①外来患者様の場合
一人の患者様から目を切らさないこと。薬局に入ってこられた瞬間から目視し、情報を得る。急いでいらっしゃいそうだ、とか、足を怪我されている、顔色が良くない、定期受診患者様だとか新来会者様だ・・。そういったことを情報として確実に得て、お薬をお渡しするまでの流れを作り出していくこと。
また処方箋を最初に確認し、在庫はあるか、もしなければ卸(おろし)にはあるか電話で確認すること。処方内容に問題があればすぐに処方元医院に確認し、疑義照会を行うこと・・。
一人の患者様に目を止め、連想を生み出し流れをイメージしていくこと。それをチームとして共有していくことがやっぱり大事なんだと思わされたのです。
②在宅患者様の場合
私たちはそれにご自宅にお薬をお届けする働きも加わります。
在宅往診の場合、最初に薬局に処方箋がFAXで飛んできます。ファクシミリの音が鳴り、FAXが印刷され、その内容を確認したら、受付でパソコンに入力していただく。お薬をピッキングする中で、在庫が足りなければ卸(おろし)に電話で在庫を確認する・・。もしも内容が継続処方であれば、当日中に配薬しなくても、翌日以降でも大丈夫かもしれない。不足薬として後日お届けするとして、どのようにスケジュールを組み立てるのか・・。
③受診(往診)予定患者様の場合
外来対応であれ在宅対応であれ、予(あらかじ)め受診(往診)予定が分かっている患者様の場合、お薬に不足が生じないように在庫管理を行い、場合によっては前もってお薬を発注しておくことも大事です。ボールが飛んでくる前にイメージを行い、実際に飛んできた時に迅速に対応できるように準備していなければなりません。
④朝のミーティング
朝のミーティングも同様です。当日の予定確認を行い、予測し、実際に患者さまが来られる時の対応をとりあえず準備しておくことが不可欠です。引き継ぎが必要な患者様が来局予定であれば、当然情報を共有しておくことが必要です。何かトラブルがあれば、その対応について検討することも必要です。それは、ボール(患者様)から目を切らないための予行演習とも言えるでしょう。
イレギュラー(予測していなかった動き)への対応力は、予め予測しておくからこそ生み出されるものとも言えるはずです。実際のところそういった事例への対応力が、当日の仕事の流れを決定づけたりするものです。
結論)患者様貢献のために
以下が、高橋慶彦氏の記事を読んで私に示されたことです。
一人の患者様から目を切らさないこと。そこから生まれるチーム力や対応力。それが薬局の機動性を作り出し、より患者様に貢献できる働きを生み出す。
なんでも本質的な事柄は、他の業種にも活かせるという思いで私も色々な記事を読んだり本を読ませていただいています。何か自分を惹きつけるものがあるのだとしたら、おそらくその背後には何かの宝が隠されている・・。高橋氏の今回の記事を読んで、改めてそう思わされました。
今後もわたしたちは、より患者様に提供できるサービスのあるべき姿を追求していきたいと思っています。
在宅医療など、お知りになりたいことがありましたら一度わたしどもに連絡をよろしくお願いします。お待ちしております。