薬剤師は薬を飲まない??
目次
富士市にありますふじやま薬局の栗原です。在宅医療(自宅、施設)の他、整形外科の門前、透析患者様の対応をさせていただいています。
1)日々の働きを通して知見を広げていく
内科、整形外科、透析、終末医療など、各分野にわたるお薬ならびに患者様と接しているため、日々、学びの機会が与えられていることを嬉しく思います。なぜなら日々、対応させていただいた患者様から得た知識を、次の日に別に患者様に適用することができるからです。
そのために必要なことは、患者様から大切な、生きた情報を集めさせていただくことです。痛みなどの自覚症状はもちろんのこと、なぜそのお薬を飲むことになったのか、医師からどのような指示・指摘があったのか・・。そういった情報の積み重ねの先にしか、薬剤師としての良い働きは生み出しようがありません。
2)お薬の勉強の継続する
当然ですが、薬剤師はお薬の専門家です。お薬がどのような化学構造を持っているのか?その性質はどのようなものか?仕事に追われていても、日々の仕事を通して得た知見を土台に、お薬についての知識を得ていくことがとても大切です。
薬剤師が習得しなければならない学問分野は広くありますが、薬学部で学ぶ学問として代表的なのは薬理学と呼ばれる学問です。それはお薬の働きについての学問です。お薬がどのような部位に、どのように作用するのか・・。こういった学びは大学で修めたらそれでお終いではありません。毎月勉強会が地方の薬剤師会主催で開かれていますし、個人としても、一年に一度は体系的に教科書的なものを読み直すことを繰り返す必要があると感じています。人間ですから忘れたりしますし、それまでとは全く異なる作用を持つお薬が出ることも珍しくないからです。
3)薬剤師は体の専門家でもある
でも、ぜひ覚えていただきたいことは、私たち薬剤師はお薬を服用される患者様のお身体についての専門家でもあるということです。
薬学部の教室でも、病態生理学や薬物治療学、機能形態学といった、医学部でも教えられている内容を、やはり薬剤師も学ぶことが義務付けられています。
薬剤師が処方箋を受け取った時に監査することには以下のような点があります。
医師の出された処方箋の内容に問題はないか?
併用薬との相互作用はないか?
この患者様がこのお薬を飲むことについて問題はないか?
以上のチェックを行うために、処方箋を受け取った際、並びにお薬をお渡しする際に患者様にご協力いただくために、色々な点を質問させていただくことになります。
以上の点から言えるのは、薬剤師がお薬をお出しする際に見ていることには、処方箋の内容のみならず、そのお薬を患者様がお身体に入れた際に、どのような作用があるのかということを含んでいるということです。
すなわち、お薬を体に入れた時に、それがどのような働きを持ち、どのように体を巡っていくのかということを考えてお薬をお渡しさせていただいているのです。そのため薬剤師はお薬のみならず患者様のお体についての専門家でもなければならないわけです。
4)お薬が体に入って、出ていくまで見届ける
お薬は、一旦飲めば、永遠に作用するわけではありません。体の働きによって、その作用が減弱、消去(代謝)されていきます。
主にその働きは主に、
○お薬を体に取り込む「小腸」
○体に入ったものに毒性がないかチェックする「肝臓」
○代謝物を尿として排泄する「腎臓」
でなされています。
そのためお薬は小腸や肝臓ならびに腎臓に何がしかの影響をもたらすことがあります。
たとえば薬局で痛み止めを出された時、一緒に胃薬を渡されることがあるでしょう。痛み止めは胃腸の保護作用を低下させることで胃炎の発症を誘引させることがあるからです。何十年も痛み止めのロキソプロフェン錠を飲んでいれば、腎臓にも何がしかの影響をもたらすことでしょう。子供用の解熱鎮痛剤として出されるカロナールも、継続服用により肝臓の数値を悪化させることがあります。
言うまでもないことですが、お薬一般は、体が本来持っているホメオスタシス(自己恒常性の存続能)を助けるもので、そのメリットは上記のようなネガティブな影響よりも遥かに大きなものです。
5)一人ひとりに合ったお薬をお出しすること
でもお薬は化学的構造を持ち、体にとっては異物です。体にとってそれが異物であると認識された時、代謝(解毒)が始まり、その働きを消去するのですから、体にとっては多少の負担がかかるわけです。
そのため薬剤師は、お薬がそれを服用する患者様にとって、過度の負担になる可能性はないか、検討させていただくことになります。患者様の腎臓や肝臓に大きな問題はないか?そういったことを服薬歴、持病などを素材に判断させていただいています。
ですから薬剤師は、当然、患者様のお体の専門家であることも求められているのです。
患者様の年齢、性別、服薬歴、声や顔色、身体的な様子を総合判断して、服薬の指導をさせていただいているということです。
結論)日々、マイベストを生み出す
通常、薬剤師は1日のうちに、30人程度の患者様の個人情報に接する機会があります。処方箋からはかなりの量の個人情報が記されておりますから、薬剤師は、他の職種ではなかなか得られない経験を日々、積み重ねていると言って良いと思います。薬剤師が日々積み重ねる経験と知識を、目の前の患者様に全て生かしていくこと。そうしてこそ、マイベストな働きをしていくことが出来ると考えています。
在宅医療、ご両親様の今後のことなど、必要がありましたら私どもに一度、お問合せください。従業員共々、お待ちしております。