Calling-休日の薬剤師
こんにちは。富士・富士宮地区で在宅医療に関わっております。ふじやま薬局の栗原です。
今日は、私どもが栄養剤を取り扱っているということもあり、少し食べ物のお話をしたいと思います。
ほんとにそれを食べて大丈夫?
テレビをつけるとたくさんの健康番組を見かけます。またテレホンショッピングでも、日々異なった健康食品の情報に触れます。
でも、どんなに体に良いものも、その摂り過ぎは、返って健康を害します。
どんなにバナナの食物繊維が排便に有効であるとか、血糖値の上昇を抑えるといっても、バナナにはかなりの量のカリウムが含まれており、心疾患を抱えている人にとっては、甚大な健康被害をもたらすことがあります。
同様に、腎機能の低下している人にとっても、カリウムの多量摂取は命に関わる問題になることがあります。
つまり、その食べ物が基本的には良いものだとしても、ある人にとってはそうではないということも実際のところ多いのです。
食べ物の話も薬剤師に聞いてみよう!
そこで今日は皆様にここで提案したいのです。
この食べ物が自分にとって良いものなのかどうか、薬剤師に質問してみてください。
この手の質問の回答者として、薬剤師ほど相応しい職能はありません。
薬剤師は医療的・栄養学的観点からお答えします
薬剤師は、食べ物や健康食品の包装に記載されている成分がなんであるのか、またそれがその質問者の体にとって相応しいものなのかどうか、それを医療的観点と栄養学的観点の両方から答えることのできる、最も好ましい職能なのです。
なぜそういうことができるのでしょうか?
薬も食品もすべて化学物質?
お薬は化学的に合成されたものですが、実際のところ食べ物一般も、それがタンパク質であれ脂質であれ炭水化物であれ、それぞれに化学名を持っています。人工的に合成されたものなのか、自然由来のものなのかの違いがあるだけです。
薬剤師は、口に入る物の専門家でもあるのです
そして薬剤師は、単にお薬そのものを勉強しているだけでなく、それを人間の体に取り込んだらどのような働きをするのか?ということまで学習しているのです。
ですから薬剤師は、そのつもりがなくても、自然と、体に取り込まれる一切の食べ物についても、それが一人ひとりの患者にとって好ましいものなのかそうでないのかの判断基準を持っているのです。
お薬と食べ物の体内経路は同じ
実際のところお薬は、食事で得られる食べ物と同じように体の中に吸収され、各種栄養素と同じように、体の中を運搬され、しかるべきところで作用します。よって、お薬の勉強をすることは、食べ物がどのように体の中で役立つかを勉強することとかなり近接しているのです。
薬剤師は意外と身近な存在
そういう点では、現実のイメージと異なり、薬剤師はかなり、一人一人の生活の問題に近い場所に立っているとも言えるはずです。
例えばコカコーラも、私も大好きなドクターペッパーも、実は薬剤師が「調合」し、開発した飲み物です。
医食同源
漢方の世界でよく使われる言葉です。漢方薬は自然由来のお薬なので、漢方の世界では、食べ物との関連でお薬が捉えられる傾向が確かにあります。でも先ほど触れた通り、漢方薬の成分も、全て化学構造を持っています。その点で人工的に作られたお薬と同じなのです。
食べ物も、分解してみれば薬剤師の得意分野
もちろん薬剤師は、食材のこと、料理のこと、メニューや献立など、栄養士の方々が学ばれていることを、少なくとも専門的には勉強してはいません。でもその食事さえ、栄養素、またその分子レベルまでたどると、たちまち薬剤師の専門領域に入ってくるのです。
ですから、町の薬剤師とお話をする機会がありましたら、一度食事のこととか栄養のことを尋ねてほしいと心から思います。薬剤師は、そんな話がしたくてムズムズしているものなのです。
私たちの知識が皆様の健康生活に少しでも役に立つことを願ってこれを記しました。またお会いしたいです。今後ともよろしくお願いします。