冬の肌トラブル対策と漢方
目次
①秋・冬のアトピーの痒みの原因
暑かった夏が終わり、ほっとしたのもつかの間、アトピーの肌は敏感に乾燥を感じ始めます。
なぜ秋は乾燥を感じるのでしょうか? それは夏の間汗をかいて、肌はジトジト湿っているのですが、体内では汗をかいたことにより水分が不足してきているのです。また秋は木枯らしが吹き湿度が低く、「乾燥の季節」です。外からも水分は奪われます。
さらに夏の間冷たいものを多く摂った事で胃腸の働きは落ち、消化が十分にできていません。また、食べ物などもさっぱりしたものが多くて皮膚の脂分も減って皮膚を丈夫にする力が衰えてきている方が多いように思います。
このような理由で肌が乾燥してくると、痒みの神経が皮膚表面に伸びてきて、痒みを敏感に感じるようになるのです。
②秋の花粉症による痒み
春に花粉症が出る方は、秋にもブタクサやヨモギなどの花粉で鼻炎症状が出ることがあります。
鼻炎症状が出なくても花粉で痒くなることがあります。
皮膚が露出した部分だけ皮膚症状が出るときは花粉の影響を考えて、よく洗い落とし、顔の場合はリスブランのジネンミストを持ち歩いてミストをかけてから、ティッシュで軽く押さえて花粉を除くと楽になります。
③ダニの死骸やフンによるもの
夏場に繁殖したダニの死骸やフンなどのアレルゲンが引き金になってアトピーが悪化することもあります。ダニに噛まれると猛烈な痒みを引き起こします。
寝具にはダニ取り用の掃除機が便利です。ダニなどの死骸やほこりを吸い取り、使うとしばらくの間は被害にあうことが少なくなるようです。
④マスクのかぶれ対策
夏の間はかなりマスクのかぶれで赤くなっている方を見受けました。マスクも着用が自由になり、かぶれの方も少なくなったようです。
マスクの内側にガーゼを重ねても刺激は少なくなります。また漢方の軟膏や花しずく潤クリーム(※⑨参照)をマスクの当たる部分に塗っておくとだいぶ楽になります。
もちろんマスク不要の時はなるべく外しましょう。
⑤乾燥させ、かゆみを起こしやすい衣類に注意
寒くなると温かい肌着が着たくなりますね。
しかし要注意。
ヒートテックの衣類は水分を吸収して、繊維が発熱することで温かくなる仕組みです。
皮膚は乾燥しやすく、かゆみも起こしやすくなります。
⑥電気毛布より湯たんぽを
電気毛布や電気湯たんぽも乾燥させます。
湯たんぽはお湯を入れるものや、糠湯たんぽをおすすめします。糠と塩を入れて炒めて布袋に詰めます。使うときに2分電子レンジで温めるだけで自然な優しい暖かさになります。
作り方はITに載っています。
毛布も化繊よりも綿毛布が肌に優しいです。
⑦秋生まれ乳児、生後1年までに湿疹など発症しやすい傾向
NHK2023年3月全国ニュースより
秋に生まれた乳児はその他の季節に生まれた乳児と比較して、生後1年までの間に湿疹やアトピー性皮膚炎を発症しやすい傾向があることを、富山大学の研究グループが突き止め、スキンケアをして予防につなげるよう呼び掛けています。全国81615人の子供について分析したものです。
秋生まれの乳児のうち41.1%に発症が確認され、夏生まれの34.7%、冬生まれの30.6%、
春生まれの24.4%と比べて明らかな差がみられたとのことです。
⑧赤ちゃんの保湿はアレルギー予防に大事
赤ちゃんの肌は弱く、油分も少ないので乾燥しがちです。
またアレルギーの素は汗腺を通して皮膚から体内に入っていくことがわかりました。
アメリカでハイハイの赤ちゃんがピーナッツアレルギーを起こすことが多く、ピーナッツをまだ食べられない赤ちゃんが、と不思議がれ、原因を調べました。
アメリカではピーナッツの皮は床に落とす習慣があり、床に落としたピーナッツの皮が、体について成分が汗に溶けて、体内に吸収され、アレルギーを起こすことが分かったのです。
乾燥すると皮膚はきめが粗くなるので、保湿は大事です。
⑨赤ちゃんや肌の弱い方にお勧め化粧品
ウエマツ薬局オリジナルの「花しずく潤(ルン)化粧品」は赤ちゃんや肌の弱い方のために漢方薬剤師が開発したもので、多くの方に長く喜ばれています。
・花しずく潤(ルン)乳液・・・桃の葉・ドクダミを中心に配合されています。シアバターでべたつき感がなくしっとりと潤います。2200円
・花しずく潤(ルン)エッセンス・・・高保湿、高保潤美容液。しみによい和漢植物エキスがたっぷり配合 2200円
・花しずく潤(ルン)クリーム・・・保護クリーム。紫根、当帰を中心にリップクリームにもなります。2200円
⑩アトピーの乾燥による痒み対策
秋から冬にかけて肌の水分量が減ってくるとジクジクタイプの人は症状が落ち着いてくる方が多いようです。しかしカサカサして乾燥傾向の方、落屑の多い方は痒みがひどくなり、眠れないこともあり、辛い季節です。
鼻も口も眼も渇く人が多くなります。
皮膚だけでなく全身が関係する、ということは外からのステロイド軟膏、保湿と同時に体の中から潤すことが大事です。
食べるもの、漢方薬でも潤すものを選びましょう。
⑪乾燥する肌の状態
乾燥して痒い皮膚に対応するのには漢方薬は効果があります。
・皮膚が突っ張った感じがする
・皮膚が乾燥して落屑が多くなる。
・痒みが強くなり、赤くなる。
・入浴後や眠るときなど身体が温まると痒くなる。
・ごわごわして亀裂ができる。
以上のような症状が出てきたら、潤して痒みに効果のある生薬が配合された秋冬の漢方薬を提案します。
漢方煎じ薬は効き目が早いので変更した翌月には効き目を感じられるようです。
⑫保湿効果のある漢方生薬入り入浴剤
漢方生薬入りの入浴剤や軟膏、クリームは、使用感は入っていないものと同じで効き目はすぐには感じられませんが、使っているうちに実感してます。
ワレモコウ・クララ・チョウジ・サンショウ・カワラヨモギなどが配合され、肌に必要な潤いを補ってくれます。とても好評です。
⑬潤す食べ物
〇食べかたが大事
温かい食事をよく噛んでゆっくり食べることが基本です。
食べ物が消化して血になり、肝臓で作り直して皮膚を形成する蛋白質をつくり、皮膚となります。その時、蛋白質を作る手助けをするのがビタミンと微量ミネラル、則ち野菜と、牡蠣・貝類も一緒に摂ると丈夫で艶々した肌にしだいになっていくのがわかります。
〇食べ物
白きくらげ・豆乳などの大豆製品・杏仁豆腐・アボガド・玄米・卵・鶏の手羽先・オリーブオイル・トマト・リンゴ・胡麻など
※白きくらげのレシピは、拙著「どうせ食べるなら美のもと 薬膳スイーツ」にたくさん載っています。
「どうせ食べるなら美のもと 薬膳スイーツ」
⑭潤す漢方
当帰・ユリ根・サージ・竜のひげ・杏仁・胡麻仁・枸杞の実・亀のゼリーなど
枸杞の実をお茶に入れたクコ茶
⑮アトピーの乾燥肌:掻きむしって良くなった方の例
例:カサカサして痒みがひどく、掻きむしって手首の皮膚の色素が落ち(脱色素)、白くなって目立ち、ウエマツ薬局に来店された若い女性の例です。
年数がかかりましたが、根気よく通われて、最後には見事にきれいになり、うれしそうでした。私もうれしく思いました。
2009/9/11
2011/8/27
2018/12/15
2022/3/12
アトピーの方にはこの方のように掻きむしって血だらけになり、色素が落ちて白くなっている人が多く見受けられます。
アトピーを治して漢方薬で丈夫な皮膚にすれば、この方のようにきれいに白くなりますよ。