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夏のアトピー性皮膚炎や皮膚トラブルの原因と対策

植松光子

植松光子

始めに:
今年はことのほか暑いですね。
急激に暑さの程度がひどくなると、それに負けてしまって、皮膚のトラブルを起こします。夏は肌を出す場合も多く、荒れた肌を出すのは気になります。体の中からしっかりケアをしてつやつやした丈夫な肌を作りましょう。


1・夏に起こりやすいアトピー性皮膚炎や、皮膚トラブルの原因

あせもや皮膚の炎症、ジュクジュクした湿疹、水イボなど、このような症状は夏の暑さや汗で引き起こされます。
アトピー性皮膚炎も夏暑くなると、顔など上半身に赤い斑点が出る人がいます。また水泡や浸出液が出てくる人もいます。
これらの原因は過剰な「熱」と「湿」が肌トラブルを起こしているのです。

★よく使われる漢方薬
竜胆瀉肝湯・馬歯莧・ヨクイニン・野菊花・連翹など
スベリヒユ・・シップ
早めに抗生物質の軟膏を使った方がよい場合もあります。

2・暑さは夏の皮膚トラブルの主な原因

暑さ:高い気温で皮膚が熱を持ち、体に熱がこもり、かゆみが増し、炎症が起こりやすくなります。さらに黄色ブドウ球菌などの細菌も繁殖しやすくなります。肌免疫が低下し、感染症につながります。

掻き傷があるところに細菌が侵入して炎症が悪化すると「とびひ(伝染性膿痂疹)」と呼ばれる感染症が起きます。とくに免疫力の弱い、小さなお子さんに多く出ます。大人でもアトピー性皮膚炎のある人の肌は、ステロイド軟膏などで免疫力が落ちているので、感染しやすいのです。

3・夏になると赤い湿疹が出るのはなぜですか?

夏の暑さや紫外線は身体の中に入り込み、熱をこもらせます。喉が渇くことからもわかるように、汗のかき過ぎから体内の水分が減り、逆に乾燥状態になり、皮膚は炎症を起こし、赤くなります。とくに上半身、顔などが真っ赤になることがあります。
熱の停滞はアトピー性皮膚炎など皮膚疾患を起こします。
毎日の食事では涼性のものを多くとり、体内の余分な熱を冷ますよう心掛けましょう。
暑いとイライラしやすく、そうした精神不調も顔などが赤くなりやすいので、心をリラックスさせることも大事です。

★気になる症状
 皮膚の熱感・赤み・赤い湿疹・化膿・日焼けによる炎症・にきび
怒りっぽい・胸苦しい・尿の色が黄色い・便秘気味・舌が赤く舌苔が黄色い
★体内の熱をとる食べ物
 スイカ・キュウリ・ゴーヤ・ゴボウ・なす・豆腐・トマト・レタス・セロリ・キウイフルーツ・緑茶・タンポポ茶など

★よく使われる漢方薬・生薬
菊の花・スミレ・タンポポ・黄連・オウゴン・連翹など
加減五味消毒飲・清営顆粒・清上防風湯など

4・紫外線は夏の皮膚トラブルの主な原因


夏は肌の露出が多く、直接紫外線を浴びることが多く、日焼けによって炎症を起こしがちです。紫外線を浴びると体内で活性酸素がたくさん作られ、皮膚表面の油分が酸化され、皮膚のバリア機能を壊して炎症を悪化させます。またかゆみを引き起こすため、アトピー性皮膚炎が悪化することがあります。さらにそのあと黒く乾いてきて薄皮がむけてきます。秋になるとその皮膚は乾燥してアトピー性皮膚炎のある人はかゆみを増します。
困るのはシミ、皺の原因にもなることです。一度シミになると消すのは難しいです。
:汗は塩分を含んでいるため刺激でかゆくなり、赤くなります。汗が多く出ると、口も渇くことでもわかるように、体内の水分も減少し、肌も乾燥します。すると肌も外部刺激に弱くなり、衣類が触る所やマスクで肌荒れし、アトピーも悪化します。



★対策:紫外線予防対策には日焼け止めクリームは大事です。しかし塗り方によっては効果が出なく、日焼けすることになります。塗り方のコツは皮溝にまでクリームが入るように、丸く輪を描きながら丁寧に塗ることです。
また紫外線予防効果の強いものは肌に刺激を与えます。肌の弱い方、アレルギーのある方は実際に塗ってみてもらって、様子を見ることが大事です。
漢方ウエマツ薬局ではエステ室で、お客さまの肌質を見ながら、ていねいに試し塗をしていただいております。
担当は弱い肌専門に勤続60年のベテラン社員です。安心して相談できます。要予約。

5・紫外線でアトピーが悪化する時の漢方薬はありますか?

答え:あります。
籠った熱を除き、汗が出すぎないようにして、肌を潤す効果のある漢方薬やよい食事早い睡眠で効果がでます。
★よく使われる漢方生薬
石膏や黄連・黄芩・ハナスゲ、ニンジンなどのエキス剤や煎じ薬を用います。
煎じ薬のほうが効果はあります。

6・汗をかくとかゆくなるのは?

★汗でかゆくなる原因の一つはバリア機能の低下です。
肌が乾燥しているとバリア機能が低下し、汗の中のいろいろな成分に肌が刺激を受けてかゆくなります。成分は塩分やアンモニア、アミノ酸、脂肪酸などです。
肌のバリア機能が正常なら、汗をかいても肌がかゆくなることはありません。しかし乾燥肌は表面がめくれていて、中の細胞の配列も乱れて規則正しくないので、汗の成分が入っていきやすいのです。
 汗の水分が乾いても塩分やアンモニアなどは肌に付着したままなので、患部を洗うまで痒みが続きます。

★汗でかゆくなる原因はカビもあります。
アトピー患者の80%は汗に対するアレルギーがあり、肘・膝の裏・顔といった汗の溜まりやすい部位に湿疹が出やすいことがわかっていました。
中医学では昔アトピー性皮膚炎のことを四弯風(しわんふう)と呼んでいました。四つの湾曲している部位の痒み、という意味です。左右の肱、膝の裏側のことを指しています。
昔の人も気が付いていたのでしょう。


この汗によってかゆみなどのアレルギー反応を起こすのは、カビが出す蛋白質(MGL-1304)が汗に溶けて皮膚から体内に入り込むことが原因であることを広島大学大学院の秀道広教授らが突き止めています。(2013.6.10 Science Portalより)

★対策:バリア機能が低下する理由の一つは乾燥です。乾燥を防ぐためには保湿剤をまめに優しく塗りましょう。
また肘など洗いやすいところはできれば水道水で洗い流すとよいです。
洗い流す環境になければミストなど持ち歩いて掛けたらテイシュで軽く抑えるとよいです。
また、苦参や茶木の配合された入浴剤や、弱い殺菌効果のあるヒバオイルのエッセンスを風呂に入れたり、シャワーの時は最後に洗面器にその入浴剤を少し入れて体にかけるのもよいです。
★漢方生薬:苦参(くじん)煎じ薬でシップ
★おすすめ商品:リスブランジネンミスト・静(しずか)スプレー・ウエマツ薬局オリジナル、花しずく潤(ルン)乳液・瑞花露(すいかろ)入浴剤・瑞花露ローション・青森ヒバオイルなど。

7・夏になるとジクジクした湿疹が出てくるのはなぜでしょう?

高温多湿の夏は余分な湿気(湿邪と言います)が体内にも入ってきます。また冷たいものを多く摂りがちですので、消化力が落ち、胃がぽちゃぽちゃして、食欲が落ち、胃腸に水分が停滞します。こんな時舌を見ると、豆腐のようなベタッとした苔がついていることもあります。
体内の代謝の悪い水分は皮膚表面にでてきて、ジクジクしたかゆみとなります。

★対策:食べ過ぎ、飲み過ぎ、特に冷たいものの摂り過ぎは控えましょう。
汗をかいて「湿邪」を追い出すのはよいので、ぬるめの入浴でジワッと汗をかくのは疲労回復にもなります。
ただし皮膚炎がひどく沁みるときは無理をしないでシャワーで汗を流しましょう。
★症状:ジュクジュクした湿疹・水泡・あせも・皮膚のかゆみ・軟便・口の中がねばつく

★食養生余分な湿を取り除く食材を
ハトムギ・ドクダミ・冬瓜・キュウリ・スイカ・トウモロコシ・アズキ・緑豆・
春雨・もやし・ナス・緑茶など

8・夏になると肌荒れを起こします。なぜでしょう?

原因:夏暑さで汗をたくさんかくと、体内の水分と同時にエネルギーも消耗します。
暑さで睡眠も不足し、食欲も落ちるので、皮膚に行く栄養も減り、同時に免疫力も低下します。
皮膚表面の雑菌も増え、刺激で痒みのもとになり、掻きむしり、肌荒れの元となります。
また皮膚はウイルスから身を守る防御作用もあります。肌が荒れて免疫機能が弱いまま秋冬を迎えると、花粉症や風邪を引きやすくなります。

対策:「冬の病気は夏、治しなさい」と漢方ではいいます。
毎日の食事を丁寧に、暑いからと言っておざなりにしないよう、しっかり栄養を取り、不足しがちな「気」と「水」を補いましょう。潤いのある健やかな肌は皮膚疾患を予防する基本となるため、積極的に体の中からの栄養とスキンケアをしていきましょう。
特に牡蠣肉エキスは微量ミネラルである亜鉛・鉄・セレンなどを豊富に含み、皮膚に良い栄養剤です。

症状
肌に艶がない・乾燥肌・夏バテ気味・疲労感・空咳・息切れ・めまい・汗が多い・食欲不振
・夏痩せ・顔色が白い

★食養生
身体を潤し「気」を養う食材を
白きくらげ・大根・ほうれん草・蓮根・梨・蜂蜜・りんご・桃・イチジク・バナナ・枸杞の実・オリーブオイル・鶏の手羽先・牡蠣



★おすすめ漢方生薬・自然食品
麦味参顆粒・当帰・麦門湯・ゆり根・サージ果実オイル・牡蠣肉エキスなど

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植松光子
専門家

植松光子(薬剤師)

有限会社ウエマツ薬局(漢方薬膳サロン ウエマツ薬局)

症状や悩みに合わせた生薬を煮出す「煎じ薬」を取り扱う漢方専門薬局。「ほっとできるサロン」としてアトピーや不妊のほか心身の悩みに寄り添い、薬膳の知識や適切なスキンケアをアドバイス。

植松光子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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