中高年夫婦が直面しやすい「静かな夫婦危機」
夫婦問題のご相談を受けていると、よく耳にする言葉があります。
「もしかして、うちの夫は発達障害なのではないでしょうか」
「妻と何度話し合っても会話がかみ合いません。何か特性があるのでしょうか」
相手の言動がどうしても理解できない。何度説明しても同じことが繰り返される。こちらの気持ちを伝えているのに、まるで伝わっていないように感じる。
このような状況が長く続くと、「単なる性格の違いではないのかもしれない」と考える方は少なくありません。
実際に詳しくお話を伺うと、確かにASDやADHDなどの発達特性を思わせる行動が見られる場合もあります。
ただし、夫婦カウンセリングで大切なのは、相手に診断名をつけることではありません。
「発達障害だから仕方がない」と結論づけることでも、「あなたは発達障害だから病院へ行って」と相手を追い詰めることでもありません。
夫婦の間で何が起きているのかを具体的に整理し、お互いが暮らしやすくなる方法を見つけることが大切です。
性格の違いと発達特性は簡単に区別できない
まず知っていただきたいのは、「性格の違い」と「発達特性」を、夫婦だけで明確に区別することは難しいという点です。
例えば、次のような行動が見られることがあります。
* 相手の気持ちや場の空気を読み取ることが苦手
* 曖昧な表現や遠回しな言い方が伝わりにくい
* 忘れ物や予定の失念が多い
* 興味のあることに集中すると、周囲が見えなくなる
* 急な予定変更への対応が苦手
* 感情が高ぶると強い言葉が出る
* 家事や育児の優先順位をつけることが難しい
* 同じことを何度注意されても繰り返してしまう
こうした傾向は、発達特性による場合もありますが、性格、育った家庭環境、仕事の忙しさ、ストレス、夫婦関係の悪化などが影響していることもあります。
一つの行動だけを見て、「発達障害に違いない」と決めつけることはできません。
また、インターネット上のチェックリストに多く当てはまったとしても、それだけで診断できるものではありません。医学的な診断が必要な場合は、医療機関など適切な専門機関に相談する必要があります。
一方で、正式な診断がなければ夫婦関係を改善できないわけでもありません。
診断の有無にかかわらず、現実に二人の間で起きている困りごとを整理し、具体的な対応を考えることはできます。
夫婦関係に影響しやすいASD・ADHDの特性
発達障害には、主に次のような種類があります。
* ASD(自閉スペクトラム症)
* ADHD(注意欠如・多動症)
* LD・SLD(限局性学習症)
この中でも、夫婦関係のすれ違いとして表面化しやすいのが、ASDやADHDに関連する特性です。
ASDの傾向がある方は、相手の表情や言葉の裏にある気持ちを読み取ること、曖昧な依頼を理解すること、自分とは異なる立場を想像することなどが苦手な場合があります。
例えば妻が、「少しくらい家のことを手伝ってほしい」と伝えたとします。
妻としては、「食器を洗う」「洗濯物を取り込む」「子どもの宿題を見る」など、その場の状況を見て動いてほしいと考えているかもしれません。
しかし、曖昧な指示を理解することが苦手な夫には、「何を、いつ、どこまで行えばよいのか」が分からないことがあります。
その結果、夫は何もせず、妻は「私の大変さを分かろうともしない」と傷つきます。
一方、夫は「具体的に頼まれていないのに、なぜ怒られるのか分からない」と感じます。
ADHDの傾向がある方の場合は、忘れ物、先延ばし、片づけの苦手さ、衝動的な発言、注意の切り替えの難しさなどが、夫婦関係に影響することがあります。
約束を忘れる。頼まれた家事を途中で放置する。支払い期限を過ぎる。話し合いの途中で別のことに気を取られる。
こうした行動が繰り返されると、パートナーは「私や家族のことを大切にしていない」と感じるようになります。
しかし、本人には悪意がなく、「やろうとは思っていた」「忘れないようにしたかった」と困っているケースもあります。
このように、同じ出来事でも夫婦それぞれの受け止め方は大きく異なります。
診断名が分かっても夫婦問題は解決しません
「相手が発達障害かどうか、はっきりさせたい」と考えるのは自然なことです。
理由が分かれば、これまでの苦しさに説明がつくように感じるからです。
もちろん、本人が生活や仕事で強い困難を抱えている場合には、専門機関で相談することが役立つ場合があります。
ただし、診断名が分かっただけで、夫婦関係が急に良くなるわけではありません。
診断を受けても、家事の分担、金銭管理、子育て、会話の方法、感情的な衝突といった現実の問題は残ります。
むしろ、診断名だけを問題の中心に置いてしまうと、
「発達障害なのだから、あなたが変わるべき」
「特性なのだから、こちらがすべて我慢するしかない」
という一方的な関係になり、相手を傷つけていくこともあります。
もしそうなら、本人の努力不足や愛情不足だけで説明できない困難がある可能性も理解する必要があります。
特性の有無を責めずに、「二人が生活する上で、どのような工夫が必要なのか」を考えていきましょう。
まゆみ夫婦問題相談オフィスでは、まず二人の違いを整理します
医療的な診断は、医師などの専門家が行うものです。
その代わりに、まゆみ夫婦問題相談オフィスでは、夫婦それぞれの性格傾向、考え方、感情の動き、コミュニケーションの特徴を整理します。
その際に活用する方法の一つが、エゴグラムなどの心理検査です。
エゴグラムでは、人の心の働きや行動傾向を複数の視点から確認します。
例えば、
* 責任感が強く、相手にも厳しくなりやすい
* 相手を優先しすぎて、自分の希望を言えない
* 感情を表に出しやすい
* 冷静に考えることが得意
* 周囲に合わせるあまり、ストレスをためやすい
といった傾向を可視化します。
エゴグラムは発達障害を診断する検査ではありません。
しかし、夫婦それぞれが「自分は何を当然だと思っているのか」「相手とはどこが違うのか」を理解する手がかりになります。
夫婦の問題では、自分の考え方を基準に相手を見てしまうことが少なくありません。
「普通はこれくらい分かるはず」
「家族なら言わなくても気づくはず」
「一度注意されたら、次から直すのが当たり前」
こうした「自分にとっての普通」が、相手にとっても同じとは限りません。
検査結果や実際の出来事を一緒に整理することで、これまで「思いやりがない」「だらしない」「細かすぎる」と評価していた行動を、性格や認知の違いとして捉え直せることがあります。
「何がつらいのか」「どうしてほしいのか」を具体化する
夫婦関係が悪化しているとき、多くの会話が抽象的になっています。
言っている本人には明確な意味があっても、相手には何を求められているのか伝わっていないことがあります。
そこでカウンセリングでは、曖昧な不満を具体的な行動に置き換えていきます。
例えば、「家事を手伝ってほしい」ではなく、
「平日は夕食後の食器を洗ってほしい」
「洗濯物は午後7時までに取り込み、畳んでほしい」
「土曜日の午前中は子どもを公園に連れて行ってほしい」
という形にします。
「話を聞いてほしい」という希望も、
「途中で結論や解決策を言わず、まず10分間聞いてほしい」
「スマートフォンを見ずに話してほしい」
「最後に、私が何をつらいと感じたのか確認してほしい」
と具体化します。
反対に、相手側の困りごとも確認します。
「急に言われると対応できない」
「一度に複数のことを頼まれると忘れてしまう」
「感情的に責められると、話の内容が頭に入らない」
「何をすれば正解なのか分からない」
双方の困りごとを言葉にした上で、「どちらか一方が我慢する方法」ではなく、「二人が実行できる方法」を考えます。
夫婦で実行できる約束を作る
話し合いをしても、日常生活に戻ると元に戻ってしまう夫婦は少なくありません。
その理由の一つは、話し合いの結論が「これから気をつけます」「もっと協力します」といった曖昧な内容で終わっているからです。
まゆみ夫婦問題相談オフィスでは、必要に応じて、夫婦それぞれが実行する具体的な約束を整理します。
例えば、
* 大切な予定は共有カレンダーにその場で入力する
* 家事の担当を曜日ごとに決める
* 感情的になったら20分間話し合いを中断する
* 相手の話を否定する前に、内容を一度言い換えて確認する
* お金に関する一定額以上の支出は事前に相談する
* 週に一度、15分だけ夫婦で予定と困りごとを確認する
といった約束です。
重要なのは、一方だけに改善を求めないことです。
忘れやすい側には、メモやカレンダーを活用してもらう。
依頼する側には、曖昧な表現を避け、具体的に伝えてもらう。
感情的になりやすい側には、言葉を強くしない工夫をしてもらう。
話し合いを避ける側には、決められた時間だけは向き合ってもらう。
このように、お互いが少しずつ行動を変えることで、現実的な歩み寄りが可能になります。
カウンセリング後はLINEで行動をサポートします
カウンセリングの場では理解できても、日常生活の中で実践することは簡単ではありません。
実際の夫婦生活では、予定外の出来事が起きたり、感情が高ぶったり、過去と同じ言い方に戻ってしまったりします。
そこで、まゆみ夫婦問題相談オフィスでは、対象となるプログラムにおいてLINEでのサポートも行っています。
例えば、
「昨日決めたことを夫がまた守りませんでした」
「妻にどう伝えれば、責めているように聞こえないでしょうか」
といった日常の出来事について、状況を整理しながら対応方法を考えます。
LINEサポートでは、カウンセリングで決めた目標に沿って行動できるようコーチングします。
感情のままメッセージを送ろうとしているときには、一度立ち止まり、相手に伝わりやすい文章へ整えることもあります。
夫婦関係の改善には、理解だけでなく、行動を繰り返し修正する過程が必要です。
カウンセリングと日常の間をLINEでつなぐことで、相談しただけで終わらず、実際の生活の中で変化を定着させていきます。
一人で抱え込まず、夫婦に合った方法を探してください
発達特性が関係している可能性のある夫婦問題は、身近な人に相談しても理解されにくいことがあります。
「そんなことで怒らなくてもいいのでは」そのように言われ、さらに孤独を深めてしまう方もいます。
しかし、同じ問題が繰り返され、心身の負担が大きくなっているのであれば、我慢だけで解決しようとする必要はありません。
まゆみ夫婦問題相談オフィスでは、診断名だけで相手を判断するのではなく、夫婦それぞれの性格傾向、考え方、伝え方、生活上の困りごとを整理します。
その上で、
* お互いの違いを理解する
* 本当に困っていることを具体化する
* 相手にどうしてほしいかを明確にする
* 夫婦それぞれが守る約束を決める
* 日常生活の中で実践する
* うまくいかない部分を修正する
という流れで、関係改善を支援します。
診断名ではなく、二人の暮らし方を整える
パートナーが発達障害かもしれないと感じたときは、次の点を大切にしてください。
* 性格と発達特性を自己判断だけで決めつけない
* 診断の有無だけを夫婦問題の答えにしない
* 相手の特性と、自分が受けている苦痛を分けて考える
* 抽象的な不満を具体的な行動に置き換える
* 一方だけではなく、双方が実行する約束を作る
* 一度で解決しようとせず、行動を繰り返し調整する
夫婦関係を改善するために必要なのは、どちらが正しいかを決めることではありません。
お互いの違いを明らかにし、「何に困っているのか」「どうしてほしいのか」「自分は何を変えられるのか」を整理することです。
あなたが感じている戸惑いや孤独は、決して小さな問題ではありません。
一人で抱え込まず、二人に合ったコミュニケーションの方法や生活の仕組みを、一つずつ見つけていきましょう。
※まゆみ夫婦問題相談オフィスでは、発達障害の医学的診断は行っておりません。診断や治療が必要な場合には、医療機関など適切な専門機関への相談をご検討ください。夫婦カウンセリングでは、診断の有無にかかわらず、夫婦間で起きている問題を整理し、関係改善に向けた具体的な方法をご提案します。
まゆみ夫婦問題相談オフィスでは、埼玉・川口を拠点に全国からオンライン相談も承っております。
遠方の方や外出が難しい方でも安心してご利用いただけます。
ご予約・お問い合わせは、まゆみ夫婦問題相談オフィスからお気軽にどうぞ。


