マイペースな夫とどう向き合う?カウンセラーが語る心理と対処法
中高年・熟年夫婦からのご相談も私の相談室では非常に増えています。
子育てがひと段落し、仕事や家庭の役割も一巡した頃──
ふと立ち止まったときに、これまで見ないようにしてきた夫婦の距離感に気づいてしまう、そんなタイミングです。
婚姻生活が長くなるほど、相手の性格や行動パターンはよく分かってきます。
その結果、
「妻はこういう人間だから、もう変わらない」
「夫は昔からこうだし、今さら言っても無駄」
といった諦めにも似た理解が生まれやすくなります。
一見すると冷静で大人の対応のようですが、実はこの思考こそが、夫婦関係を少しずつすり減らしていく原因になることが少なくありません。
さらに、子ども中心だった生活が終わることで、
特に妻の意識は自然と「夫婦関係」へと向かっていきます。
そこで初めて、
今の夫婦関係は、自分が望んでいたものだろうか
これから先も、この距離感のままでいいのだろうか
という疑問が、心の奥に静かに芽生え始めるのです。
夫婦問題は「気持ちのズレ」から始まる
中高年夫婦の問題の多くは、大きな事件がきっかけではありません。
浮気や暴力など明確な原因がないにもかかわらず、
「なぜか苦しい」「満たされない」という感情が積み重なっていくのです。
例えば、こんなすれ違いは非常によく見られます。
妻は、何年経っても
「一緒に出かけたい」「大切にされていると感じたい」「夫婦として仲良く過ごしたい」
と心のどこかで願っています。
一方で夫は、
「お互い干渉しすぎず、自分の時間を大切にしたい」
「妻も自由に過ごしてくれたらそれでいい」
と考えている場合があります。
どちらが正しい・間違っているという話ではありません。
問題なのは、その違いに気づかないまま時間が過ぎてしまうことです。
妻は「大事にされていない」「関心を持ってもらえない」と感じ、
その思いが積み重なると、やがて
「こんなはずじゃなかった」
「この結婚生活に意味はあるのだろうか」
「いっそ離婚したほうが楽なのでは」
と、極端な結論に心が引っ張られてしまうこともあります。
本当は仲良くしたい、分かり合いたいと思っているのに、
気づけば「離婚」という真逆の方向へ考えが進んでしまう──
これは中高年夫婦にとても多い、心の迷路なのです。
発想の転換が、夫婦関係を救うことがある
こうした状態に陥りそうなとき、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
「本当に、夫は私を愛していないのだろうか?」
日本人男性、特に中高年世代の多くは、
愛情を言葉や態度で表現することが非常に苦手です。
心の中では大切に思っていても、それが相手に伝わっていないケースは珍しくありません。
もしかするとそれは、
「愛されていない」のではなく、
「自分が期待している形とは違う形で、愛情を示している」
だけなのかもしれません。
また、夫側から見て
「妻があれこれ口を出してきて息苦しい」
「干渉されているようで耐えられない」
と感じる場面もあるでしょう。
しかし見方を変えれば、それは
「気にかけている」「心配している」「関心がある」
というサインとも受け取れます。
このように、
ネガティブな解釈を少しだけポジティブな方向へ置き換えることで、
「深刻な問題だ」と思っていたことが、
実は捉え方次第で軽くなることも多いのです。
「こうあるべき夫婦像」が関係を苦しめることもある
多くの方が、心の中に理想の夫婦像を持っています。
それ自体は決して悪いことではありません。
しかし、
夫婦とはこうあるべき
長年一緒にいるのだから、分かって当然
と、その理想を無意識に相手へ押し付けてしまうと、
相手を「理解する」よりも「評価する」関係になってしまいます。
長年連れ添ってきた夫婦だからこそ、
思考や価値観が固定化しやすく、柔軟さを失いがちです。
だからこそ今、必要なのは
相手を変えようとすることではなく、自分の見方を少し変えること。
発想を転換し、パートナーを新しい視点で見直したとき、
「問題だと思っていたこと自体が、実は問題ではなかった」
と気づく瞬間が訪れることもあります。
今あらためて向き合ってみましょう
長年連れ添ってきた夫婦には、
言葉にしなくても分かり合える部分と、
言葉にしないからこそ、すれ違ってしまう部分の両方があります。
これから先の人生を、
「仕方なく一緒にいる関係」にするのか、
「お互いを尊重しながら穏やかに歩む関係」にするのか。
その分かれ道に立つのが、まさに中高年という時期です。
一度、立ち止まって見つめ直すことは、
決して遅すぎることではありません。
長年連れ添ってきた今だからこそ、
もう一度、夫婦の在り方を考えてみませんか。
発想を変えることで、関係はまだ、十分に育て直すことができます。
もしひとりで抱え込んで迷ったり不安に思うことがあるのでしたら、専門家の力も借りてみてください。
まゆみ夫婦問題相談オフィスでは、埼玉・川口を拠点に全国からオンライン相談も承っております。
遠方の方や外出が難しい方でも安心してご利用いただけます。
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