喪失からの深い悲しみを乗り越えるために ②

大塚麻由実

大塚麻由実

テーマ:メンタル

グリーフ(悲嘆)に寄り添うということ ― 誤解と真実 ―


こんにちは。夫婦問題カウンセラーの大塚です。
前回に引き続き、私が新たに取得した「グリーフ専門士」としての学びを、少しずつ皆さまにお伝えしていきたいと思います。
今回は、グリーフ(悲嘆)にまつわる “よくある誤解” と “本当の意味での癒やし” についてお話しします。



グリーフとは何か

「グリーフ(Grief)」とは、喪失体験によって生まれる深い悲しみのことを指します。
死別だけでなく、離婚、病気、退職、人間関係の変化なども喪失体験に含まれます。
人は生きている限り、さまざまな形の喪失と向き合うものです。
その中で心がどのように動き、どう癒えていくのか——そこに寄り添うことが、グリーフケアの目的です。

グリーフに対する4つの誤解


誤解① 「哀しみは見ないようにすれば早く癒える」
→ 真実「感情を見つめることこそが癒しになる」

人が悲しみに沈んでいる姿を見ると、周囲は「早く元気になってほしい」と願うあまり、
「大丈夫ですよ」「いつまでもそんな状態じゃだめですよ」などと声をかけてしまうことがあります。
しかしそれは、当人の悲しみを否定することにもなりかねません。
哀しみを無理に押し込めるのではなく、「今、あなたは悲しいんですね」と、その気持ちを見つめることが癒しの第一歩です。

誤解② 「悲しみの中では、強くいなければならない」
→ 真実「弱さを見せることが回復につながる」

「こんな時こそ私がしっかりしなければ」と思う方は少なくありません。
けれども、その“強さ”はしばしば心の奥にある本当の感情を閉じ込めてしまいます。
人は弱さを見せることで、ようやく他者とのつながりを取り戻すことがあります。
「泣いてもいい」「頼ってもいい」——そう感じられる時間こそが、回復の始まりなのです。
泣くことも、誰かに頼ることも、決して弱さではありません。
人は「弱さを見せられる関係」の中でこそ、本当の強さを取り戻していくのです。

誤解③ 「涙が出ない=悲しんでいない」
→ 真実「涙がなくても悲しみは存在する」

涙が出ないことを「冷たい人間だから」と責める方がいます。
しかし、涙は悲しみの唯一の表現方法ではありません。
人は心を守るために、一時的に感情を閉ざすこともあります。
泣かない人も、静かに心の奥で深く悲しんでいるのです。
涙があってもなくても、その人なりの“悲嘆のかたち”があることを理解することが大切です。

誤解④ 「悲しみは時間が経てば自然に癒える」
→ 真実「グリーフに期限はない」

「もう何年も経つのに、まだ苦しい」という声をよく聞きます。
時間は確かに悲しみをやわらげてくれますが、完全に消し去るものではありません。
悲嘆の癒しには“正解の期間”も“終わりの形”もありません。
それぞれの人が自分のペースで心を整えていけばよいのです。
そして、どれだけ時間がかかっても、それは「いけないこと」ではありません。
悲しみと共に生きる力を取り戻すこと——それがグリーフケアの本質です。

最後に

グリーフを抱える人に必要なのは、「早く立ち直ること」ではなく、「ありのままの自分を認めてもらうこと」です。
泣いてもいい、黙っていてもいい、怒ってもいい——どんな感情も人間らしい自然な反応です。
その人がその人のままでいられるように、そっと寄り添う。
それが、私が目指すカウンセリングのあり方です。

私自身も引き続き、グリーフをはじめとする「こころの喪失」に寄り添いながら、
相談者の方々が自分らしく生きていけるようサポートしていきたいと思います。

グリーフの詳細についてはこちらグリーフ専門士協会

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