喪失からの深い悲しみを乗り越えるために ①

大塚麻由実

大塚麻由実

テーマ:メンタル

今日は、少しいつもと角度を変えたお話をしたいと思います。
普段は夫婦カウンセリングを中心にお話ししていますが、今回は「お一人で抱え込みやすい喪失感」について触れてみたいと思います。

実は私、一般社団法人日本グリーフ専門士協会より「グリーフ専門士advance」という資格を取得しています。
この資格を通して学んだ「悲しみ(グリーフ)との向き合い方」は、夫婦関係だけでなく、人が生きていくうえで誰もが関わる大切なテーマだと感じています。



グリーフとは

「グリーフ(Grief)」とは、大切な人との死別や離婚、病気、退職など、人生の中で避けられない喪失体験によって生まれる深い悲嘆や感情の揺れを指します。
人は誰しも、形の違う喪失を経験しながら生きています。
そのときに感じる悲しみや戸惑いは、とても自然な心の反応です。

資格取得のきっかけ

私がこの資格を取得しようと思ったきっかけは、あるご夫婦のご相談でした。
お二人の間で、グリーフ(悲嘆)の受け止め方の違いが原因となり、関係に深い溝が生まれてしまっていたのです。
その経験から、「人が悲しみをどう受け止めるか」によって、その後の心のあり方や人間関係が大きく変わることを痛感しました。

「もっと深く寄り添える相談者になりたい」――
その想いから、グリーフについて専門的に学び始めました。

喪失感と向き合うことの難しさ

喪失体験をしたとき、人はそれぞれ違う反応を示します。
喪失感が比較的軽ければ、時間とともに自分の力で受け入れ、前へ進むこともできます。
しかし喪失感が深い場合は、自分を責め続けたり、悲しみを抱えたまま日常を過ごしてしまうことも少なくありません。

そして、その喪失感は実は自分自身の思考や行動のパターンから生まれていることもあります。
自分の内側にある「気づいていなかった想い」に目を向けることで、心が少しずつ解放されていくのです。
そのお手伝いをするのが、私の役割でもあります。

グリーフに関する誤解

グリーフを抱えている方に対し、
「もう前を向かなきゃ」
「時間が経てばきっと大丈夫」
「泣いても仕方ないよ」
といった言葉をかけてしまうことがあります。

それは励ましのつもりでも、時に相手の悲しみに蓋をしてしまう結果になることがあります。
悲しみは「我慢すれば消える」ものではなく、感じて、受け入れて、少しずつ癒されていくものです。

また、涙を流さないからといって悲しんでいないわけではありません。
人によって表現の仕方が違うだけで、どの反応も自然で尊い心の動きなのです。

グリーフケアの大切さ

グリーフケア(またはグリーフサポート)とは、悲嘆の中にいる方が、その人らしい形で心の回復に向かえるように支えることをいいます。
悲しみを「消す」ことではなく、悲しみとともに生きる力を取り戻していく――その過程を共に歩むのがグリーフケアです。

誰かを失った悲しみは、時間だけでは癒えないこともあります。
しかし、理解者や支援者の存在によって、人は確かに少しずつ前を向くことができます。

グリーフの学びを通じて感じるのは、
「人は、悲しみを抱えながらも、誰かに支えられることで立ち上がる力を持っている」ということです。

私自身も引き続き、グリーフをはじめとする「こころの喪失」に寄り添いながら、
相談者の方々が自分らしく生きていけるようサポートしていきたいと思います。

次回は具体的なアプローチについて書かせていただきますね。

グリーフの詳細についてはこちらグリーフ専門士協会

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大塚麻由実(カウンセラー)

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