喪失からの深い悲しみを乗り越えるために ②
価値観の違いと向き合うためにできること
「性格の不一致」という言葉は、離婚理由としてよく耳にします。
実際に、現在日本における離婚原因の第一位にもなっており、多くの夫婦がこの問題で悩みを抱えています。
でも、「性格の不一致」とは一体何なのでしょうか?そして、それは本当に離婚という結論に至るほどの大きな問題なのでしょうか?
この記事では、性格の違いが生まれる理由や、その違いをどう乗り越えるか、そして離婚を選ぶべきか否かについて考えていきます。
性格の不一致とは「価値観の違い」
性格の不一致とは、端的に言えば「考え方」や「感じ方」の違いです。
私たちは皆、異なる両親のもとに生まれ、異なる環境で育ちます。
都市で育った人と田舎で育った人、兄弟のいる家庭と一人っ子として育った家庭では、日常生活の中での判断基準や感じ方も大きく異なります。
アメリカの精神医学者クロニンジャーによれば、人の「人格(パーソナリティ)」は「気質」と「性格」の2要素から成り立っているとされます。
「気質」は主に遺伝の影響を受けやすく
「性格」は環境や経験からの影響を受けやすい
つまり、夫婦はそれぞれ違う「性格」を持っていて当然なのです。最初はお互いの違いに魅力を感じて惹かれ合ったとしても、結婚生活が続く中でその違いがストレスになることもあります。
性格が違うからこそ、関係を深めるチャンスでもある
「性格が合わないから離婚するしかない」と結論を急ぎたくなる気持ちも理解できます。しかし、少し立ち止まって考えてみてください。
違いを感じたときに、「どうしてこんなことも分かってくれないの?」と思うか、「自分とは違う考え方なんだな」と受け止められるかで、その後の関係性は大きく変わります。
自分の価値観が絶対的なものではないと気づくこと、そして「相手も自分とは違う人生を歩んできたのだ」と理解しようとする姿勢が、夫婦関係を前向きな方向へと導く第一歩になるのです。
離婚は逃げではなく、次の人生の選択肢の一つ
とはいえ、どれだけ努力しても相手との「性格の不一致」が埋められず、毎日のようにストレスを感じているのであれば、それは自分自身を傷つけることにもつながります。
「離婚」という選択は決して逃げではなく、「自分らしく生きるための新しいスタート」と捉えることもできます。特に、心のバランスを崩してしまいそうなほどに追い詰められているならば、一度、専門家や第三者に相談することも大切です。
性格の違いを受け入れることは、相手を大切にすること
人は皆、自分の経験や知識に基づいて物事を判断しています。そして、自分の枠にはまらない価値観や行動を目にしたとき、違和感や戸惑いを感じるものです。
でもその違いを「新しい視点」として受け入れることができれば、夫婦としての絆は深まる可能性もあります。
もちろん、すべてを受け入れる必要はありません。大切なのは、違いに直面したときに「嫌だ」と思ってしまうのではなく、「なるほど、そういう考え方もあるのか」と一度深呼吸してみること。
その小さな積み重ねが、夫婦としての信頼や安心感につながっていくのです。
性格の不一致を受け入れるか、離婚という選択をするか
「性格の不一致」という言葉は、決して珍しいものではなく、むしろ、夫婦が他人である以上、性格がすべて一致することのほうが稀でしょう。
重要なのは、その不一致を「受け入れる」か「受け入れられないか」を見極めることです。
新しいものに出会った時、それらをとても新鮮だと感じて好奇心をかき立てられれば
受け入れることも比較的容易になるのですが、いつもそうとは限りません。
また、最初はそうであっても徐々に疲れてくることだってあり得ます。
夫婦の関係も同じこと。
最初は、自分にないものを持っているパートナーに魅力を感じたとしても、
時には自分が受け入れ難い一面に出会うこともあるでしょう。
そうなった時、嫌な部分ばかりに支配されているとやがて夫婦に亀裂が生じます。
しかし、パートナーにとっての自分も同様で、
相手が自分の性格に疲れていることもあるのです。
夫婦に限らず、人間は互いの関係の中で
それぞれの性格の違いを受け入れられなくて悩むものなのです。
まずは受けれてみる、そして、どうしても難しいと感じたときには、離婚という選択肢を否定せず、自分自身の幸せを第一に考えてください。
あなたの人生は、あなた自身のものなのですから。



