素材や技法、断熱にこだわり、健康で長持ちする住まいを提案（2/3）

宮大工が丸太から削り出した無垢の木と伝統技法が生きる家づくり

　笠巻さんがこの道を志したのは、工務店を立ち上げた父・美千夫さんの存在が大きいとか。「幼い頃から親の背中を見て育ち、早い段階で自分の将来を決めていたので、高校と大学では建築を学びました」と振り返ります。

　卒業後は、住宅に関する幅広い知識と実務力を身に付けるため、建築関連の企業に4社勤めました。2019年に家業に入り代表取締役社長に就任してからは、これまでの経験を生かし、営業から打ち合わせ、工事監理まで一貫して担います。

　「50年以上の歴史をもつ当店は、創業時から『無垢の木を使った家づくり』というコンセプトを掲げています。現場に立つのは寺社仏閣の修繕にも携わる3人の宮大工で、木材の扱いにたけているだけでなく、建物の寿命を延ばすためのノウハウや材料選びの目利きがあります。現在は、機械で加工された建材を組み立てるところも多いようですが、用いる素材にこだわり、丸太から削り出して作れるのは宮大工がいるからこその強みです」

　職人が木肌を読み取りながら手で細やかに調整し、製材していく技術は、リフォームなどで既存の柱や梁を活用する場面でも、かなり役立つと笠巻さんは言います。

　「日本には『組木』といって、切り込みを入れた木と木をはめ込んで家を建てる伝統技方があります。整然と組まれた様子は美しく、古い部材に新しい木材を合わせても自然になじんでいきます。仕上がりがきれいな上、しっかりとつなぎ合わせるので高い強度を保つことができます」

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