労働安全衛生法 表示・通知追加予定物質について
化学品の安全情報伝達に欠かせないSDS(MSDS)ですが、残念ならが世界共通になっていないのが実情です。有害性評価はGHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)によりかなり標準化されてきましたが、GHSすら各国による違いが生じています。
SDSの基準に関するご質問も多いので、少し説明します。
SDSの基準って?
SDSは正しく情報伝達するために基準が設けられています。各国で工業会基準として定めているケースが多いですね。
日本では「JIS Z7253」、中国では「GB/T 16483-2008」、EUでは「CLP」などです。GHSの基準と混同してしまうことがあるので、気を付けましょう。
日本のJISは2019年5月25日付で改正されました。最新は「JIS Z7253-2019」となります。猶予期間は2022年5月24日までです。
また、トルコのように有資格者が作成することを義務付けている国がありますので注意しましょう。
海外向けSDSは英語であれば大丈夫?
海外向けのSDS作成においてよくある質問を挙げてみましょう。
Q.海外向けのSDSは日本語で作ったものの英訳版で良いですか?
A.かなり以前は英語版があればそれで運用できた時代もありましたが、今は各国の基準に合った、各国言語でのSDS提供が求められます。
Q.ずいぶん前に作成したSDSを持っているのですが、これは使えますか?
A.保護具や漏出時の措置などは変更は少ないかもしれません。しかし、危険有害性評価がGHSになっている場合は、判断基準や使用データが違いますので、再評価しなければなりません。また法規制情報は日々更新されますので、古い情報を使うのは大きなリスクです。また、法律で更新が定められている国もあるので注意しましょう。
Q. 海外に出荷する際に出荷する側(日本側)でその国の制度に準じたSDSを作成しなけらばならないのでしょうか?
A. 各国制度や規制に準じたSDSは当該国の受け取り側(輸入者)の責任で用意しなければなりません。各国の規制はその国内において適用されるものがほとんどですので、輸入者が該当者となります。しかし、輸入者がSDSを作成するには製品の詳細情報が必要です。これには含有成分情報や含有率といった機密情報が含まれます。このような機密情報の漏洩を防ぐ目的で日本の事業者の多くが輸出国に適用したSDSの作成を実施しております。