PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

化学物質管理の専門家として、ものづくり企業を支える

グローバルな化学物質管理に対応するコンサルタント

田島靖之

田島靖之 たじまやすゆき
田島靖之 たじまやすゆき

#chapter1

化学物質管理システム導入について中立の立場からアドバイス

 化学物質と聞いてイメージするのはどんなものですか? 「化学物質は、衣服、パソコンの部品など、身の回りのあらゆるものに使われており、豊かな生活に欠かせないものです」と話すのは、「シーエージャパン」代表の田島靖之さん。

 同社は、化学物質を扱う企業に対し、法律に基づき安全に管理するための支援を行っています。企業は、製品に含まれる化学物質の成分や危険有害性などを記したSDS(安全管理シート)を作成し、取引先に提供することが義務付けられています。基礎原料を製造する化学メーカーをはじめ、化学製品を加工して用いる部品メーカー、化粧品などの日用品メーカー、輸出入を行う商社など、多種多様な業種に関係します。

 「例えば、化粧品の1つの香料に対して、化学物質が100種以上使われることは珍しくありません。また、化学物質管理に関わる法律は、国内の主要なもので30以上あります。海外に輸出する場合は、各国の法律にも対処しなければいけません。法の改正頻度も高く、常にアップデートが必要です」。複雑な業務のため、自社製品に含まれる化学物質をデータベース化し、該当する法規制を検索できる「化学物質管理システム」などを活用する企業が多いと言います。

 田島さんは、システム導入にあたり「何から調べていいのかわからない」「自社に最適なツールを知りたい」などの相談に応じています。「当社はシステムを販売していないため、中立の立場で各社のシステムを調査し、コストなど判断材料となる情報を提供できます。お客さまの困りごとに合わせた解決策を提案しています」

#chapter2

人とのつながりから広がる海外ネットワークで、世界各国の法規制に対応

 田島さんは、十余年にわたり、営業やコーディネーターとして化学物質管理に携わっています。異業種での営業経験を買われ、紹介された転職先が、たまたま化学物質管理を専門とする会社でした。「当初はまったく未知の世界で、関係する法律も毒劇法(毒物及び劇物取締法)など特殊なものばかり。化学物質の知識もなく、必死に学びました」

 営業管理職を経て役員になると、顧客の声に直接応えられない環境にジレンマを抱えるように。「ちょうど会社の体制が変わり、既存のサービスがストップされると知りました。お客さまが続けて利用できる方法を模索する中で、独立に至りました」

 会社設立後は、人とのつながりで自然と事業が広がったと言います。海外のパートナー企業6社との連携も、前職からの人間関係や紹介から実現。万が一事故が起きたときに24時間体制の「緊急電話サービス」を展開するCHEMTREC(ケムトレック)や、世界有数の化学物質規制に関するデータベース「LOLI in the cloud」を提供するUL社、EUの毒物センターへの申請などを行う「H2 Compliance」など、充実のバックアップ体制を誇ります。

 「自社製品の輸出を考えても、各国の法律や言語に合わせたSDSの提出や、現地機関への申請などのハードルがあり、あきらめてしまう企業も多いです。当社では、海外の企業と協力しながら、各国の言語でのSDS作成代行や、現地での手続きや事故の対処などが可能です」

田島靖之 たじまやすゆき

#chapter3

化学物質に関する〝よろず相談〟など、個別のニーズに合わせたサービス

 田島さんの信条は、「お客さまを待たせないこと。問い合わせには、すぐにレスポンスを返し、要望には100%の力で応えます。何がお客さまにとって便利かを常に考えます」

 顧客の声から始めたサービスの一つが、顧問契約です。「システム導入に関する調査が終わった後に、『今後も何か困ったときに相談に乗ってほしい』と言われ、〝よろず相談〟として利用いただいています」。調査時に預かった製品情報をもとに、海外にそのまま出荷できるかどうかの判定や輸出の手続きなど、個別の相談に対してアドバイス。小回りの利いたサービスが評判を呼び、現在10社以上と契約を結んでいます。顧客からは、「化学物質管理の基本から教えてもらえてありがたい」「海外のネットワークがあるので、現地機関に問い合わせるよりもすばやく適切な情報が得られて助かった」などの声が寄せられています。

 「今後は、当社の強みである海外のパートナー企業を増やし、現地でのサポートをさらに充実させたいですね。また、食品関連など、化学物質以外の法規制が関わる業種にも広げられるよう、異なる分野の専門家との連携も考えています」と、意気込みを語ります。

 「一つの化学製品を生み出し、安全に使ってもらうまでには、担当者それぞれの大変な苦労があります。特に日本製品は、企業規模に関わらず、世界から高いレベルの品質管理が期待されています」と田島さん。化学物質に関する国内外の法令を順守し、企業の適切な管理を支えることは、日本の化学産業の発展にもつながっています。

(取材年月:2021年5月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

田島靖之

グローバルな化学物質管理に対応するコンサルタント

田島靖之プロ

化学物質管理コンサルタント

シーエージャパン合同会社

化学物質管理を専門に、20 年の実績を誇ります。システム導入の悩みに、中立の立場で最適なツールを提案。海外企業と連携し、各国の法規制や言語に合わせたSDSの作成代行や現地での申請手続きなどを行います。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ埼玉に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または朝日新聞が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO