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役員報酬の増額と減額について

加茂川健司

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テーマ:税金、節税

Q 3月決算の当社では、5月末に定時株主総会を開き、6月から翌年5月までの役員報酬を決議しています。本年は月額50万円から月額60万円に増額されていましたが、その後、さらに業績が上がったことから、12月に臨時株主総会を開き、役員報酬を更に増額して、月額80万円としました。これにより、今年度の役員報酬は4月から5月は月額50万円、6月から12月は月額60万円、1月から3月は月額80万円となります。今年度の役員報酬を全額、損金に算入することはできるのでしょうか。

A 1月から3月の増額分、各20万円×3ヶ月分の60万円が損金に算入できませんが、残額については、定期同額給与として、損金に算入することができます。

損金に算入することができる役員報酬の種類は「定期同額給与」「事前確定届出給与」「利益連動給与」の3つの形態に分類されます。いずれについても役員の職務執行期間(設問の会社の例でいえば6月~翌年5月、会計期間ではなく、株主から役員が経営を任される期間ということです。)の開始前に職務に対する給与の支給額と支給時期が「事前」に定められていることが必要になります。以下に、今回の設問である定期同額給与とその増額または減額改定について解説します。

定期同額給与とは、①支給時期が1ヶ月以下の一定の期間ごとであり、かつ各支給時期における支給額が同額であるもの(月額50万円あるいは、週額20万円といった具合です)をいい、役員報酬の改定が認められるのは次の場合になります。

①その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3カ月を経過する日(設問の例でいえば、7月末)までにされた改定
②役員報酬の改定が継続して毎年3ヶ月経過日より後の所定の時期に改定されることについて特別の事情が認められる場合の改定
③「臨時改定事由」(その事業年度において、役員の職務上の地位の変更、例えば取締役→代表取締役など、その役員の職務の内容に重大な変更またはこれらに類するやむを得ない事情)によりなされた改定
④「業績悪化改定事由」(その事業年度において法人の経営の状況が著しく悪化したことまたはこれに類する理由)によりなされた減額改定

※経営状況の著しい悪化とは、役員報酬をやむを得ず減額せざるを得ない状況を指します。一時的な資金繰りの悪化や業績目標の未達などはこの理由には該当しません。

設問のケースでは50万円から60万円の1回目の改定は①の改定に該当しますが、60万円から80万円の2回目の改定は①~④のいずれにも該当しませんので、税務上は役員賞与として取り扱われ、損金に算入することはできません。

法人税と個人所得税の税率の違いに着目し、最も税率の低いゾーンを狙う役員報酬の設定は節税の王道とも言えるものです。ただし、役員報酬の改定は事前に定めた改定以外はよほどの理由がない限り認められませんので、節税のポイントはいかに上手に業績を予測することと、役員報酬以外の節税プランをもっておくかということになるのではないでしょうか。当事務所では経営計画による業績予測と税額シュミレーションを利用し、納得のいく役員報酬額の改定を提案させていただいています。

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加茂川健司
専門家

加茂川健司(税理士)

かもがわ税理士事務所プラス

昨今は脳科学・心理学の発達により、マーケティングや人事など経営の様々な場面でこれらが活かされています。私たちは税務会計のみならず、これらの知識を生かして、お客様の相談にお応えします。

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