自社の強みと財務指標-〇〇当たり利益
先日、当事務所のお客様から、「前年の後半より、売り上げが急激に落ちているのだが、原因を確認するよい方法はないか。」との相談を受けました。
それまでは、この会社では売上を商品販売部門とサービス部門に分けていました。 商品販売は商品別の売上管理ができていたものの、サービス部門は自社サービスで行うものと、外注委託するものとに分けているだけでしたので、私はこのサービス部門の売上を更に細分化して把握するようにしてはどうかと考えました。
この場合、問題となるのは事務処理の手間が増加することと、売上をどう分けるのか、その切り口をどのようにするかという二点です。
事務処理の手間は売上表をエクセルで管理することで簡単に解決できました。 もう一点は売上細分化の切り口ですが、ひとくちに売上を分けると言っても、その切り口は様々です。商品やサービスの内容別、地域別、顧客別、あるいは年齢・性別・職業・年収などのターゲット層別など挙げればきりがありません。
今回のケースでは社長と相談し、サービスの内容と顧客の業種別に分けることとしました。なぜこのような切り口で分けたかというと、この会社はサービスや商品の内容及び、顧客の業種ごとにターゲットを定めてマーケティングを展開しているからです。
また、これに加え、ホームページの分析ツールを導入し、自社及び競合他社のホームページの分析と定点観測を行うことを提案させていただきました。この会社のホームページはもともとサービス、商品別に構築されており、それぞれの自社ホームページへのアクセス数や競合他社ホームページへのアクセス数とキーワードごとの検索数などを分析することは比較的簡単にできるはずです。この分析結果と管理会計からの情報を比較検討することで、売上の減少が全体的なパイの縮小によるものなのか、競合他社が強くなっているためなのかといった原因を推測することができるのです。
例えば、パイが減少しているのであれば、生き残りをかけるのか、撤退して新たな分野に投資するのかを自社の商品力や競合他社の強弱によって考えることができますし、競合他社が強いのであれば、どこがどのようになぜ強いのかを分析し、自社の戦略に利用することもできます。
管理会計はこのようにマーケティング情報などと組み合わせることで、よりその強みを発揮します。また、管理会計の設計には原価計算などの会計知識が必要ですが、それ以上に大切なことは、事業の目的、会社の置かれている状況に応じて、適切な切り口で会計データを整理することなのです。