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相続問題で、土地家屋調査士が力になれます

不動産にまつわる相続問題の専門家

石田貴子

石田貴子(いしだ・たかこ)さん
土地家屋調査士の仕事について語る石田さん

#chapter1

ご自分の土地の境界を正確に把握されていますか?

 相続対策というと、相談相手として思い浮かぶのは税理士や弁護士でしょうか。では土地家屋調査士は、どうでしょう? どんなふうに関わってくるのか、そもそも業務内容についてピンとこない方も多いかもしれません。
大阪府池田市で土地家屋調査士事務所を開く石田貴子さんは、「不動産の正しい登記のための調査や測量を行うのが土地家屋調査士の仕事。そして、相続に一番絡んでくるのは土地や建物といった不動産です。不動産にまつわる法律と技術のプロである土地家屋調査士が力になれる場面は、決して少なくありません」と話します。
 こんな事例がありました。Aさんが相続対策として土地を売却しようとしたのですが、隣地との境界を明確に区別する境界杭(くい)がなくなっており、互いの認識にもずれがあります。境界がはっきりしなければ土地を売れないため、困ったAさんは、石田さんに境界の特定を依頼しました。
 石田さんはまず、依頼のあった土地とそれを取り囲む土地の全てについて、管轄する法務局に出向いて公図や地積測量図、登記事項証明書などを確認。資料が乏しかったりあいまいだったりしたため、その土地ができた経緯を知っていそうな地元役員らを訪ねて聞き取りも行い、土地の情報を補強しました。
 次に、Aさんの土地を含む街区全体を正確に測量し、収集資料と照らし合わせて精査。こうして境界と思われる場所が決まったら、Aさんと隣地所有者など関係者に立ち会ってもらい、確認を得ながら境界に永久標を設置し、再びもめることがないよう、確定図面も作製しました。

#chapter2

不動産の表題登記もお任せください

 「権利意識の高まりもあり、境界について隣地とトラブルになるケースは増えています」と石田さん。「一方で、不動産は父親が持っているから自分には関係ないと若い方は無頓着。いざ自分が相続するとか、その家に帰って住まなければいけないなどという話になって、急に境界について紛争が起きてくるんです。『お父さんが亡くなる前に境界をはっきりさせておけばよかった』と、みなさん必ず言われます」
 調査・立ち会いの下での確認を経て境界が決まっても、一度もめた経緯から、隣人との仲がぎくしゃくしてしまうこともあります。だから石田さんは、隣人との関係が良好なうちに、早めに境界をはっきりさせておくべきだと訴えます。「ご近所づきあいはお子さんやお孫さんの代まで続くもの。後の世代が困らないようにしておいてあげるのは、はやりの言葉で言えば『終活』の一つだと思いませんか」

境界特定以外で土地家屋調査士の登場となるのは、不動産の表題登記です。表題登記とは、法務局に登録された不動産の場所や広さ・用途などの情報のこと。土地を分けたり、まとめたり、あるいは家を新築・増築して土地や建物の面積・形、使い方が変われば、その度に申請することが法で義務づけられています。しかし形状、面積などは精度の高い厳密な調査・測量で求めなければならないとされている上、高度な法律知識も必要。不動産の持ち主自身が表題登記を行うことは、かなり難しいのが現実です。土地家屋調査士は、不動産の表題登記を本人に代わって行うことができる、唯一の職種なのです。

徹底した調査を行う石田さん

#chapter3

相続問題は誰にでも訪れます。大切な財産を守るため、早めにご相談ください

 もとは建築会社の事務やコンピューター利用設計(CAD)の図面描きをしていたという石田さん。建築士からたまたま聞いた土地家屋調査士の仕事に興味を持ち、「測量の『そ』の字も知らないまま」飛び込んだのは19年前のこと。仕事を楽しいと思う反面、不動産屋を介しての依頼が多いため、一般の人にはまだまだ知名度が低いのが悩みだそうです。
 「調査士というと、建物修理や耐震診断をする人ですかと聞かれることが多いんです。『シロアリ調査の方ですか』と言われたことも(笑)。有限会社トヨノ測量・設計事務所を設立したのは、入り口を分かりやすくするためです。『測量をやっていますが、実は土地家屋調査士なので、こんなこともできますよ』と。測量から説明に入ると、皆さん納得してくださるんです」
 どちらかと言えば“縁の下の力持ち”である仕事を、不動産屋からの依頼を待つのでなく、個人にダイレクトに知ってもらおうと考えるようになったのは、この仕事が不動産トラブルの芽を摘むことができるとの自負から。
 「今後もっと、境界が分からなくなる時代がやってきます。それまでに相続の相談を受けさせてもらって、一つでも解決できるような形がとれればと思っています。決断しなければならない時になって慌てないよう、今、私たち土地家屋調査士にご相談ください」

(取材年月:2016年4月)

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石田貴子

不動産にまつわる相続問題の専門家

石田貴子プロ

土地家屋調査士

石田土地家屋調査士事務所((有)トヨノ測量・設計事務所)

「人の顔が一人ずつ違うように、不動産も一つずつ全く違う」をモットーに、依頼者一人ひとりに対し、誠実に対応します。高い技術力と経験・実績で、複雑な事例も丁寧に、粘り強く取り組み、評価をいただいています。

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