PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

自ら気づき、考え、行動し、周りを巻き込んで成果を上げる自立型の「人間力教育」を提唱

自立型の「人間力」を育む人材育成コンサルタント

増谷淳子

増谷淳子 ますたにじゅんこ
増谷淳子 ますたにじゅんこ

#chapter1

人材育成コンサルタントとして、「気配り」や「感謝の心」を育む研修を実施

 「先日、とある社長さまとお話をさせていただく中で、営業がどんなに数字を上げたとしても、『“誠実、親切、正直”という経営理念が実現できていなかったら、ここで働く意味はないですよと、社員に伝えました』と、おっしゃってくださいました。業務に必要な知識や能力だけではなく、考え方や取り組む姿勢といった心の部分にまで踏み込んで人材を育てていくことを私の使命としています」

 そう語るのは、研修やセミナーなどを手掛ける「ソフィアパートナーズ」代表で、人材育成コンサルタントの増谷淳子さん。
 上下関係と指示命令によって成り立つ20世紀型の社内風土から、社員の成長に周囲が関わり合いながら共に繁栄する21世紀型の職場環境へ。増谷さんが重きを置くのは、自ら気づき、考え、行動し、周りを巻き込んで成果を上げる自立型の「人間力教育」です。

 「やるべきことが明確だった昭和の時代は、上司が『こうせい』と言ったら、部下はそれに従うだけで望む結果が得られました。令和の現代はそうではないですよね。変化のスピードも速く、お客さまのニーズも多種多様で答えは一つではありません。『上司に聞いてみます』ではなく、その場で相手の意志をくみ取り、自らの判断で俊敏に対応する力が求められます」

 一方で増谷さんは、自立は社会常識や基本的な道徳心に裏打ちされており、自分本位とは異なるものと指摘します。
 「大切なのは、矢印を自分と相手のどちらに向けるか。例えば同じ失敗でも、人のせいにして終わらせてしまうか、反省して次に生かすかでその後(の成長の伸びしろ)が大きく変わってきます」

#chapter2

モチベーション、アクション、サポートの三位一体の「MASメソッド」で成果へと導く

 増谷さんは、新人、若手社員から中堅・リーダー、管理職向けの他、ビジネススキル・対人能力向上といったテーマ別にプログラムを用意。また、20年以上にわたって300社超の企業や自治体で講師を務める中で磨き上げた業種別も展開しています。

 バリエーション豊かなラインアップの根底に流れるのは、増谷さんが考案した「MASメソッド」。モチベーション、アクション、サポートの三位一体で組織への定着を促します。

 「事前課題に取り組んでいただくことでご本人の問題意識や意欲を高め、研修当日は課題解決に必要な知識やスキル、考え方を学んでいただきます。受講後は、ご本人がやるべきことを実践します」
 行動を習慣化するには最低でも3カ月はかかるとも言われ、ややもすれば三日坊主になってしまうことも。継続に向けて上司や周りの人たちがフォローしたり、励ましの声掛けをしたりする中で、本人のやる気や感謝の心を育み効果につなげます。

 また、新人・若手社員を対象としたトレーニングでは、ロールプレーイングを行い、実践の第一歩として上司へ研修報告をします。

 「多くの職場では、『報連相が大事』という掛け声だけで終わっていて、具体的にどうすればいいかまで教えられていないんですね。実務に反映できるよう、論理的ビジネス話法という技術を習得していただきます。ポイントさえつかめば、これこれの件でといった件名から結論、それに至った経緯や意見を簡潔に述べることができるようになります」

増谷淳子 ますたにじゅんこ

#chapter3

令和の社員育成は「指導」ではなく「成長支援」。自分で自分を教育していくことが真の人間力教育

 今の若い世代について、「与えられることが当たり前で、周りになんでもあって当たり前、家でも学校でも気遣ってもらう側。自分が気遣う側に立つことがほとんどない中で過ごしてきているんですね」と説明する増谷さん。

 「上司に『タクシーで行こう』と言われても上司の横で動かない。でも本人は『タクシーを呼んで』の一言を準備万端で待っている、と。こういう価値観の相違の中で、昭和を引きずっている上司の方は苦心されているようです」

 増谷さんは、令和の社員育成は「指導」ではなく「成長支援」と捉え、従来のティーチング(教える)に加え、コーチング(問いかけて引き出す)の重要性を強調します。

 「質問を投げかけることで部下に考えさせ、部下の考えを引き出す。その上で、本人が決めたことを本人に実行にしてもらう。上司は部下を見守りながら、助言や問いかけを通して、主体的に目指すゴールへと導いていく手法です。『何々をしなさい』という一方的な指示では言われたとおりにすることが目的になってしまいます」

 増谷さんが提唱する真の人間力教育とは、「自分で自分を教育していく力」を身に付けてもらうこと。

 「本来の目的である『なぜ』や『何のために』を部下の中から引き出して、その目的を達成する手段を考えさせることが、自立心を養うことにつながります。人間力を高める職場を一緒につくって行きましょう」

(取材年月:2023年5月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

増谷淳子

自立型の「人間力」を育む人材育成コンサルタント

増谷淳子プロ

人材育成コンサルタント

株式会社ソフィアパートナーズ

モチベーション、アクション、サポートが三位一体となったオリジナルの「MASメソッド」に基づいた社員研修で、社員自らが気づき、考え、行動し、周りを巻き込んで成果を上げる自立型の「人間力」を育む。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ大阪に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または朝日新聞が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO