成年後見制度とは?—判断力がなくなったときの法的支援
死後事務をまかせる前に ― 業者選びで気をつけたい5つのポイント
身寄りがなかったり、子どもに迷惑をかけたくない
と考える高齢者にとって、
自身が亡くなったときの葬儀のことなど
「死後事務」をどうするのか。
超核家族が進んだ令和の時代にあっては本当に深刻な問題です。
最近では、信頼できる誰かに託しておこうと、
見守りから死後の手続きまでを一括でサポートする業者が増えてきました。
この死後事務を引き受けますとうたう業者との契約で
トラブルにならないように、
どのようなことに気を付ければいいのか、
死後事務委任の契約を結ぶ前に、
必ず確認しておくべき5つのポイントをご紹介します。
① 「何を、どこまで」やってもらえるのか?内容を明確に
死後事務には、主に、以下のような業務が含まれます:
・葬儀・納骨の手配
・賃貸物件の退去や荷物の処分
・各種行政手続き(年金・保険・公共料金の解約など)
・親族への連絡や挨拶状の送付
契約書に「死後事務一式」とだけしか書かれていなかったり、
何が料金に含まれているのかが不明瞭だと
トラブルにつながりやすくなるので、
そういうときは事前に業務の具体的な範囲を一覧で提示してもらいましょう。
② 財産を「もらうことになっている」契約は要注意
各メディアでも報道されていますが、
死後事務を担う業者が
「財産を譲り受ける契約(死因贈与や遺贈という契約で)」
を結んでいるときは注意が必要です。
一見合理的に見えるかもしれませんが、
・利用者が十分に理解していなかった
・契約内容が不利だった
・口約束に近い状態だった
といった背景から、
相続人や親族とのトラブルに発展するケースが増えています。
死因贈与や遺贈といった契約それ自体は何も問題はないのですが、
こと「死後事務」に関しては、
契約の一方当事者である本人が「もういない」ので、
その契約が
「当事者の真意に基づいたものなのか、確かめようがない」
というのが問題なわけです。
ようするに、
「これ、本当ですか??」
という疑念が常についてまわるということです。
仮に、本当にご本人の真意であったとしても、
それを確かめようもないということから、
けっきょくトラブルの種を残すことになって、
周りに迷惑をかけないように結んだはずの契約が
元も子もないことになってしまいかねないので、
ここは慎重にいかないといけません。
財産に関わる契約は、
公正証書や信頼できる第三者の立ち会いがある形で進めることが大切です。
③ 費用の内訳と支払い方法をきちんと確認
「生前に50万円払えば、死後のすべてを対応します」という一括契約もよく見かけます。
ただし、内訳を確認すると:
・葬儀費用は別途実費
・荷物整理や処分費用が想定以上
・解約手続きごとに追加料金が必要
といった条件がついていることも。
見積書や契約書に費用の内訳と追加料金の条件を明記してもらいましょう。
④ 第三者(親族や専門職)にも内容を共有しておく
いざという時、業者と依頼者しか契約内容を知らなかった場合、
家族が「そんな契約、初耳だ」と戸惑うこともあります。
特に「全財産を渡す」という内容が含まれていれば、
トラブルの火種になるリスクは一気に高まります。
家族や信頼できる第三者(専門職や成年後見人など)と一緒に契約を確認・共有することが重要です。
⑤ 行政書士や弁護士など「公的資格者」を活用する選択肢も
この死後事務について制度化すべく、
ようやく国会でも法案が提出される動きになっているようですが、
制度化までにはもう少し時間がかかりそうです。
たとえサービスがしっかりしていても、
きちんとした契約書が用意されていなかったり、
やりとりが曖昧なまま契約をすすめてしまって、
けっきょくあとでトラブルになってしまった、では残念です。
死後事務は、ただただ葬儀や片づけをお願いするだけのものではありません。
法律行為が絡む繊細なものです。
そのため、必要に応じて弁護士や司法書士・行政書士などの
法的な知識と実務経験をもつ専門職に依頼することで、
安心して契約を進めることができます。
業者選びは「契約内容」と「信頼性」で見極めを
死後事務委任契約は、自分の人生の最終章をどう締めくくるかを左右する大事な選択です。
だからこそ、「費用が安い」「一括で便利そう」だけで決めず、
・契約内容の透明性
・契約方法の適正さ
・対応する人の信頼性
をしっかり見極めることが大切です。
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