認知症の種類と症状、原因、予防と治療法について
私共は、中国医学でも日本漢方のどちらでもなく、
西洋医学と漢方医学(東洋医学)のそれぞれの長所を生かしています。
これは重要な問題なので、少々長くなりますが説明させて下さい。
病んでいる人をより良く治すのが良い医学です。
そのためには西洋と東洋とのどちらかにこだわることなく、
それぞれの短所を省き、長所を合理的に融合してより良い医学を創りたい。
このように考えて、名医と称された故山本巌先生は、古今奮闘、医学大系のベースを創り上げ、
私共に基本として次のような指針を示された。(一般の漢方とは、根底から異なるのです)
病人をより良く治すためには ~すべては患者さんのために~
1.病に対する正しい認識を持つこと。
病そのものを正しく理解しなければ治療の方針も立たないし、
相手を知らなければ、どう戦うべきかも分からない。
孫子曰く、「彼を知り、己を知れば百戦百勝す」と。
2.患者の病態を出来る限り正確に把握する。
病態把握が明確であればあるほど、より良い治療法を施しやすい。
そのための情報は客観的・定量的で正確なほどよい。
(漢方の診断法だけでは情報が主観的・定性的であり不正確で再現性に乏しい)
そこで西洋医学の病態生理を診断の主体とし、
気・血・水・寒などの東洋医学の病理観を加えたい。
3.その病態に最も適合した方剤を与える。
その病態に最も適合した方剤をつくるためには、薬物の薬能を熟知して(薬物学)、
どのように組み合わせて方剤をつくるか(方剤学)を理解しなければならない。
私は、さらに次の二つを重要視しています。
4.「病の認識と病態、そして治り方」の理解を患者さんと共有する。
5.より良く治るために、生活養生が重要。
見直してみると当たり前のことばかりですが、この当たり前のことが
現実の医療ではおざなりになっていることが意外に多い。
日本漢方も中国漢方も、当時は人体解剖が禁止であったため臓器の場所や働きがわからなかった。
そのため陰陽五行論や四診(望診、聞診、切診、問診)による独特の診断法を創り上げた。
全体観や気血水の尺度で見る点はすばらしいけれど、局所や臓器については稚拙であり正確性に欠ける。
一般の漢方では、この特異性にこだわるあまり、西洋医学の長所を採用できていない。
そして、このままでは江戸時代の(チョンマゲ時代の)漢方からすこしも進歩していない。
現代では、西洋医学の正確な病態生理を採用しつつ、漢方の全体観を融合すべきです。
一方で西洋医学には良いクスリがほとんどなく、対症療法ばかりが多くしかも副作用が多すぎる。
漢方薬は正しく使えば副作用はなく、しかもクスリの宝庫なのです。
私は、良くならないのが一番困ります。でも、従来の漢方では難病に対して良くなる確率がどうしても低い。
そのために西洋医学と東洋医学の長所を生かして、良くなる確率を高めています。